![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/14350208/rectangle_large_type_2_82d61b3e08bc48ce98fcadd3db7cf2d3.jpg?width=800)
日本の歩き方#41上越市吉川区→名立区
日本縦断徒歩の旅 41日目
道の駅、よしかわ杜氏の郷で起床。
近くにコンビニ。目の前に温泉。屋根下の広いスペース。野宿民なら涙を流して喜ぶであろう道の駅だった。
北海道で3回会いに来てくれた上、日本一周を終えて500kmも迂回してくれたライダー旅人、ゆーたとお別れの時間がやってきた。
歩く上での重なる痛み、疲労は慣れる。そして乗り越えられる。
しかし、この時間の寂しさ、辛さの感情に慣れることはなかった。
旅をしてるとこの連続だ。
馴れ合いは好きじゃないし、いつまでも一緒にいるのは旅人同士のあるべき姿ではない。
この道の先のどこかで、今日も不器用に戦っているんだろう。そう思えるだけで活力になる。
だから、旅人同士の別れは一定の美を感じる。
ただの友情だけではない旅人としての特有の感情が生まれてきたんだなぁと思うと、少しは自分の思う「旅人」になれたのかな。
別れ際、たまたまそこにいた、地元浜松の人とゆーたと数日の間の相方トミタとパシャリ
この組み合わせ、奇跡なんだなぁ。
今日のルートはこちら
上越の端から端を行く。
新潟は長い。上越も長い。
国道8号をずっと進む。上越に来てから日本海の美しさに変化があったような気がする。
水平線に近づくほど、エメラルドグリーンの濃さが強くなっている独特な色合い。
こんな色も見せてくれるんだね。そう思うと同じ日本海でも同じ日本海に思えてこない。
だからこそ海はどれだけ見てても飽きない。
歩き旅の海ならなおさらだ。
しばらく歩き、真っ直ぐ進んでも右に行ってもどちらでもいい帰路に立ち、トミタが行きたい右を進むことを選んだ。このアミダ的な道選びも楽しい。
すると、『うみねこテラス』というカフェをたまたま発見した。
なんか聞いたことのある名前。テレビかインスタで聞いたことがあるのだろう。
せっかくだし、たまにはカフェに立ち寄るという文化的な生活もいいだろう。
旅の寄り道はいつだって面白いんだから。
そんな軽い気持ちで店内に入った瞬間に息を飲んだ。
『綺麗...』
美しい空間、
美しい景色
そして、美しい姉ちゃん。
注文を聞かれる。久しぶりの心臓の鼓動の高まりに普段絶対に頼まないセリフを言ってしまった『タ...タピオカミルクティー』
テラス席に座る。どうしようもないくらい美しい。空間が、海を彩ってくれている。
さすがうみねこカフェという名前だけあって、空ではウミネコが泳ぐように飛んでいる。テラスにはウミネコが羽を休めるように設置された棒がいくつも用意されていた。
ウミネコとともにあるカフェ。なんて素敵なんだろうか。
タピオカが届く。
ほぼ初めて飲んだくらい味に記憶がなかったんですけど、タピオカミルクティって美味いんですね...旅中だからでしょうか。格別です。
普段感じている幸せのハードルが下がるのが長旅の良さの1つなのかもしれない。
名残惜しいが(この旅で一番出ることに名残惜しさを感じた)
美しいお姉ちゃんと写真を撮り、渋々旅に戻る。
しかし脳裏に存在した俺の中の小田和正が
『あの日あの時あの場所で右に曲がらなかったら〜僕らはいつまでも、見知らぬ2人のまま〜』とか熱唱し出して名残惜しさが加速する。
『あの姉ちゃんたちは俺のハートを盗んだ窃盗罪で逮捕された。だからもうあそこにはいない。だから前へ進むしかない。』
そう自分に言い聞かせた。
道路に戻ると
何度も同じような道を通った。でも、この景色が好きだなぁ。そう勝手に唱えてる自分がいる。
やっぱ自分はこれが好きでやってるんだ。
改めてそう思えた。嬉しかった。
歩くのが好きだ。旅が好きだ。旅が好きでよかった。旅が好きな自分でよかった。
気持ちが昂ぶる中、鹿児島大学のサイクリング部の1年生軍団に出会った。彼らも日本縦断の仲間らしい。彼は俺が通ったルートを。俺は彼らが通ったルートを行く。
彼らが作った線と俺が作った線の先で点となって今ここで出会えて互いの旅を語り合ってる。そしてまた追いかけたいロマンがポツポツと生まれる。
あの日あの時あの場所で出会えたから、わかち合い、何かが生まれる快感。もうやめられないよね。
ここからは歩行者専用道路が現れ、歩行者専用トンネルも増え始めた。
トンネルをひとつ、またひとつと越えた先に、今日のゴール、道の駅うみてらす名立が見えてきた。
トミタとお別れの最後の日にここに連れてきてよかった。シメには相応わしいと思える場所。
↓
『俺は今日で最後だからこれからのエールだ。』
そう言ってトミタがごちそうしてくれた。
↓
この写真を見てはこの日の感情を思い出すんだろうな。なんてことないパーキングエリアの海鮮丼とラーメンが沁みる。
なんてことない味が忘れられない味になる。
背景にある物語があるからこそ、食の喜びは生まれるのかもしれない。
ありがとう。トミタ。来年社会人になったら美味いメシ食わせるからな。
ここまで一緒に旅をしてくれてありがとう。
トミタを駅まで見送った。
1人になるかと思いきや、メッセージが来た初めましての子と今日の夜は合流することになる。
素性のわからぬ旅が紡いだ出会い。この後、彼とはどんな旅を作っていくだろうか。
予想できない明日への期待が膨らんだ。
旅はやめられそうにない。
新潟県上越市吉川区→上越市名立区
歩行距離 32km
総歩行距離 1294km
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?