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『稲盛和夫一日一言』 7/25(火)

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 7/25(火)は、「ネガティブかポジティブか」です。

ポイント:自分が置かれた環境をネガティブにとらえるのか、ポジティブにとらえるのか。いずれを選択するのかによって、仕事も人生もその行き着くところは大きく異なってしまう。

 1988年発刊の『成功の実現』(中村天風述 日本経営合理化協会出版局)の中で、「人生と積極的精神」と題して、中村天風師は次のように述べられています。

 「積極的精神」というのは、およそ人生において、それ以上に大切なものはないといっていいほど大切なものです。
 なぜなら、健康も長寿も運命も成功も、極論すれば、人生の一切合財(いっさいがっさい)がこの「積極的精神」というもので決定されるからです。

 心の態度が積極的だと、お互いの命の全体が積極的に運営される。反対に消極的だと、またそのとおりに全生命の力が消極的に萎縮(いしゅく)させられてしまう。
 ですから、人生を健康的にも、また運命的にも、理想的に完全なものとしたければ、平素の人生を生きる場合、何をおいてもお互いの心の態度を十分に積極的であらしめなければならないのです。

 ところが、たいていの人はこの真理に目ざめていませんから、健康や長生きというような問題は、肉体に施す手段や方法が、何よりも重大であるように思い、また運命や成功というようなことも、まず学問とか、あるいは経験とかを十分に豊富にしなければいけないと思い込んでいる。
 そうした事柄も決して不必要なことではありませんが、それは第二義的なものであって、第一に必要な事柄は、精神の態度なのです。

 心が積極的か消極的かで、人生に対する考え方が両極端に相違してきてしまう。心が積極的であれば、人生はどんな場合にも明朗、颯爽溌剌(さっそうはつらつ)、勢いに満ちみちたものになりますが、反対に消極的であれば、人生のすべてが勢いをなくしてしまいます。

 古いことわざにも、「陽気の発するところ、金石(きんせき)また透(とお)る」とあります。これは「まずその心を、どんな場合にも消極的にしてはいけない。あくまでも積極的いっぺんとうで人生に邁進(まいしん)せよ。そうすれば、そこに成功があり、成就があり、健康があり、長寿がある」と示唆している尊い言葉です。

 お互いの人生というものはたった一回かぎりです。二度も三度も生まれかわって繰り返すことはできません。
 現在の人生をでき得るかぎり完全な状態で生きていこうとするならば、何をおいてもまず第一に、心、言い換えれば精神状態をどんな場合にも積極的に堅持して、そして全生命を積極的に生かす根本条件をしっかりとつくりあげることが必要なのです。
(要約)

 この書の帯には、なぜ、各界の頂点を極めた人々が「生涯の師」として中村天風師に心服したのか。天風師の魅力の全貌を余さず伝える「人生開眼」の書と書かれており、稲盛名誉会長他、14名のお名前が記されています。

 また裏表紙側には、師の略歴が次のように紹介されています。
 中村天風師とは何者か・・・
 明治9年、華族に生まれながら、軍事探偵となり、満州へ、「人斬り天風」と恐れられる。死病を治すために欧米からインドへ。その間、コロンビア大で医学を学び、日本人初のヨガ直伝者となる。
 帰国後、突如感ずるところがあり、大正8年、一切の地位をなげうち、辻説法に転じる。その波瀾の半生から得た ”人生成功の哲学”

 この書は師の講演録をもとに編集されたものですが、その中で繰り返し説かれているのが「心を積極的にすること」です。そうすることで潜在意識をクリーンにでき、それがよい行動、よい結果につながるという考え方です。

 今日の一言には、「自分が置かれた環境をネガティブにとらえて卑屈になり、恨みつらみを募らせていくのか。それとも、困難な要求を自分を伸ばしてくれる絶好の機会ととらえてポジティブに受け取るのか、いずれの道を取るかによって、行き着くところは大きく異なってしまう」とあります。

 この書の「積極的精神」という考え方がベースとなっているのは間違いありません。一読に値する一冊ではないでしょうか。


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