北の空を眺めた1年間
この記事は、私が名古屋から北海道に想いを馳せた1年間の記録です。
出会い
ちょうど1年前、2022年9月4日。
私は「TOKYO IDOL FESTIVAL 2022」の特集番組の見逃し配信をTVerで流し見していました。
高校時代に欅坂46のファンだった私の目当てはもちろん番組MCの長濱ねるさんです。
流し見なんて、1年後どころか下手したら1週間後にはもう内容を覚えていないものですよね。
でも、心を震えさせるその歌声とそのときの自分の感情は、今でも鮮明に思い出せます。
のちに彼女たちが北海道のグループだと知ったときは、妙に納得しました。
ちなみにこの『鼓動』の作曲者、TRIPLANEの江畑兵衛さんも北海道出身です。
その圧倒的な歌唱力を武器に、クリエイターユニット「otsumami」のフィーチャリングボーカル「mikan」としても活動している冨樫優花さん。
当初は、音楽的にはもちろん、SNSなどで見せる感性を含めて彼女への興味が大きかったです(現在は箱推し)。
影響を受けたアーティストとしてSEKAI NO OWARIを挙げていたことや、同世代であることから、私もまた優花さんを自分と重ねていました。
きっとこの人の唄は今の自分に寄り添ってくれる、そう思いました。
このときから現在まで、タイトル未定のパフォーマンスには目頭が熱くなります。これは未だに上手く言語化できない不思議な感情です。
タイトル未定。一見すると奇を衒ったようなこの名前は、グループのコンセプト「何者かになろうとしなくていい。何者でもない今を大切に。」を端的に表現していることをのちに知り、運営のセンスも良さそうだなと感じました。
現実的な話、メンバーや楽曲がどれだけ魅力的でも、運営やライブ現場の雰囲気が肌に合わないと推し活を続けることはしんどいものだと思います。
ガンバレるかな
私がタイトル未定に出会ったのは、まさに20歳のタイミング。
専門学校を卒業して社会人1年目。自分で選んだ道だけれど、本当にこのままでいいのか悩んでいた時期でした。
タイトル未定の世界に触れるうちに、私は少しずつ、より深く自分と向き合うようになります。この出会いを、より意味あるものにしたかったのかもしれません。それが彼女たちから受け取った想いに対して恩返しになるのかなと今は思っています。
ガンバレるかな。頑張れるかどうか、情熱をそそげるものに出会えるか、自分の居場所を見つけられるかは運によるところが大きいと思います。
誰だって頑張れるんならそうしたい。
頑張れないことが苦しい。
頑張れる場所が欲しい。
しかし残酷にも、それでも進んでいなければ、その運を掴むチャンスも来ない。
いつ「その時」が来てもいいように準備しておきたい。
そんなとき必要なのが、道標となるもの。
自分にとってのそれは、出会ったあの日の心臓の高鳴りでした。
私はその鼓動を信じて生きていたいです。
嘘のない場所
普遍的な思いに寄り添い、高いレベルで表現する。
正直、こういうアイドルやアーティストが珍しいわけではないと思います。
じゃあ、なぜこんなにもタイトル未定のメッセージは深く伝わるのか。
それはメンバーそれぞれからさりげなく感じる人間味、そしてそれが自分の延長線上にいる存在なんだと感じさせてくれるからだと思うんです。
芸能人などメディアを通して見る人間は、ステージの上やカメラの前はもちろん、それ以外の場でも、少なからずその職業を演じているはずです。アイドルなんて特にそうでしょう。
そんな中、彼女たちは活動をする中での葛藤をファンに見せてくれることがあります。
グループの楽曲や世界観を、ステージ上だけでなくアイドル活動を通して体現している。歌詞に嘘をついていない。
コンセプトや楽曲を理解した上で活動しているからこそ、その表現は多くの人に深く伝わるのでしょう。
ストイックな彼女たちですから、楽曲の主人公に対して特に深く向き合うことになる『薄明光線』『溺れる』等を披露した後は、次の楽曲にその世界観を引きずってしまうことがあります。タイトル未定は、それがライブの醍醐味になっているように思います。
北海道で生きるということ
タイトル未定はなぜ北海道を拠点にできているのでしょうか。経営的に考えれば首都圏で活動していたほうが良さそうですよね。
東京のアイドル市場は需要と供給のバランスが崩壊しているから。というビジネス的な視点は置いておき、それを可能にしているのはメンバーのモチベーションです。
彼女たちの活動を追っていると、北海道を盛り上げたいという想いが伝わってくることが多々あります。
北海道出身の3人はもちろん、タイトル未定のために埼玉県から引っ越した阿部葉菜さんもそうです。
こちらの記事も参照してみてください。
東京など遠征先でのライブで「北海道からやってきました。タイトル未定です」と自己紹介しているところを見ると、北海道を背負っている感じがしてジーンときてしまいます。
0回目のライブ
存在を知ってから約2週間で、北海道のアイドルに愛知県で会える機会があるなんて持ってますよね。
アイドルといえばメディアアイドルしか知らなかった私は、慣れない空間にドキドキしながら入場したことを覚えています。
ライブアイドルに関して無知だった当時の私は特典会というものをよく知らず、ライブ終了後すぐに帰ってしまいました...…
