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【プロジェクト プランニング】03 プロジェクト プランニング 9ステップ

プロジェクト プランニング 9ステップ

プロジェクト プランニングを実施するタイミングは、ビジネス構想策定では課題解決プロジェクトを立案し評価するとき、ビジネスデザインでは課題解決プロジェクト 実行計画を定めるときです。

ビジネス構想策定およびビジネスデザインでは、プロジェクト プランニングを以下の9ステップで実行します。

1.課題解決 達成目標および施策を理解する
2.施策スコープを定める
3.プロジェクトスコープを定める
4.プロジェクト業務工数を見積もる
5.プロジェクトスケジュールを定める
6.プロジェクト体制を定める
7.プロジェクトステークホルダーを分析する
8.プロジェクトリスクを評価する
9.プロジェクト プランニングをまとめる


プロジェクト 5つのレベル

プロジェクトを5つのレベルで可視化し、プランニングします。

プロジェクトとは、「特定の目標を達成するために有期で実行する取り組みを定めたもの」です。

プロジェクトフェーズとは、「意思決定および承認ポイントに基づきプロジェクトプロセスの集合を時系列で定めたもの」です。このレベルで課題解決アプローチを定めます。

プロジェクトプロセスとは、「特定の成果および成果物を創出するために遂行する活動を定めたもの」です。プロジェクトプロセスをワークパッケージとも呼びます。プロジェクト業務工数を算定し、プロジェクトスケジュールを分析する単位になります。

プロジェクト・アクティビティとは、「プロジェクト活動の順序および情報の流れを定めたもの」です。

プロジェクト・プロシージャーとは、「プロジェクト・アクティビティにおける手順、スクリプト、シナリオを定めたもの」です。


プロジェクト プランニング アクティビティ ステップとは

プロジェクト プランニング アクティビティ ステップとは、「プロジェクト プランニング 9ステップ毎に成果を創出する活動の基本形を定めたもの」です。

プロジェクト プランニングを遂行する際には、この基本形に基づいてプロジェクト・アクティビティ ステップを組み立てます。


1. 課題解決 達成目標および施策を理解する

課題解決に関する情報を収集し、課題解決 達成目標、課題解決 変革テコおよび施策、プロジェクト品質管理基準を理解します。

課題解決 達成目標とは、「課題解決において組織あるいは個人が実現し、達成しようと決めたこと」です。「主要成功要因」「評価指標」「目標値」「達成期限」の4つの要素を理解します。

課題解決 変革テコとは、「課題解決において目標を達成するために変革すべき経営資源の要素のこと」です。課題解決において、変革すべき経営資源の組み合わせを理解します。

施策とは「目標達成における課題を解決するために実行すべきこと」です。課題解決において実行すべき施策を理解します。

プロジェクト品質管理基準とは、「プロジェクト成果物の品質を向上させるためにプロジェクト プランニングおよびプロジェクト マネジメントにおける判定基準および管理基準を定めたもの」です。これらの判定基準および管理基準を理解します。


2.施策スコープを定める

施策スコープとは、「課題解決プロジェクトの施策において対象とする経営資源の範囲のこと」です。

施策スコープを「調査・分析の対象とする範囲」および「施策実行の対象とする範囲」の2つに分類し、対象とする「事業」「組織」「ビジネスファンクション」「ビジネス情報」などの範囲を定めます。

最初に対象とする事業および対象外とする事業を定めます。対象範囲を明示するために、ビジネスファンクション・マップを用います。

次に対象とする事業に関係する組織を抽出します。関係する組織とは、「特定の事業におけるビジネス活動において役割を有する組織のこと」です。関係する組織を「顧客(顧客企業、消費者など)」「取引先(仕入先、業務委託先など)」「官公庁、行政機関」「金融機関」「自企業組織」「グループ企業組織」の6つに分類します。

次に関係する組織に基づいて、対象とする組織および対象外とする組織を定めます。対象範囲を明示するために、ビジネスイベント バウンダリー・マップを用います。

次に対象とするビジネスイベントを定めます。ビジネスイベントは、5つの要素「外部組織」「ビジネス情報」「事由」「頻度」「媒体」の組み合わせで定めます。対象範囲を明示するために、ビジネスイベント一覧を用います。

次に対象とするビジネス情報を定めます。ビジネス情報は、エンティティおよびエンティティ・リレーションシップで定めます。対象範囲を明示するために、エンティティ一覧を用います。

