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【スガシカオ・秦基博】~くりくり頭の彼らたち ~

思い出の中の曲について書いてみるシリーズをひとりよがりにやってます。

20代の間、夏が来ると思っていた。

球児たちより、年上になってしまったんだと。

人生の中ではきっと、甲子園を認識してから球児より年下であるよりも、年上であるほう時間の方が、ずっと長いのだけれども。

30代になってからは年上になった自分に驚く感覚すら薄れつつある。

たまたま20代半ば働いていた学校の野球部が強かった。赴任した時、1クラスにいる野球部員の割合が高く、教壇から見える生徒たちのくりくり頭比率に慣れるまでに時間がかかった。彼らは教員が出勤する前から朝練をこなし、夜遅くまでひたすら練習。勉強がおろそかになって赤点をとると部活に出してもらえないため、勉強も本気。声出しに慣れているため教科書の音読はクラスをひっぱっる大きな声で読んでくれて頼もしかった。

そんな彼らがあっという間に県大会で優勝し、甲子園に出場した夏。

テレビでしか応援できなかったけれど、本当に驚いた。

試合中の、別人かと思うほどの真剣な顔。

カルチャーショックというか、人の顔の表情ってあんなにも変わるんだな、と思った。授業でも、試験問題に取り組むときにも見たことのない顔だった。

彼らが出場した年、わたしの大好きなスガシカオさんと、秦基博さんの曲が甲子園期間中に毎日テレビでやってる番組のテーマ曲になっていて、人生で記憶に残る2つの年になった。

それまでのテーマ曲のイメージとは離れた曲調の2曲であったように思う。勝とうが負けようが、戦い抜く姿が暑い夏と共に過ぎていくドラマが1曲の中にせつなさと共存している。出場までの地道な練習と、本番の舞台、そしてまた日常に戻っていく部員たちの背中までが見えるような、そんなせつなさがある。

試合自体はギラギラとハラハラの瞬間ばかりなのに大人になった側からみると、それはもう手に入らない瞬間へのせつなさでもあるからこの2曲がグッとくるのだろうか。

当時は、あのくりくり頭の彼らが聞いてこの2曲の良さがわかるのかな、という思いもあった。でもあの年の夏だけではなくて、ずっと彼らの中にも残る曲になっているのだろう。

個人的にはもう毎年のテーマ曲がずっとこの2曲でいいんじゃないかと思って、今年まで来た。そして、「宿命」も久しぶり、10年ぶりのお気に入りになった。「宿命」は、選手だけだなくて、応援団とチアたちの心もぐっとつかむにちがいない。それで、この3曲で毎年の熱闘を見たいと、勝手なことを思っている。


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