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健康×アート×社会

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健康とアート、社会の関わりについて執筆した記事をまとめています
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#インド

長女のピアスとルパンの思い出

「ピアスあけてけてみよっかな」 8歳の長女がある日言い出した。 「いいじゃん、この前アラハバードからうちに来たFちゃん(20歳)はインド人の友達に安全ピンでプスッて開けてもらったらしいよ」 「えー安全ピンで?それはちょっと・・・!」 フラフラしていて気まぐれで内向的な長男にかわって、率先して下の子達の面倒を見る長女。社交的で友達も多く、誰とでも仲良くする。 ふだんあまり話題にあがらないので、特に問題のない子なのだろうとお察しのみなさま、ご安心ください。実はちゃんとそ

「誰か」を「あの人」にかえていく

「誰かの死と、あの人の死。全然違います。」 20年以上前に聞いた、中学校の国語の先生の言葉だ。先生の声が、未だに耳に新しい。 一つの出来事が、「誰かの」出来事から「あの人の」出来事になるには、一体何が必要なのだろう。 2015年、「障害のある誰か」が、突如として「障害のある我が子」になった。 第一子も、第二子も、びっくりするほど安産だった私は、出産なんてなんてことないと思っていた。 とんだ勘違いだった。母子共に無事に出産できることは、ほとんど奇跡なのだということを、

私は障害児であるハルのことをよく知っているけど、ハルじゃない障害児のことはよく知らない

みなさん、どうも。こちらの世界ではお久しぶりです。 久々にいろいろな肩書や役割を取っ払って、ただの心の露出狂として、キーボードを叩いています。 最近は、わかりやすい文章の書き方とか、タイトルの付け方とか、SEOとかいろんな話があって。そのどれも大事な話だと頭ではわかるんだけど、あんまりワクワクしなくて、そうこうしているうちに、文章の書き方がよくわからなくなってしまいました。 構成を考えて書くとか、目的や対象を明確に絞って書くとか、ライターを生業としている人だったら当たり前

日常にならないロックダウン生活

手のひらがじんじん痛む。テレビの約束を巡って30分の攻防の末、ダイニングテーブルを思いっきりぶったたいて、長女をやりこめた結果だ。じんじん、痛い。 *** 日常にならないロックダウン生活インドでロックダウン、ラウンド4が決定し、ようやく詳細が出た。スタート前夜。おそすぎる感満載ではあるが、まあでも、インドだからと、なんとなく受け入れてしまう不思議魔力。 次は5月31日まで。これまでのロックダウンに比べていろいろ緩和はされるらしい。ただし、なぜこの感染者が(インドで)うな

踊ろう、歪んだ世界で。

デリーがロックダウンされて27日目。 9歳の長男のイライラは日に日にエスカレートしている。ほんのちょっとしたことで声を荒げて部屋に閉じこもり、布団をかぶってゴロゴロして、出てきたと思ったらまた弟や妹にちょっかいをだしては怒られ、以下繰り返し。本人いわく、夜も寝付きが悪いのだとか。体を動かしたり頭を使ったりすることが少なくなっているから当たり前なのだけれど、そうなると生活リズムが崩れて悪循環が心配だ。 長男と長女は、現在それぞれの希望で別々の学校に所属している。 長女は、

それでも私は「つながり」を維持したい

日本は大変だなあ、とつい数週間前まで余裕をかましてたのに、ここ2週間ほどでインドがどんどんきな臭い。3月19日午後8時のモディ首相の会見にて、3月22日(日)の外出禁止令(Janta Curfew)が発令された他、22日以降1週間、国際線の着陸はすべて停止とされた。さらに、10歳未満および65歳以上の外出を控えること、不要な外出や受診を控えることなどの勧告が出された。この勧告というのがどのくらいの厳しさのものなのか定かではないけれど、首相会見の雰囲気的には結構厳しそうだ。

クサイものにフタをしないインド    ーGazipurのゴミ山見学

以前の記事で一度紹介した小学5年生の太郎君が、なんとその後、デリーの我が家にやってくることになった。太郎君は、海洋プラスチック問題の自由研究をする中でプラスチックの規制が進んでいるインドに興味を持ち、その後もインドの本を読んだりとインドへの関心を深めていった。 せっかくゴミ問題からインドに興味を持った太郎くんがインドにきてくれるので、少しでもインドのゴミ問題について知る機会を作りたいと思い、ゴミ山見学を企画した。 インドのゴミ処理私が住む地域では、ゴミは全く分別しない。お

インドで私も考えた 〜小学5年生からの質問状〜

先日、友人の息子くん(小学5年生)が、自由研究で環境問題について調べていると連絡をもらった。息子くんからは、インドが海洋プラスチック問題について熱心に取り組んでいるらしいから、生活者としての感想を教えてくださいと、とてもしっかりした質問書が送られてきた。 私もインドにきてまだ1年にも満たないし、インドといってもデリーのことしかわからないのだけれど、質問を投げかけてくれた小学生にできるだけ真摯に答えてあげなくてはと思い、全力で回答を書いた。せっかくなのでその回答書をここに記録

スパイシーと経済力とは反比例?

インドといえば激辛料理、そう思っている人は多いだろう。実際その通り、大体の食べ物は辛い。カレーはもちろん、スープも揚げ物も、ハンバーガーやチップスも、だいたい辛い。 レストランの名前に採用しちゃうくらい、チリが大好きなインド人。インド人にとって辛さが必要不可欠であることは、ほぼ間違いない。 だけど気がついたことがある。 経済力の豊かな人ほど、辛さを必要としていないのではないか?【仮説】 というのも、先日息子が入院した富裕層向けの立派な病院で出た食事は、まったくもって辛

扉の記憶から考える アートについての仮説

全くお正月モードではないニューデリーの我が家ですが、元旦には夫がお雑煮を作ってくれたので、コリアンダーを乗っけて食べたら、案外合うではないか。そんなわけで、書きたいことが山積みのインド雑記を一旦お休みして、今回は新年らしく思考の整理メモを残すことにする。 といっても実はこのポストは2018年の6月に長年の友人であるユリエさんが遊びにきてくれたあとから書き始めていた。しかしなかなか納得してまとめ上げることができず、インドに持ち越してしまったので、とりあえず新年の初めに現段階で