Regrit Partners CEO 山木 × 「0秒思考」著者 赤羽雄二氏 対談(後編)
前回に引き続き、「0秒思考」の著者でありブレークスルーパートナーズ株式会社 代表取締役 赤羽雄二氏とリグリット パートナーズ CEO 山木との対談の模様をお伝えします!
(前回の記事はこちら↓)
後半では、「新卒からコンサルタントになった人材の育成について」、「多くのコンサルタントの中から頭一つ抜けるには」、「大手外資系コンサルに所属していたお二人は、なぜ経営を行おうとしたのか」という3つテーマでお届けします。
コンサルタントとして活躍している人はもちろん、コンサル業界に入って間もない若手の皆さんにも読んでいただきたい内容となっておりますので、是非ご一読ください!
記事作成者:リグリットパートナーズ対談企画チーム
新卒からコンサルタントになった人材の育成について
山木: 赤羽さんは事業会社から大手コンサルティングファームへ移られたため、現場経験や感覚を持ちつつコンサルティング業務に従事されていたかと思います。
一方で近年では新卒からコンサルタントになる方も増えてきています。
そういった方々は、赤羽さんとは別のアプローチで価値提供する必要性があると考えていますが、どうお考えですか。
赤羽氏:大手コンサルティングファームでも新卒の採用はしますが、それは優秀な人材を取ることでトータルの育成コストを抑えられるからだと理解しています。
ですが、私としては、新卒からコンサルタントになった人たちはかなり苦労されると思います。誤解を恐れず申し上げると「新卒からコンサルタントになるべきではない」と考えています。
日本企業の実態を知らないまま好待遇に慣れ、知識や理論先行で物事を考えがちだからです。
山木:おっしゃる通りで、とてもいい論点だと思います。
当社はコンサルティングだけでは本当の経営人材は生まれないとの考えから、「コンサルティング+1」という自社経営に関与できる活動を行っています。
コンサルティング業務とは別に、採用やマーケティング、事業開発などの会社経営に貢献する取り組みに参画してもらっています。※今回の対談記事に関しても、企画から実行までコンサルタント業務と並行して行っています
赤羽氏:それは素晴らしいですね。できるだけ複数の事業に関われるとよいと思います。事業会社にずっと所属していても、生ぬるい環境が続けば、成長は阻害されます。
山木:赤羽さんはどのように能力を伸ばしたのでしょうか。
赤羽氏:世界中のコンサルタントに自らコンタクトを取りました。
前職では人に教える文化があったことと、人材育成が評価に反映されることもあり、教えてくれる人も多くいました。私自身も、クライアントの人材育成には特別の関心を持ち、多大なエネルギーを注ぎました。
(https://b-t-partners.com/media/262)
ただ一般的には、コンサルタント業界の中には人材育成に強みを持ったコンサルタントは意外に多くないと考えています。
山木:では仮に人に教えるというカルチャーがない組織に所属している人は、どうやって能力開発していけばいいと思いますか。
赤羽氏:私の考えでは、社員育成するために言行一致で徹底的にフォローすることです。教える側も教わる側も、やる気があればいくらでも変わると考えています。
多くのコンサルタントの中から頭一つ抜けるには
山木:新卒でコンサルティング業界に入る人が増えているのは、見方を変えればエントリーしやすくなったと思います。コンサルタントの母数が増える中で、頭一つ抜き出るための要件は何でしょうか。
赤羽氏:人数が増えたといっても、ピラミッドの下の層が増えただけで上位層は何ら変わっていないと考えます。もし自分が下の層に位置すると考えているのであれば、上位層にいけるように変わるしかありません。具体的要件としては、問題把握と課題解決の2点と考えます。
山木:コンサルタントといえば課題解決に目線が行きがちですが、問題を見抜くことが重要だと思います。インプットデータが増える現状の中で、問題把握するポイントや重視すべき点はどのようなものだと思われますか?
赤羽氏:複雑化しているように見えても、本質は決して複雑ではありません。それを見抜くには、洞察力と情報収集力、そしてアクティブリスニング力です。
多くのプロジェクトで真剣勝負をし、PDCAを回し続けることでこれらの能力を磨いていくしかありません。
山木:おっしゃる通りですね。
結論としては、コンサルタントとして必要な能力としては、昔から大きく変わっていないように思います。
赤羽氏:昔と比べ情報量と情報のスピードが上がっているだけで、人間であるクライアントの悩みを聞く点は根本的に変わってはいません。
ビジネスの観点で抜きんでるとすれば、ビジネスチャンスに先頭で入り込めるかが重要だと思います。
世の中で大きな変化が起こるときは、ビジネスチャンスが生まれ多くの人が殺到しますから。
山木:確かにそうですね。もしくは人が殺到する前に予知して入り込むことが重要となりそうです。
赤羽氏:近年であれば本当の意味でのDX案件に入り込んで、早いうちにブランドを確立することが重要ではないでしょうか。
山木:DXは本来的には投資対効果が高いからこそ成立すると考えており、当社はそこにしっかり向き合いたいと考えています。
大手外資系コンサルに所属していたお二人は、なぜ経営を行おうとしたのか
赤羽氏:私はマッキンゼーに14年所属し、韓国企業を10年間支援した結果、大企業の経営改革を数多く行ってきました。大企業への支援や韓国企業への貢献に区切りをつけ、今度は日本発の世界的ベンチャーを一社でも生み出していきたいとの思いからです。
山木:未来への投資ですね。その思いは課題感からきたのでしょうか?
赤羽氏:1989年当時、世界の時価総額ランキングのトップ10社中7社、20社中14社が日本企業でした。現在では日本のトップ企業でも世界で見れば30位程度に留まり、まるで壁に激突したように急降下しました。外資系の有名企業が伸びている中、日本はさらに降下している状況からこのような考えに至りました。
山木:確かに明確な数字として出てしまっていますね。
赤羽さんよりスケールは小さくなりますが、私はコンサル業界にいるからこそ、この業界のペインを何とかしたいという思いがあります。
コンサルタントとして自分がサービスを提供していながらも、お客さんのニーズに応えきれていないのではないかという思いをずっと持っていました。
そして、誰でもコンサルになれる時代に、上位のコンサルタントと下位のコンサルタントの差が大きくなってしまった。
私は、本当の意味でのコンサルタントやコンサルティング業界発の人材が輩出されるべきだと思っています。
我々の会社からマーケットに羽ばたいていって、未来に投資できる人を増やしていきたいと考えています。
当社は特定のソリューションを売り込むようなことはしていませんが、そのようなやり方ばかりしていては、それはもう知的産業ではなくなってしまうと考えています。
イシュードリブンで考えられるコンサルタント、ビジネスパーソンを生み出したいのです。
(以上で対談終了)
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おわりに
いかがだったでしょうか。
今回の記事ではコンサルティング業界の経験者には非常に共感を得られる話も多かったのではないでしょうか。
よかったらぜひ記事の感想などコメントやスキをいただけましたら対談企画チームは大変うれしく思います。
読者の反響が次回企画の原動力となりますので、面白かった~という方はぜひぽちっとお願い致します。
では、次の企画をお楽しみに&ご期待ください!