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「お客様と一緒に、今までにない製品を作りたい」松本機械製作所代表取締役”松本知華”さん

「技術の松本」として業界からの信頼が厚く、製薬業界向け遠心分離機としてトップメーカーであり続ける松本機械製作所の4代目社長、女性リーダー松本知華(まつもとちか)さんにお話を伺ってきました!

出身地:大阪府堺市
活動地域:大阪府堺市近隣
経歴:新卒でベンチャー系のセールスプロモーションの会社へ入社し、32歳の若さで75年続いてきた遠心分離機メーカーの4代目社長に就任。現在はこれまでの経験を活かしながら様々な変革を行っている。

Q.どんな夢(ビジョン)を描いていますか?

「今までにない製品を作りたい」というのが一番にあります。私たちの生活は日進月歩のため、当社の主なお客様であるメーカー様が新しいものを開発しようとするときに、新しい機械が必要になります。この機械が当社の製品なんです。機械をオーダーで作る際にお客様をサポートしながらお客様と一緒に新しいものを創造していきたいと思っています。

例えば新しい感染症などが出てくると、製薬企業の方から「こんな薬を作りたいからこのような機械が欲しい」という要望を頂きます。そしてお客様の要望通りに作っても、実際に使ってみるとやっぱり改善点が出てきます。そういう時にどうしても大手さんですと対応が難しくなってしまうんですが、当社はひとつひとつお客様が納得されるまで諦めずにやっていくことを信条にしていますので、そういう姿勢を持ちながら「お客様と一緒に新しい価値を創造していきたい」というビジョンがあります。

今までは製薬メーカー様がお客様の7割くらいでしたが、最近はインターネットから探してもらえるような取り組みもしているので、食品メーカー様からもたくさんお問い合わせを頂くようになりました。というのも最近は製薬だけではなく、食品も異物混入にすごくセンシティブになっていきているんです。食品メーカーがお薬を作るような高いクオリティの機械を作る必要性が出てきているため、そのご要望にもお答えしていきたいですね。

それから社内向けには、松本の社員たちに「短い時間働いて、たくさん給料をあげたい」と思ってます。私は松本の4代目になるんですが、「遠心分離機を作りたい!」と思って松本に入ったわけではありません。二代目が祖父、三代目が父でしたので、小さいときから松本の社員にBBQや、社員旅行などで一緒に遊んでもらってる中で「自分がちゃんと学校に通えて、大学まで行かせてもらって、こうやって幸せに生きていけているのも、社員さんみんなが頑張って仕事をしてくれているからだな」と思っていましたので、「会社を守りたい」という気持ちが強くあり、松本に入りました。なので社員の生活をより潤していきたいと思っています。

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※ひとつひとつオーダーメイド製作している遠心分離機

Q.その夢の実現のためにどんな計画(活動方針)を立てていますか?

製品を製造する過程のマニュアル化を進めようとしています。今までは「見て覚えろ」という感じで、Aという職人さんとBという職人さんでは作り方が違っていました。このため新しく入ってくる子が混乱しますし、一人前になるまで10年くらいかかっていました。そこで「これは非効率だな」と思って、職人さんの製造過程をビデオで撮影したり、ひとつひとつヒアリングしながら、10年かかってきたものを3年くらいに短縮したいと思っています。

Q.その上で、現在はどのような取り組みをしていますか?

