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【読書ノート】『手紙』

『手紙』
東野圭吾著


直貴の大学進学のために金が必要だった兄剛志は、空き巣に入る。思いがけず強盗殺人を犯してしまう。剛志は、獄中から月に一度、直貴に手紙を書き、自分の罪を告白するという話。

直貴は、「強盗殺人犯の弟」という世間の冷たい視線を常に浴びながらも慎ましく幸せな家庭を築いていく決意をする。やがて、直貴に娘が産まれ、健やかに成長するとともに、世間の冷たい視線は、娘に対しても容赦なく襲っていることを知り、直貴は、剛志に離縁する決意を綴った長い手紙を出す。

剛志は、直貴の手紙を読んではじめて、本当に自分の犯してしまった罪の重さを知る。そして、無神経にも、被害者家族に毎月手紙を書いてしまっていたことを悔いる。

物語の主題は何か?

罪と罰ということなのだろう。
ドストエフスキーの『罪と罰』には、信仰という希望があったのだけどね。この『手紙』には、信仰はない。6年間謝罪の手紙を不器用にも送り続けけた剛志に対して、被害者家族は許せない気持ちが強くのこっていたのだけど、加害者家族(直貴)の不幸な状況を知って、はじめて、恨み続けることをやめようと決意する。


「主はあなたの道を定め、あなたの歩みを守られます。」(詩篇 37:23)
この言葉は、物語の中で描かれるように、運命や選択に直面した際に信仰と自由意志を持って進むことの重要性が、強調されている。

人生、神様に委ねて、信仰を持って歩むということなのだろうなあと勝手に思ってしまったけれど、そんな悲劇が起こった時、耐えられるのか、なかなか難しそうだとは思った。

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