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ウォーキングが習慣になるまで #習慣にしていること

顔に汗をにじませながら、歩いている。
街路樹の横を通る。セミの声が大きくなって、また遠ざかる。「セミのドップラー効果」などとしょうもないことを考える。

去年の年末から始めたウォーキング。
気が付けばはや7か月続いている。自主的に始めたことが、こんなに続いているのは、初めてかもしれない。

きっかけは、人間ドックで指摘された「血糖値の高さ」だ。正常値の中でじわじわと上がり続けた数値がついに「要注意」エリアに達した。
まだ40代。されど40代。
人間の体は本来50歳までしか保証がないらしい。そういう設計なのだそうだ。体が多少の無理に耐えられるのは50歳まで。それ以降は「おまけの健康」と考えないといけない、養生して大事に使ってもたせていかないといけないのだと、何かで読んだ。当たっていた。

「まずは、ウォーキングとか軽い運動から始めたらどうですか?」
ドックの診察時に医師に言われた。まあ、やってみるかと始めた。

運動は子供のころから嫌いだ。
理由は二つ。
運動音痴で、跳び箱も鉄棒も50メートル走も、球技もからきしダメだった。運動部なんて近づく気にもならなかった。おかげで年中運動不足、筋力もなし、体力もなし。ますます運動ができない。悪循環。
もう一つは、アトピー。
運動して体が温まると、全身がかゆくなる。特に汗をかくと、その塩分なのかなんなのか、首筋、ひじの内側、膝の裏側が恐ろしくかゆくなる。汗を拭いてもかゆみは収まらない。かきむしって傷ができて血が出る。傷に汗がしみて痛い。
この辛さを教師も同級生も理解してくれなくて、体育の時間は地獄だった。
できるだけじっと、汗をかかずに、最小限の運動でごまかす習慣がついた。
思春期を過ぎたら、立派なおデブ体型になっていた。

そんな私でも、今回のウォーキングは7か月続いてる。
体重は5キロ落ちた。(適切な食事管理も行っております)
寒い冬から、コロナ騒ぎの春を過ぎ、セミの鳴く夏になった。振り返れば、あっという間だったけれど、続けるために試行錯誤も続けてきた。

1 季節を乗り越える

当たり前だけど、冬は寒くて、夏は暑い。日本に四季があるから。
歩き始めた12月末。私は、とても寒がりだ。暖かくないと絶対外に出られない。だから、モンベルのダウンコートを羽織り、マフラーを口までたくし上げる。イヤホンの上には、もふもふのイヤーマフラー、手袋のフル装備。
1年で一番寒いのは、1月末だと知った。南国と言われる四国でも、この時期は雪が舞う。そこで、モンベルのダウンコートの下にUNIQLOでウルトラダウンジャケットを着た。パンツは裏起毛。もはや、歩く雪だるま。でも暖かいので気持ちが良かった。
2月、3月とだんだん温かくなるにつれ、ダウンコートを脱ぎ、起毛ズボンをやめ、マフラーをはずし、手袋をはずして、最後にイヤーマフラーを取った。季節は春になっていた。
現在は、星野源のライブTシャツと、薄手のパンツ。これからは、冷却タオルを追加しようかと思案中。
そしてまた、夏が過ぎて寒くなれば、一枚ずつ着て、雪だるまになる予定。
自分の体調に合わせて、着るものを変えていくこと。

2 行きたくないを乗り越える

雨が降っている。風が強い。寒い。暑い。今日は仕事が忙しかった。見たいドラマがある。noteが読みたい。SNSでおしゃべりがしたい。晩御飯でお腹いっぱいで眠い。
行きたくなくなる理由はたくさんある。毎日、誘惑と闘っている。
だから、帰宅してすぐに、仕事着からウォーキングの服に着替えることにしている。行っても行かなくてもとにかく着替える。それから晩御飯を食べる。
食べたら、すぐに立ち上がってお皿を片付ける。
自分にだらける隙を与えない。だらだらとスマホを見たり、ドラマの録画を見始めたら最後、お尻がソファにくっついて離れなくなるから。
TwitterやLINEに「歩いてくる!」と宣言する。言うと「行きませんでした」と言いにくい。仕方なく、行く。
「今日は5分でいい」と自分に言い聞かせる。
5分でいいと思って外に出ても、結局1時間歩けてしまうものだ。
もちろん、本当に土砂降りの雨の日は行かないし、残業してへとへとの日は行かない。
つまり、誘惑を感じる隙を与えないこと。

