見出し画像

哀愁のイヨロップ

今年初のライヴに行ってきた。スウェーデンのバンド、EUROPE。結成40年だそう。すごいね。記念ライヴとあって、休憩挟んでなんと3時間のライヴ。
観客はアラフィフからアラカンのおじさん&おばさんばっか。そりゃ、トイレ休憩、必要ですわ。

お初の東京ドームシティホール

EUROPE繋がりだけど全然関係のない昔話を。

20代の頃、しょっちゅう一緒に飲んだくれていた友人がいた。
ある日の夜遅く、彼女から電話がきた。

「るこちゃん、ちょっと聞いてよ!!」

私は一気に酔いが覚めた(この日は一人、アパートで爆飲していた)。
彼女が、嗚咽をこらえているように思えたからだ。

「ど、どうしたの?」
「うぐっ、クッククク……」

彼女がこらえていたのは嗚咽ではなく、笑いだった。

「カネゴンが、カネゴンが、すっごい留守電残してたのーー!」

カネゴンは当時、彼女に猛アタックしていた男の子で、私もよく一緒に遊んで、いつも奢ってもらっていた。

心して聞いてね、と言って彼女は留守録を再生した。

「今日も一日お疲れ様……」
受話器からは彼女に対するカネゴンの熱い想いが次から次へと漏れてくる。
そして終盤。

「頑張った君に、この曲を送るよ」

唐突に始まったのは、カネゴンのギター演奏による「哀愁のヨーロッパ」だった。

素敵な話じゃないか、と思われる方もいるだろう。
疲弊して帰った夜、留守電から大好きな曲が流れてくる。なんてロマンティックなシチュエーション。
けれど、彼女だけでなく私も笑ってしまったのは、そのがギター演奏が、致命的にヘタクソだったからだ。

後日、カネゴンに話しをすると、
「えー、感動してくれると思ったのになー」とのこと。
彼女をほろりとさせるつもりが、爆笑させてしまった。
でも、いい。人間に必要なのは、ロマンよりも笑いなのだ。

ところで、話し戻ってライヴの件。今回のチケット代、なんと15,000円。
EUROPEでこの金額なら、エアロスミスあたりはSS席50,000円くらいになるんじゃないの。
気軽にライヴも行けないな。世知辛い世の中だな。つまんないな。
こんな風に気落ちする時は、カネゴンの哀愁のヨーロッパを思い出して、ちょっとだけ、笑おう。

余談だけれど、europeはイヨロップに聞こえるし、犬の鳴き声はBOWWOWじゃなくて、絶対にワンワンだ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?