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【読書ノート】『芹葉大学の夢と殺人』(『鍵のない夢を見る』

『芹葉大学の夢と殺人』(『鍵のない夢を見る』
辻村深月著


主人公(二木未玖)が、ラブホテルの非常階段から転落し意識不明の重体となったところから物語は始まり、事件に至った経緯が、物語となっている。

二木未玖と羽根木雄大の出逢いは芹葉大学。

未玖には、デザインという夢があった。雄大は、医者になってから、サッカーの選手になるという途方もない夢をもっていた。いまは、芹葉大学教授殺人事件の容疑者になっている。

気になったキーワードをあげてみる。

①芹葉(セリバ)
セリ科の植物で、料理に使われることが多い。花言葉において、芹葉は「用心深さ」、「節制」、「努力」を象徴する。これは、芹葉が一年中緑色を保つことから来ていると考えられます。また、古代ギリシャの神話において、芹葉は勝利の象徴とされ、競技会の優勝者に芹葉の冠が授けられたりした。また、芹葉は伝統的に邪気を払い、悪霊を避ける力があるとされている。


②「鍵のない夢を見る」とは、

解決策や答えが見つからない問題や状況に直面していることを象徴している。これは、私たちが何かを理解しようとしたり、制御しようとしたりするときの困難さを示している。

また、この表現は自己探求の過程を暗示しているかもしれません。鍵は通常、秘密や知識へのアクセスを象徴し、鍵がないというのは自己理解や内面への洞察が不足する状態を指す。

さらに、達成したい目標や願望がはっきりとは定まらない、あるいは現在の道筋が見えないような状況を表しているかもしれない。これは人間の無力さや不確実性への不安を象徴する。

これらの解釈は、哲学の中でも特に実存主義のテーマに連なるもので、自己認識、自由、選択、意味の探求などの問題に関連している。

キーワードから見えること。

ひとはよく、将来の夢について語りたくなってしまう。そして多くの夢は、人間社会の中で、見させられている漠然とした成功者の姿だったりする。

雄大は、サッカー選手になりたかったのだけど、サッカー選手の選手生命は短いから、将来設計として、食いっぱぐれのない医者になろうという。工学部に入学しているから、学業と両立させながら、医学部の受験勉強をするのだという。これって夢なのか?趣味と手段としか思えないが、、でも、現実は、医学部入試は突破できず、さらには、指導教授とウマが合わず、工学部すら卒業できずに放校扱いになってしまう。

あまりにも哀れな物語に涙が唆られる。


本書の主題は何か?
人生の中で「夢」って何かということなのだと思った。

振り返ってみて、自分には、夢はあったのだろうか?
私が就職するときは、あまり夢とか意識していなかったと思う。海外に出たいという思いはあったけど、、中近東の過酷な建設現場に行ってみたいくらいの思いはあったと思うけどね。海外には出たけど、まったく、想像もしていなかった人生を歩んできたものだったなあと思う。

人には必ず、何らかの使命が与えられているのだと思う。その使命が何かということにいつ気づくことができるか?その使命みたいなものが、神様が見せてくれる夢なのだと思う。ひたすらその役割を演じることが、そのまま、幸せに繋がっているように思う。だから、自分の使命を全うする限り、衣食住は、きっと満たされるのだろうと思ったりしている。

まあ、面白いくらいに、自分が努力して勝ち得たものって少ない。
幸せは天から降ってくるようなものだなあと日々思う。

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