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夜咄ヴァイオレット 〜超短篇〜

夜咄ヴァイオレット

 すみれ色のワンピースに身を包んだ女性が、反対側のホームで静かにたたずんでいる。
 どこを見ているのか、何を見ているのか。
 線路二本を隔てた先の彼女の視線なんか、こちらにはわかるはずがない。
 そのはずなのに、何故だか知らないが、それが手に取るようにわかってしまう。
 ——西に向かって立つ彼女は、来るはずのない明日の夜を思っている。
 それは、ただの自己投影なのかもしれないが。
 もう考えるのはやめよう。
 ニンゲンを、やめよう。
 目を閉じて、淀み始める時間の流れに身を投げよう。


 
「気が付きましたか?」
「……え?」
「あなたは、少々悪い夢を見ていただけです」
 何も言い返すことができないまま、視界がすみれ色に包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 結末は描かないスタイル。

 というか、描いてた本人もよくわかってないお話。 

 撮った写真を加工していてふと降りてきた文字を、そのままキーボードに打ち込みました。


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