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『軽いノリだから想い今』 3Kナラティブインタビュー

【インタビュー】

3Kナラティブインタビュー
テーマ:『軽いノリだから想い今』
インタビュアー:鷺谷 公平
インタビュイー:ななさん
LINE通話にて実施。
※スペース公開はなし

【概要】


福祉の高校を卒業しヘルパーと介護福祉士を取得。
その後、
大学を卒業後、言語聴覚士を取得してから早、7年程。

総合病院から始まり
今は通所施設でパートとして働く中

「もっとできることがあるはず」

この葛藤と希望を抱きながらも
明確にある目標は
「福祉のフリーランスとして、障害問わずたくさんの人の力になりたい」

2人の子供を育児しつつ
自分がやりたいことに
向き合いながら進む
ななさんの思いとこれからについてインタビューを行う。


●取得資格
・ヘルパー2級
・介護福祉士
・言語聴覚士

【福祉と言語聴覚士のきっかけ】


最初に言語聴覚士の訓練を目にしたのは
自閉症スペクトラム症である弟のリハビリである。

当時、リハビリ=運動の印象を強く持っていた。
だからこそ、
発語訓練やコミュニケーションを中心としたリハビリを見て
関心を寄せたという。

しかし
情熱的な関心ではなかったと話す。
そして、この段階ではまだ
「言語聴覚士」という言葉は知らなかった。

高校は地元の福祉学科
理由は移動距離。
この学校以外は距離が遠く、両親の援助なしでは難しかった。
だから、両親からは「この学校以外は行くな」
そんな程度で始まった高校ライフ。

当時の福祉系の資格取得への熱意は
「腐るもんでもないし、取っておこう」ぐらいのもの。

大学への進学も考えており
このまま福祉の道を進むなら
社会福祉士の取得を考えていた。

しかし
身近な人に社会福祉士を目指す人が複数いた。
だから
すぐに進路を変えて
当時、周囲に目指す人が少なかった
「言語聴覚士」の取得に向かう。

ななさん曰く
「誰かと同じって昔から嫌で。(笑)言語聴覚士を目指したのも当時はノリでした」


ノリと言えば聞こえが悪かもしれないが
ここには、ななさん自身のフットワークの軽さが見える。

そして、このライトなアクションが
今後のななさんのキャリアに様々な影響を与えていく。

余談だが
キャリア=仕事、経歴と捉えがちだが
キャリアの意味は「轍(わだち)」であり
通ってきた”人生そのもの”を意味する。


Learn”始まりに重さは関係ない”

【言語聴覚士合格を目指す大学生活】


言語聴覚士の試験科目は以下の通りだ。
【基礎医学、臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育、言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、発生発語・嚥下障害及び聴覚障害学などの基礎科目100問・専門科目100問の計200問】

そして合格率はこちら

出典:厚生労働省

同じリハビリテーション科にある、理学療法士や作業療法士の合格率は
例年80%前後であり、相対的に見れば言語聴覚士の難易度は少々高いとも言える。


そして何度も言うが
「そこまで情熱的な関心がったわけではない」

それも相まって
学業の成績は
「すこぶる悪かった」っと話す(笑)

成績が悪すぎて
先生からは誰よりも早く特別授業を命じられ
朝早めの授業を受けていたと言う。

おそらく、皆
ななさんの合格は遠いものと感じていたであろう。

先生、、、お疲れ様です。。。(笑)


しかし、
ななさん自身
卒業も近くなれば勉強にも力が入り始めたようで
1時間に一本しかない電車内で1時間かかる通学中や
ファミレスで勉強ができる友人が講師となり
サボる空気にならないよう
合格を目指して励む日々もあった話す。

そして試験

誰もが驚いた

彼女は自己最高得点で合格

私自身、話を聞きながら
分かってはいたものの喜んでしまった。

こうして無事
言語聴覚士を取得するに至ったのである。

Learn”自己最高得点はこれからも揺るがない栄光”

【10代の女の子との出会いと別れ】


最初に勤めた総合病院での出来事は
ななさんの記憶に残す事が多くあった。

病棟は主にご高齢者が多く
業務の大体の流れは
「誤嚥性肺炎⇨入院⇨嚥下機能訓練⇨食形態の工夫⇨退所施設に申し送り」である。

その中で
ななさんがシンプルに喜びを感じていたことは
”食べられない方が食べられた時”である。

この”食べられる”ことは
人が生きていく上で必要不可欠な行為であることは
言うまでもない。
それを、言語聴覚士として支えられている実感が
ななさんの糧になっていく。

