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宝塚のストライキに必要なこと

世界的にはハリウッド、国内では百貨店で行われたストライキが話題となった。そして朝ドラでもストライキの話が作られ、世は正にストライキブームだ。

そんな時に宙組生の転落死により中止が決まった雪組は、トップスター彩風咲奈による実質ストライキだと週刊文春が報じた。

正式なストライキは規定が多くあるが、有名人であれば「ストライキっぽいこと」で本物のストライキ以上の効果が見込める。

そう考えるとストライキは、スター集団であるタカラジェンヌ向きである。


宝塚の文春砲で証拠というか現実と繋がっていたのは、礼真琴の最初の写真ぐらいであった。他は勝手に書ける程度の記事だったので、事実無根といわれても説得力があった。

しかしその後、礼真琴の1789中止休演で「起こった事実の解説」方式に転換する。そして転落死という明確な事実が起こり、解説記事として上がり続けて今回に至る。

もちろん中止そのものは真偽以前に、分かりやすく綺麗なストーリーでまとめただけかと思う。実際はもっと複合的な要因だろう。

もし全国ツアーも発表された正に勝負時の2番手含め、組子全員が付き従った結果というならかなりの人望だ。
とはいえトップスターの男役が組を巻き込んだストライキとなると、力関係からして組子の本音も抑え込み過ぎてしまう。雪組プロデューサー等裏方も当然決定に関わっているだろうに、表に立つトップスター1人に背負わすのもどうかと思う。
そもそも今回急逝した生徒と深く関わった人間が現雪組に多いのは、大半にとって解説が必要なことなのだ。

そこで家族かつ予科本科の102期、宙組出身同期の103期がいる雪組となれば、中止するのが「人として」当たり前と納得させた。文春の解説は大成功している。

宙組トップを悪役に書いてきた一方、雪組トップをヒーローとして美談にまとめているのは若干あからさまだ。とはいえリークを集めているようなので、人望が厚いのは事実なのかもしれない。

102期103期と亡くなった生徒は、同期や予科本科という音楽学校で家族より密な時間を過ごした。そんな仲間が、宝塚へのメッセージ性の強い形での自死を選んだ。普通に舞台に立つのは「おかしい」「気持ち悪い」と思うのは当たり前だ。

人として何かが欠けている、欠けさせている劇団に嫌悪感を覚えている客は多い。


理想は全組の102期と103期が、一丸となってのストライキだ。最低でも主導はすべきであろう。

ストライキを他の期主導で行ってしまうと、本題が鈍る。もちろん賃金や待遇改善などの現実的な要望も添えて、働きやすくなって欲しいとも思う。それでも主題は「仲間を失ったことへの対応」についてでなければいけない。


コロナ以降不思議なほどに、宝塚の状況は悪化の一途をたどっている。

ただでさえショッキングなニュースが起こり、その裏では宝塚を排除したブギウギが大ヒットした。OSK日本歌劇団が注目を浴び、取って変わる絶好の機会となる。運命的というより、出来過ぎなくらいだ。


週刊文春記事の方が宝塚公式が出す情報よりも、劇団の存続に繋がるイメージアップになりそうな面も多い。贔屓目に見ても、宝塚側の対応は駄目なことの連続だ。そこは修羅場を潜り抜けた、場数の差かと思う。


今や進むも地獄退くも地獄といえる。何事も無かったように舞台に立てば人間性が疑われ、直接客側に迷惑がかかるストライキはファン離れを招く。

どちらにせよ、状況は悪化する予感しかしない。

好転させるには「理由選び」が大切なのだ。イメージを保ちファン離れを最小限に、宝塚歌劇団を残すためのストライキとなると「失った仲間のため」な必要がある。
そのためには外野が客観的に見ても、納得出来る人物達が主導する必要がある。

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