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【映画】 PERFECT DAYS

前から気になっていたけど後回しにしていたPERFECT DAYS。
ある日急に「絶対に今日見ないといけないかも」という気持ちに駆り立てられて見てきました。

映画の感想の前に。
公式サイトがとんでもなく素晴らしいので、時間がある方は是非見てみてください。デザインもかっこいい上に、何がどうなってて、何の技術を使っているのかよくわからない(褒めてる)技術面もかっこいいサイトです。スマホも勿論いいけれど、是非PCで見てほしい…

ちなみに、このサイトはSpikesAsia2024でグランプリを受賞しています。

スパイクスアジア概要
スパイクスアジアは、ヨーロッパのEurobest(ユーロベスト)、中東のDubai Lynx(ドバイリンクス)と共に、カンヌライオンズの地域版フェスティバルとして、毎年シンガポールで開催されるアジア太平洋地域を対象とした、アジア地域最大級の広告コミュニケーションフェスティバルです。

カンヌライオンズ日本公式サイト より

制作はなんと日本の会社。
WEB制作や企画を主に手掛けている、mount.incさんです。Xでも受賞を告知されていたし、会社の制作実績にも掲載されていたので紹介させていただきました。

映画自体も、カンヌ国際映画祭では最優秀男優賞、日本アカデミー賞では最優秀男優賞・最優秀監督賞、Filmarksでも星4.2(2024年3月現在)と、評価の高い作品です。

さて、やっと感想に入ります。
この先ネタバレが含まれますので、鑑賞前の方やネタバレが苦手な方はご注意ください。




あらすじ
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。
同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。
その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。
その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々がつくる木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。

PERFECT DAYS 公式サイト より


お金に余裕があっていい暮らしをしているでも、社会的地位が高いわけでも、誰かから憧れられるでもない。
一見、なんの変哲もない同じ毎日を繰り返す平山さんの、ドキュメンタリーのような作品です。

主人公が送る生活は、見る人によっては、可哀相にも寂しそうにも見える生活かもしれません。しかし、変わり映えのしない毎日を満足そうに過ごす平山さんを見続けるうちに、見ている側も不思議と満たされた気持ちになっていきます。

お気に入りのカセットテープ、近所の古本屋、木漏れ日、古いフィルムカメラ、毎日訪れる居酒屋や銭湯…
何が自分を満たしてくれて、どんな時に幸せを感じるのかをちゃんと知っている。



映画を見たとき、偶然いままでの人生で一番大きな決断が迫っていて「自分にとっての幸せってなんだろう」「私は何をしてる時が幸せで、そのためには何が必要なんだろう」という答えがわからず、悶々としていたタイミングでした。
鑑賞後すぐは、今まであまり見たことのないタイプの映画だったこともあって呆然。映画ラストの役所広司さんの演技がグッとくるので、それに圧倒されたのもあると思います。
その後、1週間以上余韻をひきずり、じわじわと改めて良さを感じていく中で「自分にとっての幸せとは」の答えに辿りつけた気がしています。

逆に、それをちゃんとわかっている人にとっては、当たり前すぎて感じることが特になかったりするのかもしれません。


***


少し先になりますが、私はこれから住み慣れた場所を離れて、友達もいない場所での生活が始まります。
私にとって心を満たしてくれるものは、本と映画とweb制作。そして大好きな友人達。大好きで信頼しているからこそ、距離と一緒に心も離れてしまう人たちではないと思っています。

きっと、寂しいことも辛いことも、嬉しいことも悔しいことも沢山ある。そんな毎日を本当に自分ひとりで乗り越えていけるのか。

映画を見る前は自分が信じられず、不安で仕方なかったのですが、
本と映画を見る。自炊をしてちゃんとご飯を食べる。大好きなweb制作でたくさんの人と関わり、いいものづくりをする。たまに地元に帰って大好きな人たちとたくさん笑う。それさえあればきっと大丈夫。
この映画を見たから、自分なりに納得のいく答えに辿り着くことができました。

こういう背景もあって、より思い入れが強いのだと思います。


「こんなふうに生きていけたなら」というキャッチコピー。鑑賞後にもう一度見ると、より心に響くものがありました。
まだ私は自分のことも世間のことも知らないことだらけ。良いも悪いも色々なことを知り、不要なものを削ぎ落として、いつか平山さんのように生きられたなら。

そしてそのためには、1日の始まりに天気が良くても悪くても、空を見上げて満足そうに微笑む平山さんのように、1日1日を慈しむ心を忘れてはいけないなと思います。


きっとまた平山さんが恋しくなって見たくなる。
映画館で見てよかったと思う、素敵な映画でした。


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