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【山雅2022レビュー】vs北九州|J3 第8節

2022.5.4
J3 第8節

松本山雅FC
×
ギラヴァンツ北九州

※本ブログ投稿時点で、第10節まで終了していますが、最新の試合についての内容ではありません。
※第9節以降は観ていない状態でのレビューとなっています。

スタメン

山雅(緑):5-2-1-2
北九州(白):4-4-2

前節からの変更点

  • 4-4-2 → 5-2-1-2

  • 下川、前、佐藤、小松 → 宮部、吉田、米原、村越

試合展開

お互いに守備がはまっているとは言えない試合内容だったのだが、両者共に得点を奪えず、スコアレスドローという結果になった。その原因を、チーム毎に振り返っていきたい。

山雅

まずは山雅の攻撃を振り返る。

ビルドアップ

北九州は4-4-2でプレスをかけてくる。対して山雅は、CBの3人、ボランチの2人に加えて、トップ下の菊井も下りて来て、計6人が中央でボールを回す。

相手のボランチは縦にスライドしてボールを奪いにいきたいのだが、どの選手に出ていけばいいか迷ってしまう。

そのため、山雅は余裕を持ってボールを保持することができていた。

人数をかけてビルドアップし、ボールを保持する。

相手を押し込んだ後は、ボランチの米原やパウリーニョが前を向いた状態でボールを持てるので、うまく左右にパスを散らして展開していた。

無得点の原因

ビルドアップがうまく行っているのに、なぜ無得点だったのか。大きな要因は三つあったと思う。

原因①

一つ目は、ボランチの距離感である。

菊井は下りてきてビルドアップに絡むのだが、このままだと、前には横山と村越の2人だけになってしまうので、機を見てまた前線に戻っていく。

このとき、米原とパウリーニョの距離が開いているため、パス交換がしにくくなっている

例えば、左WB住田がボールを持った時、米原がサポートに行ってボールをもらっても、パウリーニョが遠いので、中盤を経由してサイドチェンジを行い、相手を揺さぶるということができない。

米原からパウリーニョへのパスが難しい。

特にファイナルサードでこの状況になってしまうと、サイドを変えられないので、左サイドからクロスを上げるという攻撃になるのだが、相手も当然クロスに対して準備しているので、なかなか得点できない。

原因②

二つ目は、ペナルティエリア内の枚数不足である。

FWの横山や村越がサイドに流れて起点を作ろうとする動きが多く、エリア内で待っている選手が1人だけという状況が複数見られた。

特に山雅ボールのスローインの時には、FWの1人に加えて菊井もボールの近くに寄って来ていたので、ボールサイドに人が集まりすぎていて、スムーズな攻撃の展開が難しそうだった。

原因③

三つ目は、カウンターの迫力不足である。

5バックで戦うのであれば、ボールを奪った時のWBの攻撃参加は非常に重要である。右WB吉田はよく上がっていたが、左WB住田は上がっていくスピードが遅いことが多かった。カウンターの時に、左サイドから展開することが難しくなる上に、右サイドからのクロスに合わせようとする人数が不足してしまっていた。

WBであれば、積極的な攻撃参加が求められる。

北九州

次に、北九州の攻撃を振り返る。

ビルドアップ

山雅は5-2-1-2の形で守備をする。対して、北九州は、攻撃の際にはボランチの永野が上がり、左SH池髙が内側に入ってくることが多い。そして、タイミングを見て左SB前田が高い位置に上がってくる。

