見出し画像

一般社団法人RPII Japanについて

おはようございます。
今回は日本で設立したRPII Japanについて、ご説明させて頂きます。

RPII Japanは英国のRPII本部が提供する試験、認定及び認証のサービスを日本で代行する機関であると伴に、欧州の遊具規格EN1176・1177を日本にて啓発活動を行う組織でもあります。

欧州規格EN1176及びEN1177は遊具と遊具下の地表面材の世界的安全規格であります。
そのコンセプトは、子どもたちの遊ぶ権利や遊びの環境を保護することであり、子どもたちに遊びの中でチャレンジする機会をもってもらい、自身の肉体的・精神的な発達を促していくだけでなく、自由な発想で創造性豊かな遊びを行えるように遊び場の環境を整えることであります。
その一方で将来的に障害が残る様な重症もしくは致死に至る重大な怪我を発生させるリスク(危険)を本規格にて排除することも目的としております。
従って、子どもは安全を確保された遊び環境中で、伸び伸びと思いっきり遊びを享受することができ、健全な肉体と精神を持った子どもへと成長することができるのです。

少子化の流れの中では、親御さんや保護者様は子どもを過保護に見守り、身体的な怪我に繋がる様などんな遊びも避けるようにさせがちです。その風潮に呼応するように社会も怪我の重軽症の程度に関係なく、怪我が起きた遊具は排除する傾向にあります。
しかしながら、子どもたちは多少の危険を伴う遊びまで奪われることで、肉体的・精神的に十分な成長が出来ないまま育ってしまいます。
それを裏付けるかのように公園や公園関連施設から怪我を起こしたハザード(危険)のある遊具の多くが姿を消すこととなり、公園に設置されている遊具の数は大幅に減少してしまいました。

この様に屋外での遊ぶ機会が奪われてしまったことで、子どもたちの運動能力は昔に比べて低下しつつあります。
このような遊具が無くなっていく状況では、子どもたちは危険を察知したり予見したりする能力を身に付けられません。ましてや何事に対してもリスクを冒してまでチャレンジする精神は生まれてはきません。

欧州の遊具規格EN1176及びEN1177は、日本とは異なり、長年培われてきた技術的知識と経験知、事故報告などに基づいて遊具の安全要件が明確に示されています。

EN1176は怪我のリスク(危険性)に対しても、子どもたちが遊具を意図したとおりに、または合理的に想定可能な方法で利用する際に、予測不可能だろうハザード(危険)から子どもたちを保護するための安全要件を特定しております。
更には遊具のタイプごとに、重症度の高くなる怪我の生じるハザード(危険)を数値規準で示して、危険な遊具の箇所を管理・規制しております。
従いまして、(重大な)怪我が発生しやすい数値範囲の寸法や欠陥等は遊具内に存在させないように安全要件が詳しく明記されていることで遊具の安全性が確保されております。

もう一方の規格EN1177は遊具から落下する場合を想定して、遊具下の地表面材に関する規格になります。
地表面の衝撃減衰力を特定された数値や計算法及び地表面材の素材ごとの埋立て深さが詳しく明記されております。

RPII Japanは、遊具の安全性の確保及び子どもたちの運動能力の向上とチャレンジ精神を育む観点からこれらの規格を積極的に日本の遊具にも適用させ、多くの方に知られるように本規格の啓発活動に従事しております。

最後に、RPII Japanの特徴としまして、たとえ遊具が安全要件を満たしておらず怪我のリスクがあるとしても、遊具を簡単には撤去する判断には至りません。
子どもの動きを想定の上、ハザードのシナリオを特定し、そのリスクある箇所で実際に事故が起こり得る可能性としての事故発生頻度と事故の際にどの程度の怪我をするかといった事故による怪我の重症度を加味した上で、まずそのリスクが許容可能か不可か判断します。
その結果そのリスクが許容不可であったとしても、まずは重大事故を未然に防止する為のリスクの低減方策を施すプロセスを取ります。
つまりリスクを分析・評価するリスクアセメントを行い、許容可能範囲までリスクを低減させて重大な事故を予防する措置をとることになります。

これに加えて、リスクアセスメントをする最初にその遊具利用のベネフィットを明確にすることで、遊びの本質に必要なリスクを積極的に採用できるように促すためのベネフィットリスクアセスメントのプロセスまたは許容できないリスクに対して、遊び要素のベネフィットを維持または向上させながらリスク低減方策を検討するリスクベネフィットアセスメントの評価プロセスを併せて行います。

RPII Japanは、遊具に対してこれらのリスク評価プロセスを採用することで怪我のリスクと遊びのベネフィットを総括的に判断するようにしております上、これらの評価プロセスを遊具関係者が実践することを推奨しております。