3 飽きるを乗り越える

歩くのはだいたい夜。安全を考慮して、明るい幹線道路沿いを歩いている。地方は人が少なくて、幹線道路を外れると街灯もなく、人もおらず、田んぼばかりで真っ暗。学生時代、幹線道路を1本入った暗い道で痴漢に遭ったことがある。声を上げても誰もいない。あのまま連れ去られても誰も気づかなかっただろう。本当に怖かった。
だから、毎回、安全そうな同じルートを歩いている。
約1時間、毎日のように歩くと、当然飽きる。
「もう、今日はここまででいいか」なんて思いが毎日よぎる。
そこで、ゴールとご褒美を設定した。目的地は近所の書店やコンビニ。1時間歩くと書店やコンビニに到達できるようにルートを決める。毎回、最後にそこに立ち寄って、本を買ったり、飲み物やヨーグルトなんかを買ったりして帰ることにした。
ご褒美があると、頑張れる。単純だ。

それから、好きなドラマを動画配信サービスからダウンロードして「聴く」。ドラマは大体1時間弱なので、時計代わりにもちょうどいい。一話聞き終わるころには、家に帰りつくという具合。
私の場合は、「おっさんずラブ」。最終回の田中圭くん演じる春田の「牧がスキだー」は100回以上聴いたから、あの辺の牧と春田のセリフ、全部覚えてしまった。
途中で帰りたくならないようにする仕掛けをもつこと。

4 やめたいを乗り越える

「こんなに頑張らなくてよくない?」ふと頭をかすめることがある。
太っていても、多少、血糖値が高くても、元気な人はいるし、最近はお薬も進化してちゃんとコントロールできるのだから、こんなに頑張って時間を作って、面倒な運動をしなくてもいいんじゃないかと思うことがある。周りを見たって、ストイックに健康管理をする人より、食べたいものを食べたいときに食べて、運動なんかしない人のほうが多い。不健康自慢大会はあっても健康自慢大会は開催されない。こんなに頑張って健康管理をしたって、病気になるときはなるし、長生きする保証はない。
そういう、やさぐれた気持ちになることがある。
そういうときは、数少ないダイエット仲間と話すことにしている。
例えば、夫。もうかれこれ数年、スポーツクラブのプールに通っている。ほんの少しでも時間を見つけて通っていて(時には有休を取ってでも)すごいと思う。常連のおばさん方に交じって、黒一点、水泳レッスンを受けている彼のメンタルは相当強い。
「僕もこれから、水泳に行くよ」と言われると、負けられない。「私も行く」と言い返してしまうので、行ける。
例えば、友人A氏。ストイックな性格の彼が最近ダイエットを始めた。彼に勧められて始めたウォーキングアプリは、歩くとポイントがたまる。「今、4000ポイントだよ」と聞けば、自分はのポイントと比べて「いつか抜いてやる」と、ライバル心が燃えて頑張れる。最近は、別の友人Bちゃんにも勧めて、競い合っている。それが、とても楽しい。
それから、周りの友人たち。
「続いているね」「頑張っているね」と遠くから見守って、励ましてくれる方たち。「明日も頑張ろう」と思える。原動力。ありがとう。
仲間やライバル、応援してくれる人をつくること。

5 最後に

ずっと運動が嫌いだったのは、自分のペースが守れなかったからだ。
みんなと同じように、走れたり飛べたりできないと落第とされる、やりたくない日や体調がよくないことが考慮されない状況がだめだったのだ。
スポーツジムに入会したこともあったけれど、インストラクターの何気ない「あなた、嫌そうにやってるね」という言葉にショックを受けてやめてしまった。図星だった。周りの人が、走ったり、鍛えたりするのを見るのが辛かった。自分はあんなふうにできないという劣等感しかなかった。

今朝は休日だったけど、早起きしたのでウォーキングに出かけることにした。ウエアに着替えて、日焼け止めを塗って、キャップをかぶり、シューズを履いて玄関を飛び出した。玄関の鏡に自分がちらっと映った。
そこには、昔あこがれた「ランニング女子」がいた。
いや、見た目は全然違うんだけど、そこに運動を嫌ってない、楽しもうとしている人間がいるなと思った。
ガンガン走れるわけでも、早くたくさん歩けるわけでもないけれど、誰の真似でもなく、自分の調子を知って、自分が楽しいと思える方法で運動を続けているこことがちょっとうれしかった。
やめなくてよかった。

新しいことを習慣にするのは、難しい。続けるには試行錯誤が必要で、めんどくさい。
いろいろ書いてきたけど、習慣にするために必要なことは一つ。

やめないこと。

ただ、それだけだ。


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