現在は広告系も力をいれていますが、そもそも松本は戦後に建てたボロボロの工場で、パソコンもほぼ使ったことがなく、見積を出すときも紙に見積金額を書き出して、FAXを送り合うような状態でした。

私は元々インターネットやITに強い会社に勤めており、そこでは見積はシステムなどですぐに情報共有できるようなところでしたので、すごいギャップでした(笑)。

なので入社してからは、まずは機械のことを学ぶために機械を作ったり、仕入れの担当などをしながら社内のことを知ることに努めました。そうしていくと色々な箇所で非効率なところが観えましたので、それに対して自分なりにより効率の良いシステムを作って提案していきました。ただ、当時の私はシステムさえ作れば使ってくれるかと思っていましたが、実際はそんなことなかったんです。

作っても使ってもらえない状態が続いたので、まず部長さんと面談して「こうやったら便利になります」「入力はこういう風にやるんです」と話してみました。すると部長さんからは「わからんくせに口出すな」と言われてすごくバチバチしてました(笑)。やっぱり皆さんからしたら「小さい時に遊んであげた小娘が戻ってきて偉そうに」というのがあったんだと思います。

とはいえ私は、「一緒に頑張ってきてくれた社員を幸せにしたい」という想いで入りましたので、皆さんの思いも汲み取りながら、現在は自分が作ったシステムを少しずつ「こうやったら便利ですよね」と共有しながら、少しづつ歯車を回していっている感じです。

最近はようやく、以前に比べて残業がすごく減って、利益も3倍くらいになってきましたのでやっと「あの人がやってたことも理由があったんだな」と認めてもらえるようになってきましたが、それでもまだまだ「違う!」と言われながらやっています(笑)。

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※作業風景

Q.そのような夢・計画・取り組みをするようになったキッカケはどんなものですか?

「女性なんだから旦那を婿養子に迎えてやってもらう考えはなかったの?」とよく聞かれますが、やっぱり「会社を守らないと」という気持ちが強く、誰か他の人に任せたところで、自分以上に会社のことを思って「自分の人生を犠牲にしてでも会社を守っていきたい」と思える人もいないと思いましたので、他の人に任せる選択肢はなかったです。

あとはそもそも小さい頃から「自分はこの会社で働くもんだ」と思っていたんです。冒頭でも伝えたように、皆さんのお陰で自分の幸せがあると感じていましたので。小さい頃から、「機械を作れるようになりたい!」と思って小学・中学とか数学や物理をすごく頑張ったんですけど、どれだけ頑張っても物理だけは全然だめで・・・。そこで「今の松本に足りないものは何か」と考えた時に、2代目が技術者で、3代目が営業畑でしたので、インターネットやシステム、あとはもっと松本のことを知ってもらえるような広告系の力が必要なんじゃないかと思い、ベンチャー系のセールスプロモーションの会社で色々と学ばせて頂きました。

Q.そのキッカケを持つようになった背景には何がありますか?

やっぱり父が楽しそうに家に帰ってきていたのが大きいと思います。それを見て「楽しいことをやってるんだろうな」と思ってました。家では全く会社の話はしませんでしたが。あとは遊んでもらってた社員さんも楽しそうだったのも大きかったですね。もし父がしんどそうに帰ってきてたらまた違ったかもしれませんね(笑)。

Q.終わりに

いま働き方改革が強く叫ばれていますが、これによって日本が弱体化していく気がして少し違和感を感じています。海外から日本に働きに来る子と接することが多いんですが、その子たちはとてもモチベーションが高いです。しかし日本の若い子たちは「給料が少なくてもいいから、小さい幸せでいい」という風になっており、その中でもやる気のある子が「これがしたい!」と思っても、今の働き方改革では「休みなさい」と言われてしまいます。もちろん強制的に残業させることは問題だとは思いますが、やる気を「強制的に切ってしまう」ということも問題だと思います。

今は目標や夢がない子が多いと感じているので、そこに何かできたら、と思っています。現在の日本は、日本のことを嫌いになってしまう教育が多いのではないでしょうか。私は強い日本を作りたいと思っていますので、今の若い子達には「自己肯定感を持って、夢を持って、全力で走る楽しさを知ってほしい」と思っています。

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【編集後記】
インタビューの記者を担当した冨沢です。松本さんの社員さんに対するものすごく深い愛情と、製品・お客様への徹底した姿勢にとても感銘を受けました。まさにこういったリーダー、会社が増えていくことで強い日本が実現されていくと感じました!

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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。




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