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日本の歩き方#42 新潟県上越市→糸魚川

日本縦断徒歩の旅 42日目

新潟県は、道の駅うみてらす名立で6:00に起床。

未来の旅人のために道の駅名立の紹介をさせていただきたい。

200台は止まれるであろう駐車スペースから、車中泊には最適だ。また、24時間解放の休憩スペースがあり、ここで一夜を過ごす人もいた。そして、外には東屋がふたつあり、雨の日でも野宿ができるスペースがある。おまけに、500円で入れる温泉付きだ。

旅人から見た道の駅としては満点に近い設備を誇るこの道の駅はぜひ、使って欲しいと思う。

そんな旅人が集まる場所だからだろうか。クセモノの旅人と出会った。 飲まされた。

そのせいで寝不足だ。寝れなかった...,

道の駅で出会った自転車旅のおっちゃん2人とアホみたいにお互いの旅と今までの話を互いにしていたら、一瞬のうちに時間が溶けていった。

気付いたら24時をまわってるんだもん。旅人同士が話を始めたらもう止まらない。

二日酔いであろうおっちゃんがフラフラの状態で自転車を漕ぎだす。安全にな。

さて、今日のルートはこちらだ。

糸魚川の先、この旅最大の難所、親不知の手前まで行く。

明日通る親不知について少しだけ紹介させていただきたい。

親不知は、北アルプスを越えるために掘られたトンネルだ。昔は、断崖絶壁の山の外側に道があり、そこを通る前は、祈りを捧げてから通る風習があったみたいだ。なぜなら、そこを通るということは、崖から落ちる生命の危険があるからだ。

断崖絶壁のルートは今はない。しかし、20kmに渡り、断続的なトンネルがあり、さらには歩道がまったくと言っていいほどないくらい接触事故の危険性はあるため、令和になった今ですら、旅人から恐れられているルートである。

