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第4話 手術当日 2021年7月29日 さようなら、外脛骨

 6時起床。喉がからから。担当看護師の前で喘息の吸入をする。12時手術とのこと。起きていると喉が乾き腹も減るので寝ようと思うが緊張しているせいか10分に一度目が覚める。
 爺さんが「引き出しに入れてた名刺入れがなくなった。家族に連絡が取れない」と騒いでいる。相手する看護師も大変そうだ。フットポンプというものを右足につける。空気を入れると右足がぎちぎちになる。血栓ができるのを防ぐためだという。
 朝10時半に点滴を刺す。手術用の針なので太くて痛いですよと言われたが、実際にとても痛くて涙が出そうになった。
 担当看護師が申し訳なさそうに「12時予定が14時になりそうです」と伝えに来る。前の手術が押しているようだ。深田えいみのような雰囲気の看護師が昼の薬を持ってくる。声が低くてとてもエロスな雰囲気。14時半に深田えいみに同棟の手術室へ連れられる。自動ドアの向こうにはドラマや映画で見たことのある格好をした男女が10人以上揃っている。その瞬間緊張感が最大限に。胸元の名札を見せて挨拶をしてくるがまったく耳に入らない。右手につけていた指輪を深田えいみが持ち去っていった。麻酔科術前外来で話した麻酔師が「お久しぶりです。前にお会いした麻酔師です。手術が終わるまで痛いことは一切ありませんので安心してください」と笑顔で言う。もちろんまったく安心できない。今「やっぱり手術やめます!」と言ったらどうなるのだろうと考える。これから全身麻酔をして足を切り開いて骨を抜いてねじで止めて縫って。考えるだけで吐きそうになる。女性に名前とどこを手術するのかを聞かれ答える。左足にマーキングをされる。その先の部屋へ連れられる。ドラマや映画で見たことのある手術室だ。ベッドに横になるように言われる。心臓が激しく鳴る。「やっぱり手術やめます!」と言いたいのを我慢する。脳波を見るため額になにかを貼り付けられる。先が針になっており押し付けると同時に針が皮膚に突き刺さる。とても痛い。「これから全身麻酔を入れますからね。全身がピリピリとします」と麻酔師が言い、その通り全身がピリピリとする。「では大きく深呼吸をしましょう。大きく吸って、吐いて、もう一度大きく吸って」

 痛みで目が覚める。その後に空腹がやってくる。

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