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Googleサイトで作るグループウェアー コラム5:学校グループウェアがやってきた! ー

この記事を読んで欲しい方

Googleワークスペースを企業DXに導入したが、上手く広げられていない方
Googleワークスペースを導入しようと考えてる中小企業の方
無料のGmailやクラウドアプリだけ使っているテレワーカー
GIGAスクールなどでGoogle for Educationを導入している学校

①GIGAスクールと学校のシステム化

GIGAスクールに関して、ここではとやかく言いません。色々な方が色々なことを言っているので、そちらに譲ります。
ただ、学校のシステム化(DX化?)については、共通の課題があると思っています。
私は長年、学校の教師もしていますので、本校で実践してきた学校のシステム化の経緯と、新しい取り組みについて、ご紹介します。

学校のシステム化

②Google WorkSpace for Educationの導入

本校には、情報学科(仮称)がありますので、当然ながら情報学科の学生は一人一台の環境になっています。
それとは別に、PCを持たない他学科向けのPC教室も整備されています。
使用されているOSは、ほとんどがWindowsです。(一部動画編集向けのMacもあります)
ネットワークは、光ファイバーをNTTから引き入れており、校内は高速のEthernet-LANが引かれています。
無線LAN(Wifi)に関しては、基本的には一部の教室の利用にとどめています。
学校でのスマホの利用は、勝手に校内の撮影等をしてSNSで公開しないかぎりOKです。
さて、かなり前ですが、GoogleWorkspace for Education(当時はGSuite for Education)が発表され、学校はなんと無料!ということで、学校のドメインを購入(年数千円)してもらい、導入しました。(正式導入まで数年かかりましたので、それまでは無料の野良クラスルームとFaceBookで実績作りをしていました。どこにも理解できない抵抗勢力は居ます。)

GoogleWorkspace for Education

②情報学科以外は無理に勧めない

情報学科は、パソコンは一人一台でしたが、それ以外の学科は、紙とホワイトボードベースのオーラルの授業でした。
今でこそ各教室に一台入っているプロジェクタや教師用PCも、当時は学校に数台しかありませんでした。
まず、情報学科だけで、Googleクラスルームを使った授業に切り替えていきました。
もちろん情報の各教室にはPCとプロジェクタも配置しました。
実は、学校では、紙のコピー&印刷による料金が、毎月ものすごい値段になっていて、大きな問題になっていました。
情報学科は、GoogleWorkspace上で教材を使うため、ほぼ印刷が不要になり、大きな経費削減が見込めました。
経費をプロジェクター購入に振り替え(1年でもとが取れた)毎朝のコピー機の取り合い地獄からも開放されたのです。
ただ、他学科は一人一台の環境がないため、引き続き、紙とホワイトボードの授業になっています。
無理に勧めても、そもそも一人一台の体制がつくれないからです。

一人一台の体制が整わないと無理

③コロナが来た!

そうこうしているうちに、コロナが爆発的に流行しはじめ、学校が数週間休校になることが度々発生しました。
他学科では、学生に数週間分の家庭学習用の課題を山のように印刷して持ち帰りさせたりして、授業時間の確保をしていましたが、情報学科はFaceBookメッセージとクラスルームを使ってリアルタイム遠隔授業をすることにしました。(当時はまだGoogleChatがない時代で、FaceBookメッセージの機能が他より格段に優れていました)
クラスルームやFacebookメッセージはスマホからでも使えるため、スマホでも利用できる課題を用意して対応しました。(自分のPCを家に持っていれば家のPCでも授業可能)
授業時間になると、FaceBookメッセージで、各人の体温の確認と、クラスルームへ入るように指示をして、課題が終わったら、課題の終了画面を写真で送り、わからない場合はメッセージで教師に問い合わせるという方式です。
これは、かなりうまくいきました
遠隔授業の場合、授業時間に換算するためには、規定上、リアルタイムに質問を受け答えできなくてはならなかったからです。
他学科は、授業時間の換算でかなりもめていました。あと、大量の課題の採点が恐ろしい量になっていました。

コロナが来た!

