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陶芸とイラストレーション:共存しにくさ

ある日知り合いの陶芸家と今は陶芸のマーケットでどのような陶芸品があるということについて話しました。最近あのマーケットには陶芸を表現として使うイラストレーターが増えてきて、同じマーケットに参加することが多いのに気づきました。あの人たちの作品は陶芸家の作品と違うところについての話でした。何のところでしょうか?

その話ではバルナウル市生まれ、モスクワに住んでいるアーティストのスヴェータ・マモントワさん (Sveta Mamontova, lotalota) の作品を紹介したいと思います。

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現代ロシアのイラストレーターが陶芸に向かったら、陶芸家と違って材質を中心にする作品ではなくて、イラストを3次元のものにする作品の作り方として陶芸を扱います。それは技術自体にそれほどこだわらず、ある程度錯誤を許し、代わりにコンセプトと三次元の形と二次元の画像の相互作用を大事にする作品です。

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形の扱い方は素材の特徴ではなく、コンセプチュアルな目標を重視しています。そのような作品は複雑な焼き付けとか、得難い釉と粘土とか、などの陶芸家ならではの技をあまり使いません。主にイラストを含めて、紙で描いたクロッキーをもとにしたり、何か実物を三次元の形にしたりする場合も多いです。

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自分の作品ではスヴェータ・マモントワさんはロシアの背景によく傾けています。彼女が使っているイメージはロシアでは分かりやすいですけれども、海外では少し解説が必要かもしれません。例えば、こちらはグジェリという伝統的な陶芸のタイプを取り上げているスヴェータ・マモントワさんに作られた壺です。

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残念ながら、ロシアでは伝統的な陶芸と模様は現代ビジュアルカルチャーの一部ではありません。日常生活にあまり出ないものであって、「ロシアすぎる」のものの象徴になってしまいました。また、壺自体は同じ壺の中にある壺のイメージを含めています。それはもう一つの「ロシアすぎる」ものへのレフェレンスです。それはもちろん、マトリョーシカです。壺自体も、模様も「不器用に」ディフォルメされているのに、魅力のあるものです。つまり、伝統的なものの美は定番の固定概念に覆われてそのままで見えないものになってしまったことを明らかにする作品です。その魅力を見るためにディフォルメが必要だという特徴について語る作品だと思います。

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多くの陶芸家にとってそのような作品は「陶芸」とは言えません。多くのイラストレーターにも陶芸の技術の美妙な特徴も分かりにくいです。とくに、イラストレーターっぽいアイディアがなければ。しかし、その分野は共通点が多いに違いないですから、いつかもっと積極的にお互いに影響を与えあうようになると期待しています。


アーティストのインスタ:

https://www.instagram.com/lotalota_/


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