Web会議の活かし方
最近、アフターコロナで強まるオフィス回帰、という記事が出ていました。が、IT業界等、業種や職種によっては高い割合で、リモートワーク環境が定着した会社、そこで働くビジネスパーソンは多いと思います。
既存顧客との定例ミーティングや新機能提案。見込み企業への新規営業、他社商品から自社商品への切り替え提案。いずれも、コロナ以前であれば、企業に訪問し、名刺交換によるご挨拶から始まり、3対3などの対面形式で、”場の空気を読む”ことをしながら話し合いを進めたものです。
その時代に求められる営業スキルには、名刺交換のマナーに始まり、席順マナー、ミラーリング効果の活用、交渉相手の心理を手足の仕草や視線の動きから読み取る交渉術、腕時計や名刺入れを利用した交渉の終わり方のコツ、などがあり、各種の書籍やOJTで学んだものです。
が、Web会議においては、読むべき交渉テーブルの場がありませんし、小物も通用しません。見えるのは相手の首から上の表情と、Web画面上に表示されるログイン名、そして聞こえてくる音声だけ。
先日投稿した、「Web会議の功罪」でも書きました。
こんな時代における交渉術とは何でしょうか?そもそも交渉術はもはや意味はなく、製品情報と価格情報、それだけで比較され、導入の可否が決定されてしまうものでしょうか?
GenZeeはそうは思いません。
やはり、営業やビジネス開発というものは人が人に行う行為。観察眼や交渉術というのは、どのような環境になっても必要なスキルであり続けると思います。
その交渉術における重要な要素に、決定権者を探る、相手方社内の人間関係を探る、ということがあります。
一般的には役職が上の人の方が権限があるものの、現場の判断に相当委ねているリーダーもいるし、技術者などの関係者の意見を最も尊重するタイプもいます。また、タイトル上は参加者中最上位でも、最近入社しており、最古参社員の意見に影響を受けやすい役職者もいるかもしれません。
Web会議でも、交渉相手グループの各人の視線や表情は観察できるし、声のトーンは読み取れます。そして、誰が話すか、誰が誰に質問をするか、誰かの発言が始まったら誰かが話を止めたり、頷いたりしてないか、そういった情報は、交渉相手方のグループのメンバー同士の上下関係や人間関係、そして導入可能性などを判断するための貴重な材料となります。
ビデオ形式の会議中に使えるちょっとした会話の工夫を列挙します。
参加者の情報、社歴と前職を事前でも会議中にでも、よく調べる。
名前で呼びかけて、自分が意図した相手に答えてもらう。
相手方の誰かが話している時でも、他の参加者の表情(賛同、否定)を観察する。
どんなテーマについて、誰が誰の意見を求めるのかをよく観察する。
特に1については、画面越しの話し相手との距離を縮めるヒントを見つけるためにも使える技術です。お互いの挨拶をしながらも、相手に見えない手元では、登場する方々について、LinkedIn、Facebook、X、その他を活用して、出身地、出身大学、居住地、趣味、そして共通の知り合い、などの情報を調べるのです。
そんな情報の中から、自分との共通点を探し出し、「もしかしてXXさんとお知り合いですか?私は10年の付き合いなんですよ」、「実は私もXX市出身なんですよ」、「東京マラソンのチケット当選したようですね、私は今年も落選しました~」といった具合に、共通の知人、属性、経験、を示すことで、相手に自分と近い人だ、と思ってもらう工夫をすることができます。
このような工夫によって、プロダクトや料金など、同じ交渉材料を持っていても、ディールを取れるか取れないかの分かれ道に影響することもあるし、また、結果、契約できるとしても、その契約獲得までのスピードに差が出てくることがあります。
ハイブリッドワーク時代の象徴であるWeb会議ですが、プラス面もあります。臨機応変に、目と手元をフル回転して、画面の向こうにいる交渉相手の人々の人間関係、力関係、そして自分との共通点を探しながら交渉してみましょう。
以上、お読みいただき、ありがとうございました。
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