越冬
2023年1月にも名古屋に来てくれたり、2月にはグループにとって大切なZepp Sapporoでのワンマンライブもあったりしたのですが、私は行きませんでした。
この時期の私はタイトル未定に限らず色々なエンターテイメントから距離を置いていました。冬になると体調が優れず精神的にも苦しい日々が続いてしまいます。
そんな私を繋ぎ止めてくれていたのが、Mirrativにて行われた川本空さんのゲーム配信やラジオ配信でした。
終始ほんわかとした雰囲気で進行していくのですが、持ち前の知識とユーモアを活かしつつ政治や労働問題などにも触れていました。(笑)
空ちゃんはアイドル活動と学業を両立しており、遠征の飛行機も1人だけ別便ということもあります。忙しいはずですが、様々な形でファンを楽しませてくれます。
今の私にとってタイトル未定はエンターテイメントの域を超え、生活に寄り添ってくれています。
だからもう、どんなに長い冬が来ても大丈夫な気がします。
余白
タイトル未定が大切にし、共感を集めているのがグループのコンセプト。それをステージで継時的に体現しているのが谷乃愛さんだと思います。
タイトル未定に加入する前からアイドル活動の経験があり、歌唱やダンス、トークなどを高いレベルでこなしています。
しかし数ヶ月前の映像を振り替えると確かな成長に気付き、「あのとき葛藤し乗り越えていたのかな」なんて思うことがあります。
努力は隠すのが美徳という風潮もありますが、少なくともタイトル未定のコンセプトにおいては隠すでも見せるでもなく努力を感じさせるほうが合っているように思います。
それくらいの余白が、彼女たちの活動にはあります。
タイトル未定が期間レギュラーを務めたラジオ番組では「谷乃愛の日本語教室」と題したコーナーで、自身が苦手とする日本語力で番組を盛り上げていました。
周りをよく見て自分に何が求められているかを瞬時に判断できる乃愛ちゃん。
評価されるべきなのは臆することなく発言するその姿勢です。これも一つのプロ意識なんだと思います。
夢の力
一方、パフォーマンス以外でもグループのコンセプトを体現しているのが阿部葉菜さんだと思います。
彼女は夢や目標をよく公言します。
居場所を見つけるまでに色々な経験をしてきた彼女はきっと、夢を持ち目標を立てること、そしてそれを口にすることの大切さを知っているのでしょう。
コンセプトの体現は、タイトル未定にストーリー性をもたらし、ファンが推し続ける理由にもなり得ます。
9ヶ月目のはじめまして
2023年6月、また名古屋に来てくれることになりました。
全国版シングル『花 / 栞』リリース期間の活躍を見てタイトル未定にさらに深くハマっていた私は、躊躇なく会いに行きました。
そしてこの日は初めて特典会に参加しました。
元々人と話すのが得意ではない人間が、好きな人との初対面で上手く話せるわけもなく......
しかしその日の帰り道は満足感で溢れていました。メンバー4人ともSNSで認知してくれていたことが分かったからかもしれないです。
(阿部葉菜さん作「今日も推しが なんまらめんこい」Tシャツを着る私)
と言いつつ、SNSではメンバーに認知してもらうことはあまり重視していなくて、メンバーを褒めて自信を持ってもらうことでより良いパフォーマンスを見せてくれるのかなと考えながら発信しています。
あと、良いと思ったものには「いいね」と言っていかないと、エンタメ業界は成立しないような気もします。
それから、ファンの皆さんが推し活を楽しめる情報を共有することが、タイトル未定が続いていくことに繋がるのかもしれない、とも思っています。
この時期から、オンラインチェキやライブBlu-rayを購入してみたり、タイトル未定が参加するフェス「TIF」「NEO KASSEN」の配信を視聴するなど、自分なりに推し活を加速させていくことになります(お金を使うことは大切ですが、それだけが応援だとは思っていません)。
そしてこの名古屋でのライブから数日後には、9月の札幌行きの飛行機を予約していました。
2年目が始まる
文字通り名も無きローカルアイドルグループが腰の重い私を北海道に呼んだという事実は、私を知る人間からしてみればとても驚くことだと思います。
それはきっと彼女たちが、どんなに遠い場所でも、どれだけ深い暗闇だって、そのぶん強く光り続けてくれているからです。
私がタイトル未定の作品に触れて感じることのほとんどは、私がグループのコンセプトにあるような年齢(≒メンバーと同世代)だということに起因するのかなと思っていました。
しかしSNSを見たりライブ現場に行ったりすると幅広い層に共感・支持されていることが分かります。
私はその方たちを見ていると嬉しくなります。未来の自分も、タイトル未定を必要としながら生きているイメージができるからです。
タイトル未定は、どんな人生にも寄り添ってくれると思います。
今日、2023年9月4日。
タイトル未定に出会ってちょうど1年。
彼女たちは私の人生を大きく変えてくれたし、これからもきっとそうでしょう。
そんな今までの感謝を伝えに、これからを受け取りに、明日、北海道にお邪魔します。
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