特集企画「シンボルの輪郭~Shape of “Rotary”~ 第3回」
信じている。その輪郭がきっと円いことを。
高田馬場駅前ロータリーの散乱ゴミの存在を、私たちが地域課題として問題提起してからはや2年。その「問題認識」はどのように広がっているのか、あるいは広がっていないのか。散乱ゴミの存在は、なぜ問題である/問題でないと思うのか。高田馬場の地で交わる、ひとりひとりの「あなた」の視点から、散乱ゴミの問題、その「輪郭」を、この早稲田キャンパスに浮かび上がらせる。
私たちは、11月5、6日に早稲田キャンパスにて3年ぶりに対面開催される早稲田祭2022にて、教室展示企画「シンボルの輪郭〜Shape of “Rotary”〜」を開催します。これは、地域住民の皆様やロータリー広場の利用者の方々、早稲田や高田馬場に集う学生、行政や企業の方々など、高田馬場や早稲田の地域社会における様々な人びとの貴重な声を取り上げることで、ロータリー広場の散乱ゴミ問題について知り、理解し、じっくりと考えられるような空間を創造することを目指しています。
このコラムでは、この展示会開催に先駆け、これからの1ヶ月間、全3回にわたって、テーマ「シンボルの輪郭」に関する会員一人ひとりの考えや、展示会準備の模様をお伝えしていきます。ぜひ、散乱ゴミ問題に関する会員の考え方の多様性を理解していただくとともに、展示会企画に興味を持ち、足を運んで頂くきっかけになれば幸いです。
第3回の今回は、広報班のゼラニウム(社会科学部2年)が、ロータリーの会に参加して思ったことと、早稲田祭に向けた準備の様子について語ります。
私がロータリーの会に入った理由は、環境について興味を持っていたうえ、メディアなどでよく取り上げられているのを見たからである。忙しくあまり参加はできていないものの、ロータリー磨きや清掃へ参加し、広報班としてロータリー広場の魅力を発信し、より魅力的にしていくための活動を行ってきた。
朝にロータリー広場を掃除する際に、多くの人々がロータリー周辺を行き来し、多くのたばこや酒の空き瓶が落ちているのを見た。自分は地方出身であるため大勢の人が駅の前に集まっていたり、たくさんのゴミが落ちていたりするのを見て驚いた記憶がある。
特に驚いたのは、まだ中身が残っている缶が多数落ちていたことである。中身が残っているものを捨てるのは勿体ないと思った。個人的には、一度ゴミが捨てられると次に捨てる人の抵抗感が薄くなり、ますますごみが捨てられるようになると考えている。やはり酒や飲み物の瓶や缶は持ち帰るべきであり、煙草は喫煙所の灰皿に捨てるべきであると思った。
その一方で、実際に広場には飲酒をしたり、たばこを吸ったりするための十分なスペースがあり、そもそも喫煙に関しては喫煙所が設けられている。飲酒や喫煙をはじめ、人々が様々な目的でロータリー広場を憩いの場として利用しているのは事実である。自分たちが清掃をしている間にも、煙草を吸う人や、ベンチで休憩する人は多く見られた。
コロナ禍の間には、高田馬場経済新聞に「感染症拡大防止の観点で5月18日から広場全体が閉鎖されていた。」(2021年12月1日高田馬場経済新聞「高田馬場駅前ロータリー広場が197日ぶりに開放へ 『利用方法やマナー見直しを』」)とあるように、ロータリー広場の全面封鎖が行われたこともあったが、それに対する反対意見は多く、やはり人々の憩いの場としてのロータリー広場の機能は必要であると考えられる。
広場が憩いの場として機能する環境を失わせないためには、ロータリー広場を清潔に保つよう人々が心がける必要がある。ロータリー広場にゴミが落ちていることは、ゴミを捨てようとしている人の抵抗感を下げるうえ、人々がロータリー広場を使うことが少なくなると考えられ、ますます関心が失われる可能性がある。
ここから、我々ロータリーの会の活動の意義は、人々にロータリー広場への関心を持ってもらうことであると自分は考えている。自分たちが清掃している姿を見せたり、拾ったごみの数を公開したり、啓発活動を行うことで、ロータリーの会ひいては高田馬場駅ロータリー広場そのものの憩いの場としての機能に関心を持ってもらうことで、ロータリーの会の活動に意味が出てくると思っている。
現在、早稲田祭に向けて、ロータリーの会では、ロータリー広場の模型作成や、早大生やロータリーにかかわる人たちへのロータリー広場に関する意識調査並びにゴミ拾いを行った際に撮影した写真を、展示物としてまとめることなどを行っている。また、多くの人に早稲田祭での出展を知ってもらうためポスター制作などの広報活動を行っている。
普段何気なく通り過ぎるロータリー広場であっても、模型で全体を眺めるとまた違った印象を持つかもしれない。広場に関してほかの人がどう思っているかを知ることで改めて考えを持つこともできるだろう。ゴミが落ちている写真を見ることで、広場のごみ問題を認識することができる。展示物を見る中で高田馬場駅のロータリー広場に関心を持ち、その憩いの場としての環境を大事にしようと思ったならば、あなたも「あしたのロータリーをつくる」一員であるといえるだろう。