井上 流想

動物好きな平和主義。保護猫2匹と都内在住。 日々現れる心の声や過去執筆した作品を投稿…

井上 流想

動物好きな平和主義。保護猫2匹と都内在住。 日々現れる心の声や過去執筆した作品を投稿していこうと思います。 隙間時間に拝読して頂ければ幸いです。

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        • 第15話 スター誕生

          僕はあの黒猫が頭から離れなかった。 ビロードのような光沢ある毛並みに緑色した宝石のような目。 上品で高貴で気高い雰囲気を持ちつつ、船に乗り、漁師さん達に可愛がられている。なんとも魅力的な猫だ。 「おい、マーブル。何をさっきから考えておるんじゃ?」 「え?!」 「恋でもしたかの?」 「恋?!」 「あの娘の事、考えてたじゃろ?」 「あ、あの娘って誰ですか?」 「あの、黒猫に決まっとるわい!何をとぼけとる?」 「イカのお礼でもしなきゃいけないな~って考えてただけ

          いばらの道に進むのは怖くて不安だ。 だけど、何年後、いばらの道を振り返った時、 綺麗な花が咲き誇っているかもしれない。 それは道を通ってきた勇者にしか見れない花。 その花を見るために、私は前へ進む!

          いばらの道に進むのは怖くて不安だ。 だけど、何年後、いばらの道を振り返った時、 綺麗な花が咲き誇っているかもしれない。 それは道を通ってきた勇者にしか見れない花。 その花を見るために、私は前へ進む!

          マリリンモンロー ⑤

          あれから、何事もなかったかのように過ごしている。 昼間は寝てばっか。 せっかく実家に戻ってきてもモンローと触れ合える時間はあまり多くない。 時間を持て余していたのでモンローが過ごしやすいように、カーテンレールの上には板を置いて歩けるようにしてみた。 それから、クローゼットの上には座布団を置いてくつろげるようにした。 おもちゃも用意。 水も新しいものに取り替えて。 トイレも清潔に。 クーラーで室温調整。 外より中の生活のほうが安全で過ごしやすい事を教えたい。 そして、母

          マリリンモンロー ⑤

          第14話 しっぽ

          太陽がまだ顔を出さない内からこの島の猫達は動き出す。 僕と師匠はまた船場へと戻る事にした。 「みんな早起きですね~」 「というか、猫は夜行性だからな~。家猫として生きてるとどうしても飼い主の影響で昼型寄りになるんじゃがの~」 「師匠、僕ここに来て気付いたんですが、猫のシッポっていろんな長さと形がありますよね~」 「そうなんじゃよ」 「僕みたいな真っ直ぐなシッポが普通だと思っていました」 「なんだ?それ自慢か?」 「いえ~。そうじゃなくて~。ほら、例えば、あの猫、しっぽがカク

          第14話 しっぽ

          第13話 ハンティング

          小腹が空いた師匠と僕はあてもなく歩いた。 「こうなったら人間に頼らず狩りでもするか〜」 「か、狩り!」 「成功するかわからんがの。おら母ちゃんに教わってないからな〜」 「僕もです」 「狩りはな、母猫から教わるもんなんじゃよ」 「へ〜」 「母猫は殺した獲物を子猫の前で食べて見せるんじゃ。そうする事で獲物=食べるを教える」 「ほ〜」 「次に半殺しの獲物を子猫の前で仕留めるんじゃ」 「ひ〜」 「ここで仕留め方のテクニックを教えるのじゃ。猫は生まれながらに獲物を捕まえたい本能がある

          第13話 ハンティング

          第12話 勲章

          眠くなってきた僕と師匠は船場から少し離れた、テトラポットが目の前にある、幅の広い道の真ん中で足を伸ばした。 フナ虫達がチョロチョロと横切るも、眠気が勝る。瞼がゆ~っくり閉じ、夢の中へ。 何度か寝返りすると、師匠とぶつかる事もあったが、そこはご愛嬌。   師匠は薄目を開け、また閉じ、なかった事にしてくれる。 愛嬌というのは便利なものだ。 数時間が経ち、目を開けると辺りはうっすらと暗くなっていた。 既に船場には何艘か停泊しており、漁師の兄ちゃんはもう家に帰ってしまった様だ。 僕は

