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『稲盛和夫一日一言』 6/6(火)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 6/6(火)は、「いい仕事をする条件 ②」です。

ポイント:いい仕事をするために必要不可欠なこと、それは「理屈より経験を大切にすること」。現場では、実際に手を汚し、試行錯誤を繰り返してみないと分からないことのほうが多い。理論と経験則がかみ合ってこそ、素晴らしい仕事が可能になる。

 2009年発刊の『働き方』(稲盛和夫著 三笠書房)の中で、いい仕事をするために不可欠な条件について、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 一つは、「細部まで注意を払うこと」です。(※これについては、昨日6/5の『稲盛和夫一日一言』をご確認ください!)

 二つ目は、「理屈より経験を大切にすること」です。
 ものづくりにおいては、教科書などを読むと、こうやればいいと理論的なことが書かれています。それはその通りなのでしょうが、実際に書かれた通りにやってみても、そう簡単には思い通りの結果は得られません。
 現場で実際に手を汚し、試行錯誤を繰り返してみないと、分からないことのほうが多いものです。

 つまり、知識として「知っている」ことと、実際にやってみて「できる」こととは全く別物だということです。知識として得た理論と実際にやってみてなるほどと納得できた経験則とがかみ合ってこそ、素晴らしいものをつくることができるようになるのです。

 ひと昔前に比べれば、学ぶための環境条件は格段に進歩していますから、みんな頭でっかちで、しかも情報過多の状態です。
 ですから、知識として「こうやれば理論的にはできるはず」といった理屈を知っているだけで、あたかもすぐにできるかのごとく思い込んでいる。

 しかし、それは錯覚に過ぎません。そういう人には、実践を通じて理論の裏打ちをさせることが必要なのです。「あなたはこうすればできると言っているが、実際に自分でやってみて、それができることを証明してみなさい」と言って、実践させなければなりません。
 そうやって自ら実践して会得した経験は、理論の裏付けもあるわけですから、自分の宝になっていきます。
(要約)

 理論的に解明されている事象であっても、決まった手順で実施すれば毎回同じような結果が得られる場合もあれば、少し条件が違ってしまうだけで、全く異なる結果が出てしまう、といったものはいくらでも存在しています。

 また、「経験上、こうすればこうなる」ということで、うまく説明はできないのだけれども、皆それを信じて実施している、という場合もあるでしょう。
 そうした場合、「経験則」という言葉で表されることが多いのですが、経験則には「法則としての因果的必然性がまだ明らかになっておらず、経験上そう言えるというだけの規則」といった意味があります。
 つまり、理論的に因果関係が解明されていない場合には、理屈よりも経験のほうが頼りになる場合も多い、ということです。

 理論や理屈なしに、がむしゃらに試行錯誤を繰り返すだけでは、効率的に課題を解決していくことはできません。しかし、理論が確立していなくても、またすべてを理屈で説明できなくても、ゴリゴリと目標に向かって突き進んでいって、ついには壁を突破してしまった、という事例は、皆さんの身近なところにもたくさんあるはずです。

 理論、理屈と経験則がかみ合ってこそ、素晴らしい結果を得ることができる。特にものづくりに携わってこられた方々には、得心いただける内容ではないでしょうか。


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