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全部、カラフル

「そういえば、ピンクだった」
「私は白だった」
「私は黄色だった」
何の話かといえば、「大学の入学式に来ていたスーツの色の話だ。

最近、朝ドラ「半分、青い」が面白い。

朝ドラには珍しいような気がするが、舞台はバブル時代の1980年代から90年代。私が、高校、大学、就職と青春時代を過ごした時代。
ストーリーも素晴らしく、創作する者にとって毎回心に沁みる言葉が飛び出す。そのことについては、また別の機会に書くとして、今回は、そこに出てくる登場人物のファッション・ウォッチングがたまらなく楽しいということを書きたい。

まず、主人公の鈴愛(スズメ)の師匠、漫画家の秋風羽織の秘書、菱本さんが着ているのは、当時流行していた、フリルたっぷり、大きな花柄のフリフリワンピースで有名だった「ピンクハウス」を意識した衣装。これが、菱本さん演じる井川遥さんによく似合っている。当然「可愛い」とネットでも話題だそうだ。
鈴愛は、黄色のパステルカラーのシャツにオーバーオールを着ていたり、カエルの柄のワンピースを着たりする。今日は、お気に入りのドレスが洗濯でダメになって、お母さんから借りた柄の入ったダブダブの緑色のワンピースを着ていた。
真っ赤の手編み風のざっくりニットを着ていたり、赤と白のボーダーのTシャツを着ていたり。
友達の裕子は、細かい花柄のシャツをよく着ている。
鈴愛の幼馴染の律は、人生で初めてディスコに行くため、真っ赤の柄柄なイタリア人もびっくりしそうなシャツを買っていた。
あの時代の流行をちゃんと追っていて、「そうそう! あんな服着てた!」と懐かしさがこみ上げる。
そして、登場人物の服装がカラフルなのだ。
あの時代、洋服はとてもカラフルだった。

最近の大学の入学式をテレビで見ると皆、黒か紺のスーツを着ている。就職活動だって、色が決められているように、皆一様に紺色だ。
でもあの時代は違ってた。
私が着たのは、水色のスーツだった。
入学式の直前、デパートへスーツを買いにいった。
ラックには、色とりどりのジャケットとスカート。ピンク、黄色、水色、緑、白。黒や紺は見当たらなかったと思う。シックといえば色はグレーか茶くらいのものだった。ジャケットのボタンはダブルで肩パットが入っていた。スカートはタイトとフレアの2種類があった。私は、その中から水色のジャケットとフレアスカートを選んだ。
入学式にはそんな人がわんさと集まって、ほんとうにカラフルだった。時代の元気さを物語っているようだった。

友人Kさんは、とても真面目で、硬派で、彼の私服を見るにファッションには特に興味なさそう。その彼にも聞いてみた。
「入学式のスーツですか? 確かー、水色でした」
なんと偶然にも私と同じ色。というか、ファッションとかそれほど興味なくても水色を着る時代だったんだ、やっぱり。彼の言葉は「バブル期はカラフルだった」という自論に説得力を持たせてくれた。

逆にバブル時代、車は白か黒か茶色だったかも。あぶない刑事は、白か黒か茶色の車に乗っていたような。
洋服が派手な代わりに、車が地味だったか。
最近、妹が車を買い替えた。色が黄色だった。その少し前、父が買ったのは水色の軽自動車だった。
そういえば近頃、黄色や赤、たまにピンクなんかの車を見かける。
ちょっと前にトヨタの高級車クラウンにもピンク色が出たと話題になっていた。
実は、私も今の車を買うときに赤にしようか迷ったんだった。(結局夫の反対にあい、黒になったのだが)
洋服が地味な今の時代、車はとてもカラフルなんだ。

そう考えると、私たちはどこかで色を身に纏っていたいのかも。
そんな気持ちを、素直に洋服で発散していたあの時代はすごいな。
なんて、色について勝手な解釈をしながら、今日も「半分、青い」でファッションウォッチングを楽しんでいる。

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