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いじめと排他行動

ずいぶん前に、動物園の園長さんとお話しする機会がありました。日々、動物のことを観察しているから、人間を動物的側面から理解していて、自分にとってはとても新鮮に感じられました。

色んなお話を聞く中で、「動物にもいじめってあるんですか?」と聞いてみたのです。すると、「動物なんか、めちゃくちゃいじめるよ」と即答されました。それは人間のいじめとは少し違い、排他行動というそうです。動物は自分の身を守るために他者を排除する。けど、それは悪いことじゃなくて、その種、全体を考えれば必要な行動でもある。排除された者は、その場を去らなければいけなくなり、新しい場所で自分のテリトリーを作る。それがその種にとっては広がりを生み出すことにもなっている。だから、人間も生まれ育った町を離れていくのは自然なことで、戻ってきて親を看取るなんてのは動物の世界ではありえないことだ、というお話でした。

いじめがどうやったらなくなるか?については、昔から議論がなされていますが、今でも難しい問題です。園長さんの話を聞くと、そもそも人間の動物的な部分として根付いている行動なのかもしれません。

これを前提として対策を考えないと、いじめについては全く見当はずれになりかねません。もちろん、いじめを肯定するわけでも、いじめている人を容認するわけでもないです。しかし、善人と悪人がいて、いじめをする悪人を善人が懲らしめるといった水戸黄門のような図式では、問題解決にはつながらない気がします。「どんな人でも、誰かをいじめる可能性がある」という前提に立たないと、前進しない問題じゃないかな、と思うのです。

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