見出し画像

『稲盛和夫一日一言』5/8(月)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 5/8(月)は、「本音でぶつかれ」です。

ポイント:ストレートなもの言いをして人間関係が壊れては困るからと、建前で話をしているようでは、会社を伸ばしていくことなどできない。本音で議論し、ぶつかり合うことが大事。

 2001年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅠ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究課編/非売品)の「本音でぶつかれ」の項で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 責任をもって仕事をやり遂げていくためには、仕事に関係している人々が、お互いに気づいた欠点や問題点を遠慮なく指摘し合うことが必要です。
 物事を「なあなあ」で済まさずに、絶えず「何が正しいか」に基づいて本音で真剣に議論していかなければなりません。欠点や問題に気づいていながら、嫌われるのを恐れるあまり、それらを指摘せずに和を保とうとするのは大きな間違いです。

 
 問題を解決していこうとすれば、本当は「あなたのやり方のここが問題だと思います。そこはこうすべきでしょう」とズバズバとストレートなもの言いで議論しなければならないのに、そういう言い方をすれば角が立つうえに、後々気まずさが残ってますます職場内のコミュニケーションが悪くなることを危惧し、互いに本音でぶつかるのを避けようとする傾向があります。

 本音でぶつかろうとせず、職場内に建前や前例踏襲で仕事を進める人が増えれば、敢えて革新的な手法をとって事を荒立てる必要はない、今まで通りやっていれば勝手もわかっていて余計な時間を使う必要もない、みんなしてハッピーではないか、といった事なかれ主義が蔓延していきます。

 しかし、京セラフィロソフィの根幹は「人間として何が正しいのか」です。それを貫こうとすれば、本音でぶつからざるを得なくなるはずです。ですから、口角泡を飛ばしてでも、真実をさらけ出して議論し合うことが必要だと言っているわけです。

 ただし、本音丸出しで議論するなかにも、暗黙のルールがあります。まずは、相手の欠点をあげつらったり、足を引っ張り合うようなことがあってはなりません。たとえそれが事実であったとしても、そのような言動はご法度です。そこには、必ず「みんなのためによかれ」という本音があって、しかも議論の内容は建設的でポジティブなものでなければならないのです。
 そのような議論であれば、必ずと言っていいくらい、創造的な結論に辿り着けるはずです。(要約)

 今日の一言で名誉会長は、「経営では毎日が修羅場ですから、建前論で済まされるわけがない。会社を伸ばしていこうと思えば、本音をぶつけ合わなければならないのです」と言われています。

 勇気をもってお互いの考えをぶつけ合う。そのなかから、本当の意味での互いの信頼関係が生まれ、さらにより良い仕事ができるようになっていく。

 京セラ在籍40年間、私も互いに本音でぶつかり合ってもぐらぐらすることのない良好な人間関係のなかで仕事をすることができて幸せでした。

 ときには「こいつ、何を言ってるんだ!」と思ったことがなかったわけではありませんが、それが変な遺恨として残らない人間関係をキープし続けることができたのは、ひとえに根底に京セラフィロソフィを共有できていたからではないかと感謝しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?