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書評 農協の大罪 山下一仁


初版は2009年で、手にした本は4版。当時は民主党政権交代前で、同党が農家への戸別補償制度を掲げるなど、農政に対する関心が高まっていたことも、同書が注目を集めた理由だろう。その後、農政をめぐり大きく変わった点といえば、コメの減反政策の廃止といえる。同書では、減反政策が続いていた(出版当時は継続)が、その背景にあげるのが農水省、農協、農水族とと呼ばれる族議員による「農政トライアングル」の関係である。戦後の農地改革で解放された小作人が、やがて農協が組織化される過程で一翼を担い、政治の支持基盤となっていく過程が詳細にまとめられている。そのなかでさまざまな保護政策がとられ、競争力など持たない農業と化していく流れが浮き彫りになっている。初版は古いが農政の「黒歴史」を知るうえで価値ある1冊。

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