北九州の攻撃時

この試合、北九州はサイドチェンジを多用しながら攻撃を展開していた。

一見、CBの2人に対して山雅の2トップ、アンカーの針谷に対してトップ下の菊井と、中央は守備がはまっているように見える。

しかし、針谷がボールサイドに寄っていくと、山雅FWが針谷のことを気にしてしまって、マークが曖昧になる。その時にCBを経由してサイドチェンジすることができていた。

針谷がボールに寄っていくことで、CBが空く。

そもそも、5-2-1-2相手だとSBがフリーになりやすいので、SBから直接逆サイドのSBへパスを送ることもできていた。

無得点の原因

北九州が無得点だった原因は主に二つ。

原因①

一つ目は、プラン通りに行かない時の柔軟性である。

基本的に、北九州のSBに対しては、山雅のWBが出て行って対応する。この時、WBの背後にできるスペースを、北九州は常に狙っていた。WBが出てきた時は、待ってましたと言わんばかりに、背後のスペースに対してスピーディーに攻撃を仕掛けていた。

問題は、WBが出てこなかった時である。WBが出てこなければ、ボールを持っているSBには、結構な時間と余裕があるので、色々な選択肢を取れるはずである。しかし、実際は、時間をかけて周りを見渡しながら、結局近くの味方になんとなくパスするだけで、効果的な選択肢を取れないということが多かった。

例えば、FW前川は米原、パウリーニョ、菊井の間のスペースでパスを受けられる状態で待っているのに、SBがそこにパスを出してあげられないというシーンが何度もあった。

前川にパスを出せばチャンスになりそうなシーンで、パスが出てこない。

原因②

二つ目は、山雅の守備対応の良さである。

WBの背後のスペースを突ければ、ファイナルサードまでボールを運ぶことはできるのだが、クロスを上げる時の、山雅のボランチのポジショニングが以前の試合よりも良くなっていた。詳しくは後ほど。


試合結果

松本山雅FC      0

ギラヴァンツ北九州 0

ハイライト振り返り

ハイライトに載っているシーンから、気になった部分をピックアップして振り返る。

試合時間4'55"~

住田の1対1の守備は置いといて…

北九州の右SB藤谷がサイドを突破し、クロスを上げるシーン。

クロスを上げる瞬間の選手の立ち位置は下図の通り。

前述した、ボランチのポジショニングについて。

ボランチの米原とパウリーニョが、エリア内の相手選手への直線的なパスコースを塞ぐような立ち位置を取っている。

これによって、相手は、浮き球のピンポイントのクロス以外はパスが通らなくなる。

ボランチがパスコースを塞ぐ。

このシーンに限らず、ボランチの2人は、相手のパスコースを意識したポジショニングをしていたと感じられるシーンが複数あった。

これまでの試合では、ボランチのポジショニングがかなり甘いなと感じるシーンが多かった。第6節では、ボランチとしてプレーしていた住田のポジショニングが甘く、失点に繋がってしまったシーンがあった。

毎回完璧だった訳ではないが、ボランチのポジショニングの改善は、無失点で抑えられた要因の一つだと思う。


エースへの期待

ここまで6得点と、大活躍の横山。エースとして申し分ない働きを見せているが、そんな横山にも、もちろん課題はある。それは、オフザボールの動きである。

ボールを持っていない時の横山の動きは、かなり感覚的に見える。感覚的にやっているから、良い時もあれば悪い時もあり、ムラが出てしまう。

例えば、相手CBがすぐ近くでマークしているのに、その場で足元で受けようとしてしまう。パスを受けたとしても潰されてしまうし、そもそも、前を向いてスピードに乗れる状況でなければ横山の良さは出しづらい。パスを受ける位置を改善してほしい。

それから、裏への抜け方も気になる。スピードを頼りに、強引に相手DFを振り切ろうとするシーンが見られる。相手の背後から抜け出すとか、一度足元で受けるフリをしてから背後を狙うとか、駆け引きを増やしてほしい。

今回の試合のように、攻撃がなかなかうまくいかない時でも、己の力だけで点を取ってしまえるような、スーパーな選手に成長していってほしい。

余談

かなり遅れてのブログ更新となっているので、自分のレビューを最後まで読んでくださっている方は、現状では一人いるかどうかという感じなのかなと思っています。今のところは、第13節あたりで更新が追いつければと思っています。ほんの一部だけでも目を通していただいている方、ありがとうございます。今後も読んでいただけたら本当に嬉しいです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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