          第12話 勲章

          第11話 師匠の過去

          船場に着くも漁師達はまだ帰ってきておらず、辺りは妙に静かであった。 「……」 「どうしたマーブル?浮かない顔してるな」 「思い出しちゃいました、ここに着いた日の事を」 「そうか……」 「はい」 「ここに来るとよ、別れの日の事……思い出すんだよな〜」 「!」 「実はおらも家猫だったんだ。ちょっと複雑でよ、おらの場合」 「どう……複雑なんです?」 「おらはこの島で生まれたんだがよ、赤ん坊の時に観光客がポケットに入れて持ち帰ったんだ」 「!」 「その頃はまだ佐伯さん家に母猫達は集

          第11話 師匠の過去

          第10話 1.2.3.4.5

          古びた一軒家の2階窓にはテレサゾーンから引っ越してきた老猫が見える。 「おっ!斎藤さん起きたみたいだな、開いてるぞ」 玄関はちょうど猫の頭が入るくらいの隙間が開いていて、そこを尻尾をピンと真っ直ぐ立てた師匠が入って行く。 「斎藤さ〜ん、こんにちは〜」 留守なのか、まだ寝ているのか、とても静かだ。 奥へ行くと開いた襖のすぐ横に斎藤さんの足の裏が見えた。 「さ、斎藤さん!」 走って近寄ると、斎藤さんはうつ伏せで倒れていた。顔を舐めたが反応がない。耳をすますと僅かだが呼

          第10話 1.2.3.4.5

          第九話 ダジャレ

          「おい白キジ!さっきから何してる?」 「ボスさん!」 「うっ、なんか溝臭いな〜」 「すいません、これには色々と事情がありまして」 「ほれ、ぶつ切りかっぱらってきたから一緒に食うぞ!」 「はい!ありがとうございます!」 2人の微笑ましい光景を眺めていると、師匠がのそのそとやってきた。 「師匠〜!」 相変わらずバサバサの毛並みを保っている。 「おぅ、新入り!」 「師匠!僕、シマさんに新しい名前を頂きました」 「ほぅ。確かにいつまでも新入りって訳にはいかないな。次の新入りが

          第九話 ダジャレ

          第八話 TNR活動

          「シマさん、みんなボスの事勘違いしてるみたいですよ」 「え?そうなの?」 「良い人みたいです」 「へ~」 「白キジさんと白茶トラさんの為にご飯を取ってたみたいなんです」 「そうなんだ~。でもな~食べ物の恨みは尾を引くからな~」 「そうなんですか?」 「うん、大抵の生き物はそうでしょ」 「そうなんですか〜」 「ま、でもいい奴なら良かった」 「はい」 「ところでシマさん、テレサゾーンって一体何ですか?」 「マザーテレサって知ってる?」 「いえ」 「マザーテレサは病気で死を待つだけ

          第八話 TNR活動

          第七話 体質

          「シマさん、あそこ!」 「ん?」 「あの猫、確か、猫集団の一人じゃないっけ?」 「あ~あの連中の」 「何してるんだろ?」 「なんか怪しいな〜」 「何か落ちてるのかな?」 白キジトラが下水溝の脇に立ち、ウロウロしたり覗いたりを繰り返している。 「どうしたんですか?」 「えっ!」 「何してるの?」 「あ、あの、その、なんか、ここから小さい声が聞こえてきて」 「声?」 僕達は下水溝を覗き込んで見た。 「あ!子猫!」 「うっ!臭い!」 「やっぱり子猫でした?!は、早く、何とか

          第七話 体質

          第六話 佐伯さん家

          「あの坂を登ったとこが佐伯さん家だよ」 「あの青い屋根のですか?」 「そうそう」 「佐伯さん家の納戸や広い庭に母猫達が集まるんだ」 「なんでですか?」 「ここが安全だからだよ」 「他の場所は安全じゃないんですか?」 「もちろん、他の場所で出産子育てする母猫もいるけど……安全ではないよな〜」 「そうなんですか」 「保健所って知ってる?」 「いえ」 「保健所に連れて来られた動物達がどうなるか知ってる?」 「い〜え」 「殺されるんだよ」 「!」 「その中で圧倒的に数の多い生き物が、

          第六話 佐伯さん家

          第五話 マーブル

          この島の朝はとても早くて驚いた。 薄暗い中、漁師達は出港の準備で忙しそうだ。 昨日は長く刺激的な1日で疲れ果て、屋根の上でぐっすり寝てしまった。 僕は上から港を見下ろすと、若い漁師が船の点検をしていて、その傍にはジャスティン・ビーバーがいた。 船が出港すると「いってらっしゃ~い」と手を振るみたいにしっぽを左右に振っている。 今日も新しい一日が始まる。 僕は師匠に会いにいく為、恐る恐る来た道を降りていく事にした。 ジャンプで登っていく時より降りていく時の方が時間がかかって、

          第五話 マーブル