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戦略経営で敗北したスーパー「やまと」

こんにちは、RYOTAです。



先日こんなニュースがありました。


「山梨のスーパー「やまと」全9店の営業停止 破産申請へ」

山梨県の峡北地域を中心にスーパーマーケットを展開する「やまと」(韮崎市富士見2丁目、小林久社長)は6日夜、全9店の営業を停止し、来週中にも甲府地裁に破産を申し立てると表明した。同業他社などとの競争の激化で業績が低迷し、事業継続が困難と判断した。

 信用調査会社帝国データバンク甲府支店によると、負債総額は約16億6900万円(今年6月期決算)。やまとは1912(大正元)年、鮮魚店として創業し、51年に株式会社となった。2008年には16店舗を展開し、同年6月期の年売上高は約64億4300万円を計上した。

 しかし、大手量販店の進出や同業他社との競争激化で売り上げが減少。14年6月期の売上高は約47億9200万円に縮小し、債務超過に陥った。不採算店の閉鎖などで立て直しを図ったが、今年6月期の売上高は約27億4700万円に落ち込み、4期連続の減収赤字決算となったという。

 やまとによると、今月に入り、取引先に信用不安が広がり納入が減少。年末商戦に向けて商品を十分に確保できる見通しが立たず店舗の閉鎖を決めたという。約180人の社員・パートは6日付で全員解雇し、再就職を支援する。

(朝日新聞デジタルより 引用)



実はこれ、山梨に限ったことではないのです。地方を中心に同様の地元スーパーが廃業に追い込まれるケースが相次いでいます。

「遂に耐えられなくなって来たかな」って感じです。



この減少について書く前に抑えておかなければならない企業があります。

米大手小売業ウォルマートご存知でしょうか?

郊外を中心にアメリカ国内に4000店舗、海外にも子会社系店舗を持つ世界最大のスーパーマーケットです。

僕も訪米した時に言ったことがあるのですが凄いですね。とにかくデカい、安い、何でもある。「庶民の味方」的なスーパーです。

輸入雑貨から実銃まで売ってるのには驚きましたね(笑)

このウォルマートの経営戦略なしには現在の日本のスーパーマーケットは語れません。

ウォルマートの戦略は「ドミナント戦略」と呼ばれるものが中心でした。
ちなみにウォルマートのキャッチコピーは「Everyday Low Price」です。

※ドミナント戦略とは
一地域に集中して出店しその地域における占有率をあげ商圏、市場の独占を図るものです。
(細かく書くと趣旨から逸れそうなので簡単に説明しています。)

ウォルマートは郊外に大規模な商品の配送センターを作りそこを中心に放射状に店舗を展開していきました。
各卸業者やメーカーの配送を配送センターに集中させることでメーカーが各店舗を回ることを無くし配送の効率化を図りました。
そして郊外なので土地は比較的安い値段で大きい店舗を建てることが可能でした。
広大な土地のアメリカでは一週間分の買い物をしておいて大型の冷蔵庫に入れておいたりすることが日常的ですので一箇所で安く全て揃うウォルマートはピッタリでした。
そして大量仕入れによる薄利多売によって顧客の心を鷲掴みにしたのです。

余談ですがこのドミナント戦略を積極的に実施してきたのはコンビニ業界ですね。面白い記事も色々ありますので探してみてください。



さて、ウォルマートは2001~日本の小売会社「西友」と業務提携(事実上の子会社化)します。
そして組織改革を実施してウォルマート流経営術をどんどん取り入れて展開を目指して行きます。

しかし、アメリカとは生活事情が違う日本ではウォルマート流経営術は成功しませんでした。
日本人は週に何回も買い物に行く上に広告、チラシといった媒体が顧客求心の中心となっています。
毎日安いウォルマートそれ故に広告費を削減したりしたため顧客吸収に失敗したのです。

その結果日本国内の西友店舗は次々と閉店せざるを負えなくなっています。現在では新しく残った高収益店舗を中心に日本に合った店舗展開を目指しているようです。

しかしそういった動きを日本国内の小売業者は見逃しませんでした。
ここで最初の地方のスーパーマーケットの話に戻ります。




地方郊外では高齢化が進み土地の価格も下落していました。
そこで「賢い」小売業者は地方郊外に大型店舗を建てそこで大規模に商品を売ることを考えました。
もちろん、商品の種類はある程度豊富に揃えたり、適量を安く提供する等日本国内の消費者傾向を理解した上での展開でした。

代表的なのを挙げるとするならば

・四国、中国に展開する食品系小売業[ハローズ]
・近畿以南に展開する医療系小売業[コスモス]
・東京を中心に展開する食品系小売業[オオゼキ]
・滋賀県を中心に展開する食品系小売業[平和堂]

こういったところでしょうか。私自身関西の人間なので関東はイマイチですが他にもあれば教えてください。
特に[オオゼキ]は面白いですね琵琶湖を囲むように滋賀県内に81店舗を展開しています。

こういった効率的な出店戦略を取ってきたスーパーマーケット、小売業が今日において「生き残れる」のです。
それが遅れた店舗、企業は今後も淘汰されていくでしょう。

こうしたドミナント戦略に小規模なスーパーマーケットが生き残るには僕は2つの必要性があると考えます。

それは

「価格以外に顧客の心を掴むサービスやインセンティブを提供すること。」
「地域における商圏拡大を図り他社の参入障壁を高くする。」

この2つです。
「価格以外に顧客の心を掴むサービスやインセンティブを提供すること。」とは、例えば大型店舗では実施しにくい購入商品の配達サービスなんかがあげられると思います。
ここは、知恵を絞って考え出してく分野でしょうね。

もう一つの「地域における商圏拡大を図り他社の参入障壁を高くする。」は企業にとって「賭け」となります。
今ある資本を投下しなければ新店舗は展開できませんからそれなりのリスクになります。

しかし、その地域に大規模な配送センターを作り店舗を展開する企業に比べれば安く済むはずです。
積極的な拡大戦略によって他社に「この地域は割に合わない。」と思わせることで自分たちの利益を守ることが可能になるのです。

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