そんなある日
今のななさんを構成する重要な人とのイベントがあった。

難病があり、治療を繰り返している
10代の少女
余命宣告:6ヶ月

出会った時は
構音障害がありながらも話せていたし
トイレも移動もどうにか1人で行えていた。

言語聴覚士としてのアプローチは
主に嚥下訓練と水分等の量の調整練習。

しかし、しばしば
20分ぐらいダラダラは会話をすることもあったようだ。

少女はその時間をとても喜んでいたと話す。
憶測ではあるが、
リハビリとして介入したのではなく
人として”会話”と言う普通な時間を過ごせたからなのではないかと思う。
つまり「少女は話し相手が欲しかった」のではないか。

少女との時間は余命を大きく超えて1年半になる。
しかし、
時間の経過と共に難病の影響も露骨になっていく。
歩けなくなり、排泄はオムツになる。
刻々と悪化していく身体機能。

そんな
少女の状態に
家族の心身も疲弊していく。

ある日、少女の母親は少女と一緒に転倒してしまう。
理由はオムツを嫌がる少女を
どうにかトイレまで連れて行きたかったからである。
2人が倒れ、少女は失禁している状況。
これに、ななさんは黙っていられなかった。

少しでも家族の負担を軽減できないか
先輩たちの協力を得ながら
医師に訪問リハビリを提案する。
しかし
「子供の訪問実例が市内にないからダメだ」っと却下。

限られた介入で時間が経過していく中
少女が救急搬送されてきた。

自宅で痙攣を起こした。

そして搬送された3日後に他界する。

この経験から
ななさんは
「子供分野でその場だけでのリハビリだけではなく、生活面や家族に向けての支援を考えるようになった」と話す。

Learn”できることがあるのにできない。だから・・・”

【劣悪から見えたこと】


現在は通所施設で介護士としてパートとして働いている。
リクライニングで過ごす重介護者が50%程。
しかし、
今の職場では
ななさんがしたいことも思っていることもできない様子だ。

理由はシンプルで
「外部からの情報を遮断し、既存にある情報だけでケアをしている文化」
だからだ。
それに加え、育成方法に統一性がなく
「やっておいて」と任されたことをやれば
他の人に「やらないで」と矛盾が積もる日々。

更に
ななさんが今の職場に入って驚愕したことは
リクライニング利用者の食事姿勢であった。
背もたれ90度、顎は下がり、流涎著明。
その状態で食事介助を行うが、摂取状況は悪い。

指摘すると
「ずっとこの人にはこうしているから」
このワードがあらゆる場面で出てくる。

一番耐えられないのは
時間車椅子乗せっぱなし
体位変換なし
おむつ交換 入浴+15時
入浴がないと15時の交換のみ
リクライニングの上でパッド交換を行っている
(二人介助で)
足も浮腫んで、チアノーゼ状態。

聞いているだけで
どうにかしたくなってしまう。

正しさだけでは状況は変わらないことと
逆にそうならないように
どのように情報を伝えていけば良いのかを考えるようになる。

そしてまもなくこの職場の退職を決め
次は言語聴覚士として
昔から関わってみたかった
障害小児分野の内定をもらっている。

踏襲されたものを変えることは難しい
自分が変化するか離れるかは
自身を守る重要な選択肢であると思う。

Learn”バックボーンは故郷への思いと自分の思い”


【言語聴覚士×介護福祉士のこれから】


「今までは点で関わってきた。だから線で関わりたい」
っと
心の軸を語りながらも
実際は何から手をつけたら良いのかわからないくらい
やりたいことがある、ななさん。

そのやりたいことを列挙しよう。

・障害や高齢などを問わないフリーランスで介護職
・言語聴覚士として家族や子供に何かできないか
・SNS媒体で情報を提供
・在宅での食事を支援
・家族や本人の専門的な相談窓口
(言語聴覚士子としての)

ありますなぁ。

ここで注目したいのは
利用者の幅が「家族も対象となっている」ことだ。
過去の苦しい体験が
今後のななさんの活動に反映されている。

今後は小児分野を見つつ
自宅では超低出生体重児の子供のリハビリも始まっていく。

そんな中でも
ライトなフットワークと
今は重くなった両輪の資格を持って
今後のななさんの活動を応援して行きたいと思う。


Learn”軽いノリから、想いノリで進む”

【ナラティブを一文字に】


ななさんと話す中で
「軽いノリだったんですよ」ってワードに
とてもななさんの行動の軽やかさを感じました♪

そんな軽やかな足取りの中で
少女との出会いは
話を聞いていて目頭が熱くなりました。

人はきっかけ一つで何者にでも
成ることができますね。

そんな
ななさんに送る
一文字漢字はこちら!!


どんなに小さなきっかけや
強い意志がなくても
進んできた道には
その軌跡が残って行きます。

今回お話を聞いていて
そんな通った道には
しっかり意味があったことと
これからの道がそれらによって
影響していくことを改めて実感できました!
よってこの
「轍(わだち)」とさせていただきました♪


これからもななさんの
ナラティブを応援しております♪

最後までナラティブを伝えてくれた、ななさん
最後までご覧いただいた皆さん
ありがとうございました!




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