【読書ノート】『双子と沈んだ大陸』(『パン屋再襲撃』より)
『双子と沈んだ大陸』(『パン屋再襲撃』より)
村上春樹著
『1973年のピンボール』の5ヶ月後の話。恋人の死、友人の失踪やその原因を作った自分の立場。
どう理解すればよいのか?
キーワードを追ってみた。
①双子:「1973年のピンボール』でも登場した双子の女の子。
1. 同一性と差異性: 双子は見かけ上は同じように見えるが、個々の性格や経験は異なる。
2. 二重性:生命と死、善と悪、光と闇など、宇宙の対立する力を象徴する。
3. 絆と関係性: 双子は深い絆と共有の経験を象徴する。
4. 鏡像と反射:自己認識や自己反省、他者との関係性を象徴することがあります。
②沈んだ大陸
1. 消失と喪失: 沈んだ大陸はかつて存在したが、今は消え去ったものを指す。
2.無意識の深淵: 沈んだ大陸は海の底に存在する。このようなイメージは、無意識の領域や潜在意識の深淵と関連付けられる。
③バッハのリュート曲
1. 技巧と複雑さ:バッハのリュート曲は、その作曲技術の高さと複雑さで知られている。
2. 内省と深遠さ:聴く者に思考や感情の内部に向かい、精神性や哲学的な考えに触れる機会を与える。
3. 統一と調和:バッハの音楽が宇宙の秩序や神性の存在を反映していると見なされる。
4. 時間や永遠性:バッハのリュート曲は、時間の流れや永遠性を表現する。
④チェシャ猫:ルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』に登場するキャラクター。
1. 不確実性と曖昧さ:チェシャ猫は、その特徴的な笑みと姿勢から、不確実性や曖昧さを象徴する。
2. 自己主張と自己中心性:チェシャ猫は、自己主張や自己中心的な性格を象徴する。
3. 遊び心と無邪気さ:チェシャ猫は、遊び心や無邪気さを象徴する。
4. 多面性と多重性: チェシャ猫は、多面性や多重性を象徴する。
⑤ガラス
1. 透明性と真実:ガラスは真実や透明性の象徴。
2. 壊れやすさと脆弱性:儚さや壊れやすさの象徴。哲学的には、人間の脆弱性や短命さ、存在の不確実性を象徴する。
3. 中間性と境界: ガラスは透明でありながらも物理的な障壁を作る。この性質からガラスは中間性や境界の象徴として解釈される。
⑥山羊
1. 困難と試練:困難や試練に立ち向かう勇気や忍耐、自己超越の象徴。
2. 自立と野生:自己の道を切り開くことや自己の真理を見つけるための探求の象徴として解釈される。
3. 反逆と異質性:標準や社会的な規範に対する反逆や異質性の象徴として解釈される。
4. 神聖さと犠牲:犠牲や浄化の象徴として解釈され、一時的な苦痛や困難を通じた成長や精神的な昇華を示す。
⑦脚
1. 移動と自由: 脚は私たちが移動するための器官であり、哲学的には自由や行動の象徴として解釈される。
2. 安定と支え:哲学的には脚は安定性や基盤の象徴として解釈され、私たちが立ち向かう困難や試練に対しての内面の強さや支えを象徴する。
3. 身体と精神の結びつき:哲学的には脚は私たちが物質的な世界に存在することを象徴し、身体と精神の統一やバランスを象徴する
4. 限界と制約:物理的な制約や人間の限界を象徴し、その限界を超えるための努力や成長の可能性を示す。
⑧虫歯
1. 脆弱性と終わりの始まり:人間の脆弱性や死の訪れの始まりを象徴することができます。
2. 不注意や不摂生の結果:自己のケアや注意の欠如を象徴し、個人の責任や選択の結果を反映すると解釈される。
3. 一時的な苦痛と永遠のもの:一時的な苦痛や困難の象徴として解釈される一方で、治療を受けることで永遠の救済や回復の象徴としても解釈される。
キーワードから見えてくるこの物語の主題は?
恋人の死、友人の失踪やその原因を自分が作ってしまったことなどの失意から解放されるのは、時間の経過だということなのだと思った。