アカデミストのこれまでとこれから【後編】 - 企業Vision×研究者Visionで新たな価値を創出する
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アカデミストのこれまでとこれから【後編】 - 企業Vision×研究者Visionで新たな価値を創出する

柴藤亮介(アカデミスト株式会社代表取締役CEO)

前編では、学術系クラウドファンディング(CF)の本質とacademistの今後について整理しました。後編では、学術系CFサイト「academist」の運営を通じて見えてきた企業のニーズと、新サービスの「academist Grant」についてお話ししていきます。

academist Grant の誕生

academistを運営するなかで、企業の方から「◯◯分野の研究者の力を借りたいのですが、アカデミストさんとつながりのある方いますか?」と聞かれることが増えてきました。研究者と個人をつなぐサービスを運営しているうちに、さまざまな分野の研究者とのネットワークが形成され、研究者と企業をつなぐニーズが見えてきたということです。これらの企業ニーズに応えるべく、法人向けサービスの検討・プロトタイプの実施を行い、2021年2月にacademist Grantをリリースしました。

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クラウドファンディング型と企業課題解決型

academist Grantは、企業による研究費のサポートを通じてアカデミアの研究者と企業とのタッチポイントをつくり、アカデミアの知を新たな価値創造へとつなげ、社会に還元することを目的としたサービスです。

現在、大きく分けて2つの仕組みを用意しています。

1. クラウドファンディング(CF)型
CF型では、academistでCFにチャレンジする研究者に対し、企業が研究費をサポートします。スポット型の場合、チャレンジャーである研究者が目標金額を達成しCFが成立した際に、企業が追加支援金をサポートする形となります。月額支援型の場合は、採択研究者のプロジェクトに対して企業専用のリターンを設けます。いずれも、研究者の自由な発想に基づいた研究テーマを公募するケースを想定しています。

研究者にとっては、CFを通じて自身の研究を個人にアピールして支援を得ながら、企業からの追加支援も得られるというメリットがあります。また企業にとっては、アカデミアの研究者との接点を持ちたいが機会がない、きっかけのつかみ方がわからないという課題を解決することができます。

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2. 企業課題解決型
企業課題解決型では、企業が指定する研究分野・テーマに研究者が応募する形となります。採択された研究者は、寄付金や受託研究費等、所属機関に最も適した方法で研究費を受け取り、テーマに沿った研究を実施します。

従来の産学連携のようなお互いのリソースを提供しあうものではなく、アカデミアの研究者と企業が方向性やビジョンを共有して相乗効果を引き出すことで、新しい価値創造につなげていくような取り組みにご活用いただくことを想定しています。

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産学連携から産学協働へ

ひとつの事例として、参天製薬(以下、Santen)様の事例を紹介します。Santenでは、自社のVisionを実現するために「"幸せ"を定量化する」ことを検討していました。自社内で議論を進めていく方法もありますが、今回は自社スタッフや既存ネットワーク内だけではなく、課題をオープンにして研究者を募り、多角的な視点を取り入れることを考えていました。そこで academist Grant(企業課題解決型)を通じて「なぜ幸せを定量化するのか」「定量化することでどのような社会を実現したいのか」というようにSantenの企業Visionをオープンにすることで、研究者を公募しました。

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その結果、心理学やマーケティング理論、公衆衛生学、理論物理学など、幅広い分野の研究者からの応募が集まり、2件の研究助成が実現しました。

これは研究者が企業の実現したいVisionに共感し、自身の知を企業を通じて社会還元していく事例であると言えます。目の前の課題解決を目的とした企業ニーズと研究シーズのマッチングではなく、長期的な展望を共有することで実現した、企業Visionと研究者Visionのマッチングです。

私たちはacademist Grantを通じて、従来の「産学連携」とは異なる切り口で企業と研究者の協働を実現する「産学協働」の流れをつくっていきたいと考えています。(そのためにはこれまで「産学連携」に取り組んで来られた方々の知見が欠かせないと思っています。ぜひお知恵をお貸しください!)

Vision×Visionから生まれるイノベーション

企業は自社の利益のみを追求しているというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、昨今ではESG投資やSDGsなどの流れもあり、企業の社会的責任が強く問われるようになりました。これからの企業は、利益最大化ではなく、利益を含めた社会的価値の最大化を目的とした意思決定を行うようになっていきます。そのためには、自社の存在意義や社会への提供価値を考え続けていくことが必要です。

これは研究活動と共通するところも多いのではないでしょうか。研究活動も研究の学術的価値や社会的価値、ときには経済的価値を考えながら進めているはずです。研究テーマそのものだけを考えると企業との接点は生まれにくいかもしれませんが、研究活動を通じて最終的に成し遂げたいVisionを考えると、企業のVisionとの共通点が見えてくるはずです。academist Grant では、企業Visionと研究者Visionの共通部分から「協働」が生まれる機会をつくり、協働前には想像できなかった新たな価値の創出に貢献していきたいと考えています。

私たちは現在、academist Grantを加速していくスタッフを募集中です!アカデミストの新しい事業の柱を一緒につくっていきませんか?ご関心のある方は、奮ってご応募ください。

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柴藤亮介(アカデミスト株式会社代表取締役CEO)
「開かれた学術業界を実現し、未来社会の創造に貢献する。」を理念に学術系クラウドファンディング「academist」や学術系メディア「academist Journal」を運営しています。クラウドファンディングに関心のある研究者・大学院生の皆さまは是非ご連絡ください!