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助けられ力
10年ほど前に、チュニジアと南イタリアを旅行しました。はじめにチュニジアを周り、その後フェリーでシチリア島に向かいました。シチリアには、夜の10時半に着く予定でしたが、遅れに遅れ、夜中の2時に着きました。着くと、自分以外の乗客は地元の人だったのか、行くべき場所がはっきりしており、それぞれ散り散りに去っていきます。地図を見ながらホテルの場所を確認していると、自分とゴミを漁る人だけが取り残されており、危険な香りが漂ってきました。シチリア島=マフィアというイメージもあり、ドキドキしつつホテルへ向かいました。予約していた安宿は、やはりというかシャッターが下ろされており、真っ暗でした。これは野宿しかないかな?けど、危険だよなと考えながら、途方に暮れました。
すると、細い路地からトロトロと一台の車がやってきました。おもわず車の前に身を投げ出し、人生で初めて「Please help me」と心から言いました。車には若いカップルが乗っていて、「どうしたの?」と止まってくれました。事情を説明すると、「そこ(ホテルの入口)に電話番号が書いてあるから、電話したら?」と。「いや、イタリア語話せないから…」と言うと、彼らが電話をかけてくれることに。そして、「10分くらいでホテルの人が来るみたい」と教えてくれ、その間、車を脇に停めて一緒に待っててくれました。
自分はシチリアを恐れていたのですが、彼らからすると、こちらの方が汚い格好の怪しい東洋人です。それでも彼らが助けてくれたおかげで、屋根の下で寝ることができました。
彼らが良い人だったのはもちろんですが、そこで助けてやろうという気持ちにさせ、助けてもらえるのも能力ではないでしょうか。これを“助けられ力”と呼んでいて、生きていく上でかなり重要なものだと思っています。
普通は人を助け引っ張っぱる方が、尊敬されるし目標とされます。のび太よりもドラえもんの方が、やはり目立ってます。けれど、トゲトゲした雰囲気が出ていたら、誰も助けてはくれません。どこか力をかしたくなるような雰囲気が漂っているから、助けてもらえるのです。
人に助けられるのも、1つの能力です。この能力は地味ですが、他者と何かをするときには必要です。当たり前ですが、一人でやれることには限界がありますから。
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