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『稲盛和夫一日一言』 11月27日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 11月27日(日)は、「信頼は心の反映」です。

ポイント:信頼関係は、自分自身の心の反映。信頼とは、外に求めるものではなく、自らの心の内に求めるべきもの。

 2011年発刊の『京セラフィロソフィを語るⅡ』(稲盛和夫著 京セラ経営研究部編/非売品)の「信頼は自らの内に築く」という項で、信じられる人間関係がなければ、素晴らしい企業経営は成り立たないとして、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 信じられる仲間をつくろうと、自分の外に信頼関係を求めるのが一般的です。しかし、自分自身の心が、誰からも信じてもらえるようなものでなければ、信じ合える人たちは集まってきません。信じられる人間関係とは、自分の心の裏返しなのです。
 自分自身の心が、相手の信頼に足る心であるかどうか、常に自問自答しながら、自分の心をより良いものに高めていくことが必要です。


 信じられる仲間がたくさんいることがいかに大事かということは、不況になったときにより強く分かるはずです。
 不況のときというのは、雨が降って道が泥沼のようにぬかるんだ闇夜の中を、灯す明かりもないまま手探りで歩いていくようなものです。
 そうしたときリーダーは、一人先頭に立ち、勇気を奮って頑張らなければならないのですが、身近なところに「私も一緒に頑張ります」と言ってくれる仲間が一人でもいるかどうかによって、不況を乗り切るための道のりはずいぶん変わったものになります。

 不況になれば、ボーナスも減るでしょうし、昇給もなくなるかも知れません。場合によっては、リストラをして、人員整理をしなければならないかもしれません。そのため、それまでは経営者と従業員との関係が仲睦まじいものであったのに、不況によって一気に信頼関係が失われてしまうケースも出てくるでしょう。

 そうしたとき、今までどのような人間関係をつくってきたのかということが問われるわけです。不況になれば、人間関係が壊れたところから倒産していきます。本当は、不況になったときにこそ助け合わなければならないのですが、人心が離れていってしまう。かねてから良好な人間関係を築いていなければ、不況時に人間関係が壊れて会社が傾いてしまうということが起こってしまうのです。

 信頼されるには、正しいことを正しく行っていく。同時に、真面目で誠実で、包み隠しのない言動をすること。つまり、自分自身の内に信頼されるに足る自分というものを築いていなければ、部下から信頼はされません。

 部下がいて、その部下が協力してくれて、初めて仕事ができるのです。まずは、自分自身の心に信を問うことです。信頼されるに値する自分かどうかを自らに問い、もしそうでなければ反省し、自分自身をそのようにつくっていくよう努めなければなりません。
 信頼とは、外に求めるものではなく、自らの内に求めるものなのです。
(要約)

 今日の一言には、「たとえ、自分が損をしたとしても、人を信じていく。その中でしか、信頼関係は生まれない」とあります。

 物事を「損得勘定」ではなく、「善悪」でとらえて判断する。それがフィロソフィの根幹にある考え方だと思いますが、私自身は、” Give and Take ”ではなく、" Give and Give "でいいと思って生きてきました。

 " Give and Give "が普通だと思っていれば、何の見返りがなくても「がっかりした」という感情は湧いてきません。しかし、そうした関係をしばらく続けていると、少しづつですが、相手もこちらのことを分かってくれるようになっていきますから、徐々に相互理解が積み上がっていって、やがて信頼関係といえるようなものになっていくのではないでしょうか。

 「自分が嫌いな人は相手もこちらを嫌いに思っているのはなぜ?」というQ&Aがよく行われますが、嫌いな人を好きになるにはものすごくエネルギーが必要ですから、実際には接点を少なくして避けようとするのが普通です。
 しかし、それでは根本的な解決にはなりません。自分が好きか嫌いかという判断基準ではなく、相手のありのまま、あるいは相手の善いところを見つけて受け入れようとする度量の広さのようなものが求められるはずです。

「信頼とは、自らの内に求めるもの」
 これも、生きていくうえで大切にすべき心構えのひとつではないでしょうか。


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