次にその他の対象とする経営資源の範囲を定めます。


3.プロジェクトスコープを定める

プロジェクトスコープとは、「課題解決プロジェクトにおいて創出するプロジェクト成果物の範囲および遂行するプロジェクトプロセスの範囲のこと」です。「プロジェクト成果物」「プロジェクトフェーズ」「プロジェクトプロセス」「プロジェクト・アクティビティ」を定めます。

最初に、課題解決プロジェクトにおいて創出するプロジェクト成果物の主構成要素を抽出します。主構成要素とは、プロジェクト成果物を大きく分類したものです。

次に「WBS構成要素分解」を用いて、主構成要素を分解します。主構成要素をもれなく構成要素に分解します。分解のしかた、分解するレベル数は任意です。分解のしかた、分解するレベル数が異なっていても、最終的に抽出されるプロジェクトプロセスは同じになるはずであるという考え方に基づいています。

次に分解した構成要素毎にプロジェクト成果物を創出するプロジェクトプロセスを定めます。分解した構成要素に対して1つあるいは複数のプロジェクトプロセスを定めます。プロジェクトプロセスをワークパッケージとも呼びます。「投入リソースを分析・管理する単位」「スケジュールを分析・管理する単位」「コストを分析・管理する単位」「チーム毎の役割を定義する単位」として用います。

次に課題解決プロジェクトにおいて必要とする意思決定ポイントおよび承認ポイントを定め、一連のプロジェクトフェーズを定めます。

次に定めたプロジェクトプロセスを各プロジェクトフェーズに割り当て、プロジェクトフェーズ毎にプロジェクトプロセス依存関係を定めます。このプロジェクトプロセス依存関係は、プロジェクトスケジュールを分析するときに使用します。また、プロジェクトスケジュールを定める前提事項になります。

次にプロジェクトプロセス毎に創出する個々のプロジェクト成果物、プロジェクト・アクティビティ ステップあるいはプロジェクト・アクティビティを定めます。

次にプロジェクトプロセス毎にチーム・フォーメーションを定めます。チーム・フォーメーションは、1:1形あるいは1:N形で定めます。

1:1形とは、「チームリーダー1名、チームメンバー1名でのチーム編成のこと」です。
1:N形とは、「チームリーダー1名、チームメンバー複数でのチーム編成のこと」です。


4.プロジェクト業務工数を見積もる

プロジェクト業務工数とは、「プロジェクトプロセスを遂行する上において、割り当てを必要とする要員の業務工数のこと」です。

最初にプロジェクトプロセス毎に、測定する方法を定めます。プロジェクト業務工数を測定する方法は、「アクティビティ時間測定法」「アクティビティ時間枠測定法」「成果物数量測定法」「ソフトウェア機能規模測定法」などです。

アクティビティ時間測定法とは、「プロジェクト・アクティビティ毎に要する時間数を測定する方法」です。測定した時間数を積み上げる方法です。

アクティビティ時間枠測定法とは、「プロジェクト・アクティビティ ステップ毎に要するアクティビティ時間枠数を測定する方法」です。あらかじめアクティビティ時間枠当たりの時間数を設定します。ビジネス構想策定、ビジネスデザイン、ビジネステストなどのプロジェクト業務工数の見積もりに用います。

成果物数量測定法とは、「プロジェクト・アクティビティ毎に生成する成果物の数量を測定する方法」です。あらかじめ成果物毎に生成に関する生産性を設定します。業務マニュアル作成、操作マニュアル作成などのプロジェクト業務工数の見積もりに用います。

ソフトウェア機能規模測定法とは、「情報システムの設計・構築に要するプロジェクト業務工数を算出するために、システムファンクション数、エンティティ数、属性数などを測定する方法」です。あらかじめプロジェクトプロセス毎に設計・構築に関する生産性を設定します。ソフトウェアの特性に応じたソフトウェア機能規模測定法がありますが、その中でも著名なのはファンクションポイント法です。

次にプロジェクトプロセス毎の測定方法に基づいて、プロジェクト業務時間を算出します。

次にプロジェクトフェーズ毎のプロジェクト業務工数を算出します。


5.プロジェクトスケジュールを定める

プロジェクトスケジュールとは、「目標とする期間内にプロジェクトおよびプロジェクトプロセスを遂行するためのスケジュールのこと」です。

プロジェクトプロセスにおける「プロジェクトプロセス依存関係」「プロジェクトプロセス毎のリソース投入量」「プロジェクトプロセス毎の所要日数」「プロジェクトプロセス毎の余裕時間」「最短所要日数/クリティカル・パス」の5つの要素を分析した上で、プロジェクトスケジュールを定めます。

