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真夜中のぬくもり

昨夜はなかなか寝つけずにいた。お酒を飲まない日は、サプリメントを飲んで寝るのだけれど、一向に眠くならない。
悶々とする時間を持て余していると、ふと、足元に重みを感じた。
私が寝室に行く時、猫たちは居間のクッションで、猫団子を作って眠っていた。目を覚まして寝室にくるのなら、階段から足音が聞こえるはず。

ああ、またルーが来たんだな。
真夜中だというのに、布団の上に日溜まりが出来たかのようだ。足元が、心なしか暖かくなった。

ルーは9年前、20歳で大往生した猫である。

ルーが虹の橋を渡った後、何度か不思議なことが起こった。
リビングスペースから寝室へ上がる階段には、センサーライトが備え付けられている。夜中、トイレに起きた時の転倒防止のためだ。
それが、誰も近づいていないのに、点いたり消えたり……。

我が家には、ルーよりも5年先に虹の橋へ行ったココという猫がいたのだけれど、この家に引っ越してわずか2週間後に旅立った。
前の家はマンションだったから、ルーとココ、2人で階段で追いかけっこできたらさぞかし楽しいだろうな、と思っていたのに、ココは最期まで階段を上ることすらできなかった。

ココが迎えにきているんだな、2人で追いかけっこして遊んでいるんだ。
そう思うと、嬉しくて涙が出た。2人の幽霊なら、私はちっとも怖くない。

49日が過ぎる頃には、そんな現象もなくなった。
けれど、時々、昨夜のように眠れない夜、ルーの気配を感じることがある。

「ママ、明日お仕事なんだから、寝なくちゃダメだよ」

そう言って、温めてくれているんじゃないかと思う。

「ママは大丈夫だから、虹の橋で待ってて。でもお盆には帰ってきてね」

胸の中で呟いて、私はようやく眠りにつく。

ルーのぬくもりを感じられるのなら、寝不足くらいなんてことない。

それにしても先代のルー&ココと、今、一緒に暮らすカイ&ナル、団子になると見分けがつかない。

在りし日のココとルー
カイとナル






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