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AI時代に必要とされる人材 学級通信『Sagittarius』vol.86 2021.11.24発行

 AI時代に生きるキミたちに,今日は必要とされる人材とはという話をします。まず,キミたちに知っておいてもらいことがあります。それは,世の中には「役に立つモノ」と「価値のあるモノ」があるということです。これをコンビニの商品で考えてみましょう。
 役に立つモノの代表例はハサミやホッチキスです。一方,ジュースなんかは意味のあるモノの代表です。例えば,こんな味のジュースが好きだとか,CMに出ているアイドルが好きだとか。つまり一番役に立つジュースを買うわけではないですよね。
 次に,棚に並んでいる商品の種類の数を見てみましょう。ジュースの棚にはたくさんの種類が並んでいるのに対して,ハサミやホッチキスは1種類しか並んでいないですよね。
 すなわち,役に立つモノは1つでいいということです。2番目に切れるハサミなんていらないんですね。さらには2番目に検索できるグーグルなんていりませんよね。要は役に立つモノは1番だけでいいんです。
 人の能力もこれに似ています。暗算の速さを売りにしていた人は電卓の登場で一気に必要とされなくなりましたし,知識の量を売りにしていた人はグーグルの登場で必要とされなくなりました。
 今でいうと,「この場合はこれ」,「このときはこうすればいいんだ」,みたいなパターン認識で活躍している人は,今後AIの台頭で必要とされなくなるでしょう。つまり,正解を出し続ける,「役に立つ人」の価値は,今後どんどん薄れていきます
 これは私たちには,なかなか受け入れにくい現実です。今でも学校では正しい正解を出すような授業やテストが行われています。つまり「役に立つ人」になるための訓練が行われています。しかし,やっぱり「役に立つ人」の価値は下がっていくでしょう。
 ここまでで書いているのは「役に立つモノ・人」がいらないのではなく,「1番役に立つモノ・人」“以外”いらなくなるということです。ただ1番になるには激戦です。こうなると「意味のある人」を目指す必要があります。つまり「あいつはポンコツだけど,憎めないよな」という人です。
 役に立つ人の売りは,機能性ですね。じゃあ意味のある人の売りは何になるかを考えなければなりません。その答えの1つが「ストーリー」です。
 今キミたちが応援している人を,1人頭の中に思い浮かべてください。おそらく,その人よりもその業界で能力的に優れている人はいるはずです。でも,能力的に優れている他の人より,思い浮かべたその人を応援しているんですよね。
 その応援理由の1つに,その人の苦労や挫折・悩み,その人が歯を食いしばって踏ん張った瞬間を見てきたから,ということがあると思います。つまり,その人を選んだ理由の1つに,その人のストーリーが含まれているのです。その人が順風満帆に何の挫折・苦労もなく今まで来ていたら,キミたちはその人を応援していないのではないですか。
 つまり,この浮き沈みが大切なんです。言い換えると失敗があるからストーリーが生まれて,「意味のある人」になれるんです
 挑戦すればストーリーは生まれますが,挑戦しなければストーリーは生まれない。ストーリーが生まれなければ,現代で最も競争率の高い「役に立つ人」の競技に参加し続けなければなりなくなります。つまりAIと戦うという,圧倒的にハードな戦いに挑まなければならなくなります。
 人生の選択を迫られたときに,成功するか失敗するかで判断するのではなく,ストーリーが生まれるかどうかで判断するのが大切です。そう考えると,挑戦しない手はないですよね。頑張ろう。私はキミたちの挑戦を応援しています。

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