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健康×アート×社会

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健康とアート、社会の関わりについて執筆した記事をまとめています
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#エッセイ

長女のピアスとルパンの思い出

「ピアスあけてけてみよっかな」 8歳の長女がある日言い出した。 「いいじゃん、この前アラハバードからうちに来たFちゃん(20歳)はインド人の友達に安全ピンでプスッて開けてもらったらしいよ」 「えー安全ピンで?それはちょっと・・・!」 フラフラしていて気まぐれで内向的な長男にかわって、率先して下の子達の面倒を見る長女。社交的で友達も多く、誰とでも仲良くする。 ふだんあまり話題にあがらないので、特に問題のない子なのだろうとお察しのみなさま、ご安心ください。実はちゃんとそ

クサイものにフタをしないインド    ーGazipurのゴミ山見学

以前の記事で一度紹介した小学5年生の太郎君が、なんとその後、デリーの我が家にやってくることになった。太郎君は、海洋プラスチック問題の自由研究をする中でプラスチックの規制が進んでいるインドに興味を持ち、その後もインドの本を読んだりとインドへの関心を深めていった。 せっかくゴミ問題からインドに興味を持った太郎くんがインドにきてくれるので、少しでもインドのゴミ問題について知る機会を作りたいと思い、ゴミ山見学を企画した。 インドのゴミ処理私が住む地域では、ゴミは全く分別しない。お

インドで私も考えた 〜小学5年生からの質問状〜

先日、友人の息子くん(小学5年生)が、自由研究で環境問題について調べていると連絡をもらった。息子くんからは、インドが海洋プラスチック問題について熱心に取り組んでいるらしいから、生活者としての感想を教えてくださいと、とてもしっかりした質問書が送られてきた。 私もインドにきてまだ1年にも満たないし、インドといってもデリーのことしかわからないのだけれど、質問を投げかけてくれた小学生にできるだけ真摯に答えてあげなくてはと思い、全力で回答を書いた。せっかくなのでその回答書をここに記録

「社会的処方」は新しいのか

最近「社会的処方」という言葉が日本の医療業界で認知されつつあるようだ。「社会的に孤立しがちな人を対象に、地域とつながる方法を処方すること」を、最近の医療業界では「社会的処方」と言うらしい。さらにそれが、医師のインセンティブにつながるよう、診療報酬に加算する動きもあるのだとか。 こうしたニュースを知って、私はちょっとした違和感を覚えた。 だって、「社会的に孤立し病気を抱えている高齢者などに、地域とのつながりをサポートすることで健康を取り戻してもらう」取り組みなんて、ずっと昔

扉の記憶から考える アートについての仮説

全くお正月モードではないニューデリーの我が家ですが、元旦には夫がお雑煮を作ってくれたので、コリアンダーを乗っけて食べたら、案外合うではないか。そんなわけで、書きたいことが山積みのインド雑記を一旦お休みして、今回は新年らしく思考の整理メモを残すことにする。 といっても実はこのポストは2018年の6月に長年の友人であるユリエさんが遊びにきてくれたあとから書き始めていた。しかしなかなか納得してまとめ上げることができず、インドに持ち越してしまったので、とりあえず新年の初めに現段階で

最後一人旅②:雑記(カラフル)

この記事は息子とふたり旅のスピンオフ記事の、さらにメモ書き的な付け足し記事である。 ーーーー 3週間の日本滞在で、これまでにないほど沢山の魅力的な人に会ってお話を聴くことができた。自分が考えていたことを肯定したり、整理したりできたこともたくさんあった。まだ処理しきれないけれど、記録しておきたい話、どうやらキーワードなんじゃないか、と思う言葉もいくつか浮かび上がってきたので、雑記的にこの記事にまとめておこうと思う。 浮き上がったキーワード 本当に”どうやら”、くらいであっ

医療は資源であって、魔法ではない

新型コロナウイルスを巡って、これまでの日本人の医療資源の使い方が変化しようとしている、と感じている。というかこれを機に変化してくれたらいいな、と期待している。 「診断」を欲しがる日本の教育現場日本の学校で子供が発熱すると、必ずと言っていいほど学校や保育園から「医療機関を受診して診断を受けてください」と言われてきた。そうして何らかの感染症が判明すると、即座に「◯学年に1名、インフルエンザが出ました。体調が悪い場合は必ず医療機関を受診させてください」などと連絡がまわり、その度に