名古屋エッセイ(1)名古屋、印象。

 僕はどんどん北上していっている。高知県のど田舎で生まれ、大学で京都の地を踏み締めた。そして今は就職で名古屋にいる。最終的には北海道にまでいくんじゃないだろうか? いや、海外? 科学の進歩によっては地球外にいるかもしれない。

 それはまだ分からないが、とりあえず、それぞれの場所でのエッセイを書いているうちに過去を振り返ることが増えた。良いことも悪いことも思い出していくうちに、どうしてもっと記録してこなかったのだろうかと何度も思わせられた。

 だから早めに名古屋のエッセイを書かねばとは思っていたのだが、もう三ヶ月も経ってしまった。
 生放送ではないが、ほぼ生放送。どこか日記みたいな感覚で、名古屋エッセイは書いていこうと思う。

 第一回は、僕が名古屋に感じた印象を書こうと思う。ど田舎に生まれた僕が初めて都会暮らしをすることになったわけだが、特にワクワクすることはなかった。京都という街の呪いだろうか? 気づけば京都と比べ、帰りたいなと思ってしまう。

 京都という街が十分都会だったというのもあるかもしれない。

 実際に暮らす前に何度か遊びに行った。確かに都会だという印象はあるが、少し手を伸ばせばどこでも行けたし、なんでも手に入るという都会のイメージとは違って、むしろちょっと行くのが面倒だなという場所にあることが多かった。

 例えばチェーン店。僕はよくお寿司を食べたい欲を満たすために、すき家のマグロ丼を食べるのだが、家から歩いて行ける距離にすき家がない。なか卯もよく行っていたがない。マクドナルドもない。なぜかモスとガストは二軒、歩ける範囲にある。

 あんまり使わない、使ってこなかった店ばかりで、どこか居心地の悪さを感じてしまうのだ。

 栄や名古屋駅付近にはお店が揃ってはいるが、有名なブランドのお店が多く、あまり足が向かない店ばかりだ。

 その点京都はその辺りのバランスが良かった。チェーン店もブランド物も、個人経営の店も流行の時期だけの店も、たくさん立ち並んでいた。

 もちろん河原町というエリアに集約されているという意味では名古屋と変わらないかもしれないが、京都全体が名古屋よりもきゅっとまとまっている分、それこそ手が伸びる位置に何かしらある感覚があった。

 緑の多さでも京都が圧倒的に強い。人々が集まるエリアが限定的なのは名古屋も変わらないが、少し離れたところは自然豊かで、寺社仏閣などが多いのもあって雰囲気がある。

 名古屋駅や栄のどこか人工的でかといって人情味には欠けている感じが苦手だった。そこから外れたエリアは都会というよりは地方都市のような印象がある。それこそ岐阜や滋賀に近い、時の流れ上がりゆっくりな雰囲気があるのは、個人的には好みだ。休日にはブックオフやゲオ、その他新刊書店やカフェを巡っているが、店舗ごとに特色が違っていてとても面白い。

 名古屋を褒めるよりも京都を褒めるような内容になってしまった。しかしこれは京都の魅力に囚われた人間のフィルターを通してでしかない。
 長く住むうちにこの街も好きになれたらなと思いながら、やはり京都に帰りたがっている自分がいる。

オススメがあったら是非教えてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?