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カウンセリングは何をしているのか①

カウンセリングに対してどんなイメージをお持ちでしょうか?

ラーメン屋はラーメンを提供してくれるお店で、それが食い違うことはほぼないと思います。けれど、カウンセリングの場合は、一般の方が持たれているイメージと、カウンセラーが提供しようとしているものにギャップがあるように思います。

カウンセリングについてよく聞くのは、「心が病んだときに、ゆっくり話を聞いてもらい、癒される」というイメージです。

これは、間違いではありませんが、正しいかと言われればそうでもありません。カウンセリングにも様々な流派のようなものがあって、それぞれの主張があるのですが、いずれにしろ、一般的なイメージとの間にギャップがあります。

では、何を提供しているのかと言うと、僕は「自己理解」を提供しているのだと考えています。もちろん、カウンセリングを受けた感想として、話ができてスッキリしたと言う方は多いです。これもカウンセリングの効果の1つです。自分の思いを表現することで、ある種の癒しが生じます。しかし、それは目的というよりは、自己理解を深める過程で生じることだと思います。

なぜ自己理解を深めることが重要かと言うと、自分の得意なことを知ることで、強みを活かすことができ、苦手なことを知ることで、それを補う工夫を増やせます。その結果、社会の中で生きやすくなるのです。これがカウンセリングの大きな目的の1つです。

そのため、カウンセリングは精神的に不調な人だけを対象としているわけではなく、意欲がある人はどんな人でも対象としています。ただ、実際には、特別な問題がない時にカウンセリングを受けに来られる方は少ないです。一方で、精神的に調子を崩した際には、問題が差し迫っていますし、自分自身について考える題材も鮮明なので、カウンセリングに取り組みやすくなります。結果として、カウンセリングにはそのような方が多く来られます。

しかし、カウンセリングが何を提供しているかを考えると、どんな方にとっても意義あるものだと思います。仕事で忙しい人にとっても、時には、自分自身について振り返る機会を持つことで、人生が豊かになるかもしれません。カウンセリングへの理解が進んでいる欧米では、そのような利用をする人もたくさんいるようです。日本では、「心が病んだとき」に利用するものというイメージがあり、まだまだ限定的な使われ方をされることが多いのですが、提供する側としては、少しもったいないようにも感じてしまいます。

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