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『稲盛和夫一日一言』 3月25日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 3月25日(月)は、「潜在意識を活かす」です。

ポイント:潜在意識には、複雑な判断を正しくかつ容易に下す力がある。あらゆることを真剣に繰り返すことにより、顕在意識に代わって潜在意識を活かすことができるようになり、驚くべき速さで、正しい判断を下せるようになる。

 2015年発刊の『稲盛和夫経営講演選集 第1巻 技術開発に賭ける』(稲盛和夫著 ダイヤモンド社)の中で、潜在意識にまで入っていくような強烈な願望を持つことの大切さについて、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 私たちは、意識下で行動する場合と、無意識のうちに行動する場合とがあります。意識下で行動する場合、事業のことを考えているのは、「成功させなければならない」と思っている間だけです。

 一方、潜在意識にまで入ってしまうと、たとえ寝ているときでも事業のことを考えるようになります。「この事業が成功すればいい」という生易しいものではなく、「自分の命とひきかえにしてでも成功させたい」というほどの強烈な願望が潜在意識にまで入っていく。

 そうすれば、寝ても覚めても事業のことを考えているわけですから、必ず成功するはずです。また、そこまで高まった願望を持つならば、研究や技術開発に限らず、他のことにおいても成功するでしょう。

 自分の仕事に対して誇りも感激もなく、「うまくいったらもっと伸ばせばいい」という程度の願望しか持たない人は、何をやっても絶対に成功しません。何を行うにしても困難に遭遇するものですが、それを承知の上で全身全霊を傾けて行えば、何事も成功するものだと思っています。(要約)

 また同著に収録されている別の講演録で、「潜在意識を有効に使わなければならない」として、名誉会長は次のように述べられています。

 自分自身とは、いったい何なのか。肉体と心の二つが自分だと考える人が多いのですが、実はその二つとも自分に付随しているだけのものであって、本当の自分は他にある、と私は思っています。

 その証拠に、心が自分だとすると、本能のままに動く心もあれば、理性のままに動く心もあります。つまり、心は環境条件などのいろいろなものに反応して揺れ動きます。そうしたとき、自分をコントロールするのが意志です。

 では、意志を使って、自分の揺れ動く心に対して、誰が言い聞かせているかというと、それは自分自身なのです。心のままに動くのではなく、真我というものを支えてくれる意志で自分をコントロールする。
 ですから、環境がどのようにシビアなものになろうと、どのような困難に遭遇しようとも、強い意志で自分の心をコントロールして、物事に打ち込んでいくということが、物事を成功させていくために最も必要な条件ではなかろうかと思います。

 私たちはあまり意識していませんが、思い詰めたものはすべて、大容量の貯蔵庫のような潜在意識のほうに入っているはずです。ですから、潜在意識を作用させるほど思い詰めると、例えば、目が覚めたり、何かまったく異なることをやったりしているときに、アイデアがひらめいたりします。
 つまり、まったく関係のないことを考えているのに、「ああ、そうだったのか。こうやったらいいかもしれない」というアイデアが思い出されたりするのです。その頻度が非常に高くなるほどまでに、潜在意識というものを有効に使わなければならないと思います。

 潜在意識は私たちの想像を超えるほどの力を持っています。新しい開発を行う際は、自分の力だけでなく、多くの人々の能力、知恵を借りなければできません。そのような場合でも、潜在意識を活用することができれば、素晴らしいひらめきを働かせることができるわけです。

 ですから、能力の部分は標準以上あればよいのです。あとは人生方程式の掛け算の二番目の要素である熱意、願望の部分をどのように強くするかという問題です。
 そしてさらには、考え方、人間性という部分を、どのようにつくりあげていくかということのほうが必要ではなかろうかと思っています。
(要約)

 名誉会長は、「潜在意識にまで透徹する強い持続した願望を持つということは、真剣に繰り返し考え続けることさえ心がければ、誰でもできることです」とも言われています。しかし「言うは易く行うは難し」、そうそう誰にでもできることではないように思います。

 心がけるべきは、「そんなこと無理」と簡単に諦めたりせず、目の前に起こるさまざまな状況変化にも右往左往することなく、自らが求めているものをしっかりと見据え、それが成就したところをイメージし続けること。

 「新しき計画の成就はただ不屈不撓の一心にあり
     さらばひたむきに只想え、気高く強く一筋に」


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