④学校内でも遠隔授業と同じ方式に

コロナが落ち着いても、またいつ休校になるかもしれませんでしたが、この遠隔授業の方式の有効性は明らかでした。
そのころにはGoogleチャットもようやく使いものになるようになっていましたので、校内授業を思い切ってGoogleチャットとクラスルームを使った、遠隔授業と同じ方式に変更しました。
つまり、課題の開始の指示と、課題終了後の写真送付Googleチャットで行います。
当然、学校ではオーラルの授業ですので、出欠確認や体温の聞き取り、わからない学生への対応は、今まで通り教室をラウンドして個別に行います。
これで、いつコロナで学生が休んだり休校になっても、授業が遅れることは有りません。
よくGIGAスクールの遠隔授業でビデオ動画(ZOOMやMeet)を使っている光景を見ますが、これは通信環境を著しく悪化させるので意図的に実施していません。
ビデオ動画はあくまでも会議用であって、学校の多人数の授業に使うには問題が多すぎるし、チャットでのやり取りで十分だからです。

学校内でも遠隔授業とおなじ仕組み

⑤どんどん複雑化するパソコンの操作

このように、情報学科の授業はどんどん進化していきました。
授業をする側は非常に楽になり、コロナでの休校対応や、コロナになった学生への遠隔授業もスムーズに行えるようになりました。もちろん出席簿はGoogleスプレッドシートが共有されており、それに書き込みます
ところが、授業を受ける学生側の問題として、複数のアプリケーションを複雑に連携させて操作させる授業になってしまったため、必要な操作をするのに時間がかかるようになってきました。
そして、その複雑な操作手順を学生はすぐ忘れてしまうのです。
このように、クラウドネットワーク上で複数のアプリを切り替えながら授業をする場合の大きな問題点が出てきました。
そして、ある考えに至りました。

操作が複雑になってしまって覚えきれない

⑥学生専用のグループウェアをつくる

見ていると、学生はそれぞれのパソコンに、それぞれ個人でクラウドアプリのブックマークを作ったり、検索窓からクラウドアプリをいちいち手入力し検索したりと、操作がまちまちでした。
更に、Googleクラスルームと連携させて、他の複数のクラウドアプリも使うわけですから、操作のやり方を忘れる学生が多発しました。
そこで、私の会社で試験導入していた【Googleサイトで作ったグループウェア】が効果を発揮していましたので、学校のGoogleサイトを使って学生向けのグループウェアを作成してみました。
すると、どうでしょう!
あんなに操作に時間がかかっていた学生が、いきなりスムーズに操作できるようになったではありませんか!。
そしてその効果は絶大でした。

学生専用のグループウェア

⑦担任の先生が動き出す

学生用グループウェアを作ってから、Googleサイトでのグループウェアを情報学科の担任の先生にも公開し、編集して機能追加してもらうようにお願いしました。
担任の先生は学生への就職の情報発信で悩んでいましたので、早速グループウェアに就職関連のサイトへのリンクを登録しはじめました。
例えば、学科の就活スケジュールグループウェアに表示されたGoogleカレンダーで見れるので、就職説明会の日付を確認し、説明会登録のサイトをグループウェアからクリックして登録するだけです。各種検定試験のスケジュールも同様です。
また、ハローワークの検索画面もグループウェアからすぐに呼び出すことができますし、キャリアセンターでの面接練習の予約もグループウェアからすぐに呼び出すことができます。
あと、感心したのがGoogleスライドを見出しに貼り付けて、学生の呼び出し画面にしたことです。
これは学生全員が見る画面なので、呼び出されていると恥ずかしいのですぐに職員室に来るようになりました。
Googleサイトは、基本的にアイコン画像の切り貼りと、外部のサイトのURLリンクを画像に貼り付けるだけなので、プロじゃない人でも簡単に画面を作ることができる優れたツールなのです。

担任の先生頑張る!

⑧完成した教師用グループウェア

そして、驚いたことに、いつのまにか教師用グループウェアが完成していました。
このグループウェアの作成には私は一切かかわっていません
担任の先生(女性)が一人で作り上げていたのです。
もちろん、一般の教師よりもICTに詳しいデザインの教師ですし、以前からGoogleWorkspace上で共有ドライブを使って、コツコツと学校書類の共通化を図ってきていました。
それが今回一気に花開いた感じです。

以下は、教師用グループウェアの画面の構造です。(画面は見せられませんので、構造のみを示しました。)

教師用グループウェアの構造

ホーム部分1枚で、縦スクロールで全てが見通せるようになっています。
上部は私が提案していたグループウェアの構造ですが、中段はスケジュール関係、下段は各業務別に、共有ドライブ内のフォルダの書類へのリンクと、業務に関連する外部の業者や自治体のサイトへのリンクが合わさっていて一目瞭然になっています。
この、業務の書類の場所と問い合わせをする業者や自治体のサイトが一体表示になっているところがミソです。

⑨おわりに

このように、学校グループウェア(学生用グループウェア+教師用グループウェア)が完成しました。
学校長からもお褒めの言葉をいただきました。
そして、今後ようやく他の学科の先生方も、必然的に利用することになるでしょう。
以上が、私が関わってきた学校のシステム化(DX化)の全過程です。

学校グループウェア完成!






















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