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あの日 あの時 あの場所で

先週の皆既月食の日、事前にそれをニュースで知っていたことと、ちょうど仕事が終わって撮影に適した場所まで移動ができる良い時間帯であることが重なり、当日はずっとカバンの中にコンデジを忍ばせていた。

夜になり、大きな建物が少なく、なおかつ私有地にも当たらない「広場」のような場所へ辿り着くと、やはり同じように天体観測のために訪れる人々が密にならない程度に集まっていた。

その広場には2種類の人間しかいなかった。

それは、カップルか、いわゆる撮影ガチ勢か。

とは言え僕は微妙な立場だ。1人ではあるが、本物の撮影ガチな方々のような三脚やメガホンのような望遠レンズは持っていない。

そんな完璧を求めて撮影を頑張ってらっしゃる方の隣で僕も撮影を始めた。

そもそもこのコンデジ(一応正式に書いておくとコンパクトデジタルカメラ)は仕事絡みで使っているもので、日頃は記録用に書類を撮影したり、遠くても数メートル先の人を撮ったり。

月のように、30何万キロ先の物を撮影するのは今回が初めてなので、コンデジも初めて25倍ズームという機能を使った。

25倍ズームの皆既月食。

手持ち撮影の限界。何枚も撮ったが、だいたいブレるかボケるかだった。

太陽に照らされていないと、月というものは魅力に感じない色味というか。

俯瞰で見たことはないが、地球はこんなに青くて綺麗なのに。

太陽に照らされないことで、月本来の魅力とは何なのかを考えさせられる瞬間でもあった。



ちなみに、僕は三脚を使わない手持ち撮影だったので、25倍ズームだと1ミリ手元が動くだけで画面内から月が外れてしまう。

画面を見ながら撮影するためには顔の高さで撮りたいところ。しかしそれではブレるので胸の前まで落とし、脇を固める。


だがそうなると画面の中に月が収まっているか分からない。

19時過ぎ、さらに高く高く昇る月をカメラの中に捉えているかを確認するには、自分自身が身体を反らさなければならない。

皆既月食を必死に撮影する僕

気がついたら僕は小田和正のジャケ写みたいになっていた。

なんならこの写真もピンボケしているが、写生が上手い訳ではないのでこれでちょうど良い。

カメラは後付けで書き足したのでもう適当。

この姿勢で、息を止めてようやくあの写真が撮影できる。



次に天体撮影の機会があれば、絶対に三脚を用意しよう。


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