【スピッツ】~ 通学路の青い車 ~
思い出の中の曲について書いてみるシリーズをひとりよがりにやってみる。
中学時代は徒歩通学だった。悲しいかな、家が自転車通学の許可がでる範囲のギリギリ内側だった。私立の学校に通うため、近所に一緒に歩いていける友達がいなかった。英語の教材を聞くという名目で買ってもらったウォークマンに好きな音楽をいれた。それを聴ききながら、ひたすらとぼとぼ歩く通学時間だった。
中学時代にまずハマったスピッツ。世の中ではロビンソンが流行る少し前だったはず。ラジオから流れてきたスピッツを知ったことで、「インディーズ」という言葉をおぼえた。大学には音楽サークルなるものがあるらしいことも知った。ちょっと気になる音楽があったら、デビュー盤からさかのぼってアルバムをくまなく聞くという自分ルールができたのもこの頃。
通学路の帰りには上り坂があった。その手前のあたりに小さな中古車屋さんがあった。そこにちょうど青い外車が売られていたころ、「青い車」がリリースされた。どこの国のなんて名前の車かはわからない。でもおしゃれな雑貨屋さんの前においてありそうなその車は、曲からわたしが抱くイメージにぴったりだったのだ。
♪
君の青い車で海へいこう
おいてきた何かを見に行こう
もう何も恐れないよ
そして輪廻の果てへ飛び下りよう
終わりなき夢へ落ちていこう
今変わっていくよ ♪
大人になることがまだ想像もつかない頃だった。でもなんとなく思っていた。はじめて買う車は青いおしゃれな車にしよう、そして海にいこう。歌詞からうける感じだと、男性が女性に運転させてそうだけど、わたしはできたら横に座らせてほしいな、とか。輪廻に果てってあるのだろうか?すでに恋人の二人の何が変わっていかないといけないの??だとか。青い車を1日2回眺めつつ、妄想しながら坂を下って学校に行き、坂を上って家に帰るのだ。
ある日、その車はなくなってしまった。初めて見た日からどれくらい時間が経ってからか全く覚えていない。けれども、スピッツが有名になって、あの曲を気に入った大人が見つけて買っちゃったのかも、と思った。
7年後、私は大人になった。車の免許もとった。はじめて買った車は青ではなかった。それから買い替えた車も青ではない。国産車でいいなと思っていた青い車もわたしが免許を取るころには生産中止になっていた。なかなかおしゃれな青い車には出くわすことがない。でもずっと、青い車にあこがれがある。
今年の夏、ビーチリゾートの島でドライブした時もこの曲を聞いた。だいぶ大人になってしまったけれど、いつかおしゃれな青い車でドライブしてみたい。おばあちゃんになっててもいいから青い車で海へ行こう。
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