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思うこと281

 映画でもドラマでも、「俳優」や「女優」に目を付けて、その人が出ているから、という理由で作品を追うことがまるでなかった。原作者や監督を追うことはあっても、そこに出演しているからと言って好きになったり贔屓にする「誰か」を選ぶことができなかったのだ。昔から芸能人やタレントに興味がないので、そもそもの素質なのかもしれない。(アイドルは推すくせに…。)

 ところで、最近そんな私でもふと、「この人が主演だから…!」と映画をレンタルする機会があった。先日ゲオで借りまくった中の二作品は、思えば主演目当てだったのである。

 そんな人生で初めての主演目当て映画がこちら。

 まず一つが(これはまあもはや監督も込みだが)ヴェルナー・ヘルツォークの『フィツカラルド』(1982年)。すなわち、主演はクラウス・キンスキーその人。以前『アギーレ/神の怒り』(1972年)や『キンスキー、我が最愛の敵』(1999年)を観ていたので、思わずあのヘルツォーク&キンスキーの何かぶっとんだオジサンコンビによる映画が恋しくなったので、せっかくならと借りた。画面から溢れるキンスキーの「圧」がスゲエ、船がスゲエ、山がスゲエ!そしてオペラ!!みたいな怒濤の展開と、意外にもハッピーに終わったことによる謎の虚脱感を覚えた。

 二つ目は『黒蘭の女』(ウィリアム・ワイラー/1938年)。こちらは大女優ベティ・デイヴィスの代表作。ベティとの出会いは『何がジェーンに起ったか?』(ロバート・アルドリッチ/1962年)と、次作とも言える『ふるえて眠れ』(〃/1964年)である。今回『黒蘭の女』を観て、「ああ、若い!!!!」と仰け反ってしまった。先に観ていた私の知るベティは50歳も半ばであったから、突飛な行動で周囲を困惑させ続けるお転婆娘ジュリーを演じる当時30歳の彼女が新鮮で仕方なく、あの独特のおっきい目は昔から
観る者を惹き付けるんだなァ、などと感慨。舞台は南北戦争直前のアメリカ南部。黄熱病が流行るなどする中、お転婆が仇となり…的な若干、それみろ感もなくはないが、愛する男のために不器用にも気高く生きようと頑張るジュリー、私は好き。あと、最初の乗馬服で颯爽と現れるシーンがとても良く、終盤のジュリーより、やっぱりあの頃のはちゃめちゃジュリーが愛おしい。

 というわけで何か話が逸れたが、キンスキー、ベティ・デイヴィス、
これからも是非追いかけていきたい。次の目標は、『コブラ・ヴェルデ』と『痴人の愛』。です。


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