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『稲盛和夫一日一言』 9月18日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 9月18日(月)は、「継続が非凡を生む」です。

ポイント:一つのことを飽くことなく、生涯を通じて努力してきた人が、結局は名人、達人と言われるような人になる。

 2004年発刊の『生き方』(稲盛和夫著 サンマーク出版)の中で、「毎日の創意工夫が大きな飛躍を生み出す」として、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 「才子才に倒れる」、「才子策に溺れる」ということわざがあります。いずれも、すぐれた才能を持っている人は、その才能や学問を過信するあまり、かえって失敗しがちであるという戒めの言葉として使われています。

 私があまり才子を重用しないのは、才子というのは往々にして、今日をおろそかにする傾向があるからです。才子はその才知ゆえに、なまじ先が見えて、つい、今日一日をじっくり生きる亀の歩みを厭(いと)い、脱兎(だっと)のごとく最短距離を進もうとします。しかし、功を焦るあまり、思わぬところで足をとられることも少なくないからです。

 京セラにもこれまで、優秀で利発な人間がたくさん入社してきましたが、そういう人に限って、この会社には将来がないと辞めていきました。したがって残ったのは、あまり気の利かない、平凡で、転職する才覚もない鈍な人材ということになります。しかし、その鈍な人材が、十年後、二十年後には各部署の幹部となり、リーダーとなっていく。そうした事例をずいぶん見てきました。

 では、彼らのような平凡な人材を非凡に変えたものは何なのでしょう。それは、一つのことを飽きずに黙々と努める力、いわば今日一日を懸命に生きる力です。また、そうした一日一日を積み重ねていく継続の力です。すなわち、継続が平凡を非凡に変えたわけです。

 安易に近道を選ばず、一歩一歩、一日一日を懸命に、真剣に、地道に積み重ねていく。夢を現実に変え、思いを成就させるのは、そうした非凡な凡人なのです。

 ただし、いくら継続が大切だといっても、それが「同じことを繰り返す」ことであってはなりません。継続と反復は違います。昨日と同じことを漫然と繰り返すのではなく、今日よりは明日、明日よりは明後日と、少しずつでいいから、必ず改良・改善を加えていく。そうした創意工夫を続けていこうとする心が、成功へ近づくスピードを加速させていくのです。(要約)

 今日の一言には、「あまり立派でない会社には賢い人は誰も寄りつかないし、よしんば入ってくれてもすぐに辞めてしまい、鈍な者だけが残る。ところが、四十年経ってみると、当時愚鈍そうに見えた人が、非凡な人に変わっている。継続が平凡な人を非凡に変えたのである」とあります。

 国家レベルでは、すでに「人間国宝」や「現代の名工」といった制度があり、官公庁や民間の企業においても、功労者表彰といった制度が多く運用されています。
 それらの対象は、重要無形文化財といわれるような、形として表すことのできない芸能や工芸技術などの文化的所産であったり、卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者で、いずれもそうした人たちの地位や技能水準の更なる向上を図ると同時に、他の技能者や後継となる若者たちに目指すべき目標を示し、夢や希望を与えることを目的としています。

 しかし、そのような対象にはならなくても、地味ではあるがその職場でキラッと光る仕事を長年続けている人は、どの職場にもおられるはずです。
 京セラ在籍40年の間、私もそうした人たちに厳しく指導されたり支えてもらいながら仕事を続けてこられたと感じています。振り返って、自果たして自分がそうした存在であったかどうかは、はなはだ疑問ですが…。

 今、仕事を仕方なく続けている人がおられたなら、まずは自分の仕事に興味を持つことから始めてみましょう!
 そうすることで、仕事がどんどん好きになり、人一倍の努力を続けることができるようになるはずです。
 「継続が非凡を生む」、「継続は力なり」というのは紛れもない真実なのではないでしょうか。


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