最初にプロジェクトスコープおよびプロジェクト業務工数を理解します。

次にプロジェクトプロセス依存関係およびプロジェクトプロセス毎のリソース投入量を調整しながら、「スケジュール・ネットワーク分析」を用いて最短所要日数およびクリティカル・パスを分析します。

プロジェクトスケジュールは、「スケジュール短縮化」「リソース平準化」「リソース円滑化」の3つの視点で分析します。

スケジュール短縮化とは、「プロジェクト期間を短縮するために、クリティカル・パス上にあるプロジェクトプロセスの生産性およびリソース投入量などを調整すること」です。

リソース平準化とは、「リソース投入量を一定にするために、プロジェクトプロセスの開始日および所要期間、チーム・フォーメーションなどを調整すること」です。

リソース円滑化とは、「リソース稼働を高めるために、プロジェクトプロセスが有する余裕時間を用いてリソースアサインメントを調整すること」です。


6.プロジェクト体制を定める

プロジェクト体制とは、「課題解決プロジェクトを実行するためのプロジェクト組織体制、チーム・フォーメーション、プロジェクトロール、プロジェクト人財要件、プロジェクト運営会議体を定めたもの」です。

プロジェクト組織体制とは、「課題解決プロジェクトを実行するための役割、責任および権限を定めた組織の形のこと」です。

チーム・フォーメーションとは、「プロジェクトプロセス毎に定めるチーム編成の形のこと」です。プロジェクトスコープを定める際に、プロジェクトプロセス毎に定めたチーム・フォーメーションをまとめます。

プロジェクトロールとは「プロジェクトプロセスおよびプロジェクト・アクティビティにおける担当チームおよび担当者の役割、業務権限、必要とする資格を定めたもの」です。

プロジェクト人財要件とは、「担当するプロジェクトプロセスおよびプロジェクト・アクティビティを遂行するために必要とする業務知識、業務遂行能力、業務経験、保有資格を定めたもの」です。

プロジェクト運営会議体とは、「プロジェクト運営において、意思決定機関および責任者から承認を得るまたはプロジェクト関係者の合意を得るために開催する会議のこと」です。ステアリングコミッティ、キックオフ・ミーティング、成果報告会、進捗報告・ミーティングなどを開催し、運営します。


7.プロジェクトステークホルダーを分析する

プロジェクトステークホルダーとは、「課題解決プロジェクトの目標達成において直接および間接に利害関係を有する組織および個人のこと」です。

目標達成において全てのプロジェクトステークホルダーが積極的に関与するとは限りません。プロジェクトステークホルダーを特定し、関与度ギャップ発生の原因を分析することにより、課題解決プロジェクトへの関与を促進するために行う活動を定めます。

最初にプロジェクトステークホルダーを特定します。

次に関与度ギャップ 評価軸および評価基準を定めます。関与度ギャップを評価する軸は、「プロジェクトに対する態度」「プロジェクトに関する合意度」「担当するビジネス活動におけるプロジェクトへの影響度」「他プロジェクトにおけるプロジェクトへの影響度」などです。

次にプロジェクトステークホルダーに関する情報を収集します。直接的に情報を収集する場合には、インタビュー、ヒアリング・セッション、アンケート調査などを実施します。

次にプロジェクトステークホルダーの関与度ギャップを評価し、関与度ギャップが発生している場合には、関与度ギャップが発生する原因を分析します。

次に原因分析結果に基づいて、プロジェクトステークホルダーに関与を促進していただくための活動を定めます。


8.プロジェクトリスクを評価する

プロジェクトリスクとは、「課題解決プロジェクトの目標達成に対する影響のこと」です。影響とは、「期待されることから好ましい方向および好ましくない方向に乖離すること」です。

課題解決プロジェクトにおける目標達成に対するリスクを特定し、そのリスクの影響を評価することにより、リスクへの態度および対策を定めます。

プロジェクトリスクを抽出する際には、専門家および類似プロジェクト経験者へのヒアリング・セッションを実施した上で、プロジェクト関係者と検討・セッションを実施します。

次に抽出したプロジェクトリスクにおけるプロジェクトリスクレベルを評価します。プロジェクトリスクレベルを評価する軸は、「起こりやすさ」および「目標達成に対する影響度」です。

次にプロジェクトリスクレベルの評価結果に基づいて、プロジェクトリスクに対する態度および対策を定めます。プロジェクトリスクに対して定める態度は、「リスクを回避する」「リスクを追求する」「リスクを共有する」「リスクを低減する」「リスクを保有する」です。


9.プロジェクト プランニングをまとめる

プロジェクト プランニングにおける成果一式をまとめます。

プロジェクトオーナーへプロジェクト プランニングにおける成果を報告します。


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