明日は無事通れるだろうか。祈りを捧げながら駆け抜けていきたいと思う。

歩き始めると、すぐに糸魚川の文字が。

名立から糸魚川市街までは、車道から独立したサイクリングロードがある。

徒歩ダーも安心な道が確保されているからこそ、ここは安心して通過できるであろう。そしてサイクリングロードから見た海は格別だ。

上から見下ろす日本海が大好きなんだなぁと再確認する。

好きです。日本海。

サイクリングロードを進むの道の駅能生にたどり着く。

ちなみに、ここも東屋多数、軒下多数で、雨をしのぎたい野宿をする人たちは快適に過ごせるはずだ。

ただし、車中泊をされる方は有料らしいので、注意が必要だ。参考までに。

ここは、カニや日本酒はじめとした名産が数多く取り揃えられている。

しかも、カニの試食、日本酒の飲み比べ試飲ができるのだ。おばちゃんたちが「食べなさい飲みなさい」と強引に勧めてくるのもまた地域性が現れているのか。おもしろい。

グルメ通にはぜひ立ち寄って欲しい。ちなみに、能生のカニは甘さが特徴だ。
能生ならではの味を堪能してほしい。

サイクリングロードを進むと、お祭りの準備をしているおばちゃん達に遭遇。

沢山の赤飯をご馳走になった。

さらに「歩いてんならしっかり栄養とれよ」

と、寿司と漬物まで頂いた。


糸魚川の街の人たちの思いやりに心が沁みた。

「糸魚川の人たちは、世話焼きの人が多いから助けたくなるんだよ。」

おばちゃんはそう言っていた。

今日は歩いていたんじゃなくて、糸魚川の人たちに背中を押してもらって歩かされていたという感覚が強い。

ちょっとしたエールが旅人の心情をここまで昂らせるのだ。エールがこんなにも力になるなんて思わなかった。

大声でエールをくれた川釣りをしていた人→

大海原を眺めながら休憩スペース。作ってくれたローソン

すれ違うたびに声をかけてくれる地元の人。

おもてなしが凝縮された街、糸魚川。通過するのが惜しい。

順調なペースで歩き進めていると、運命の出会いがあった。

相馬御風の自宅に遭遇したのだ。

相馬御風は、早稲田大学の校歌の作詞をはじめ、多くの詩と音楽をこの世に出し続けた人物だ。今でいえば、サザンオールスターズくらいは曲数は出していると思う。

早稲田大学の人間として、第二の国家と言われている校歌の作詞者の家を訪れないわけにはいかなかった。


入るなり校歌を相馬宅に捧げる。

ここで、早稲田大学の校歌の一部を紹介させていただきたい。

早稲田大学の校歌の中にはこんな歌詞がある。

『集まり散じて 人は変われど 仰ぐは同じき 理想の光』

俺はこの一節が大好きだ。

少年時代の自分と今の自分が全然違う自分だと認識するように、人はどんどん変わっていく生き物だと思う。価値観も美意識も哲学ですら変わっていく。

それはこの世の理だ。

しかし、変わらないものがある。

それは自分の中で追求していったロマンであり、理想である。

しかし、その理想を忘れがちなのが人間だ。

そんな変わらないもの、変わりたくないものがある。その理想をいつまでも追いかけて、保ち続けてほしい。

未来の人たちに送ったメッセージが、相馬御風さんが早稲田大学の校歌に込めた、
『仰ぐは同じき理想の光』という
フレーズなのだろう。

ロマンを追いかける人たちへ。環境が変わっても、大人になっても、諦観を覚えても、いつまでたっても自分の中の

『理想の光』を追い求めて行こうよ。

そして、もう一度会おうよ。

きっと、俺たちがそう願えば、失いたくない夢も、ロマンも、愛も持ち続けられるはずだからさ。

いつまでも若くいこうぜ。いつまでも攻めて
いこうぜ。

あの頃無我夢中でグラウンドを駆け回った少年時代みたいに、がむしゃらに、理想を追い続けて熱中していこうよ。

道化を演じるなんて、まだ早いだろ?

いつまでもカッコよくいような。

...........なんてことを思っていた矢先、相馬御風の分家の方に出会った。

「ウチに泊まりなよ!沢山旅の話を聞かせて!」

5km先がゴールだったこと、一度決めたルートは変更したくない気持ちはあったが、せっかくここに寄ったんだから、何かのご縁だと思い、お世話になることにした。

こんな僕たちに声をかけてくれるなんて相変わらず糸魚川の人たちはどれだけ寛容なんだろうか。

夕飯の時間になるとコレだ→

大☆ご☆馳☆走。

ミネラルたっぷりの食事が嬉しい。

一番嬉しかったのが、おばあちゃんと、声かけてくれたおばちゃんとビールで乾杯できたことだ。

ウチのオカンもバアバも酒が飲めないから、往年の夢が叶った気持ちになった。

そこからはこの家族の歴史と物語をたくさん聞かせてもらった。

結婚した時の気持ち、糸魚川を離れたくない理由、初恋のこと、親になった日のこと、孫が生まれたこと、何でも聞かせてもらった。

俺は、俺が体験できないその人の生きた証に触れられる瞬間が好きだ。

いつか、自慢できる家族ができるといいな。自分の子どもと親が食卓を囲える日が来たらいいな。

考えたこともない希望が、またひとつ湧き上がる。

そんな瞬間に触れるたびに「フレー、フレー、タクマ」とこの先の人生に向けてのエールを送られている気持ちになる。

旅中の出会いとは、一言で言うと『エール交換』なのかもしれない。

だとしたら、彼らが送ってくれたエール以上に、力強く、想いを込めて、エールを返したい。

そんな大人をいつまでも目指せたらいいな。

そこだけは、『理想の光』を忘れずにいたい。

そんなことを考えさせられた糸魚川の旅だった。

新潟県上越市→糸魚川

歩行距離 26km

総歩行距離 1320km

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