狭間

少年は言った
お星様に触りたいです

おばあさんは言った
それなら代わりに帽子をおくれ

少年は帽子を差し出した

少年は言った
お空を飛びたいです

おばあさんは言った
それなら代わりにカバンをおくれ

少年はカバンを差し出した

少年は言った
でっかいお城に住みたいです

おばあさんは言った
それなら代わりに宝物をおくれ

少年はペンダントを差し出した

少年は言った
お母さんに会いたいです

おばあさんは言った
それなら代わりにお母さんがくれた物をおくれ

少年は困った
全てあなたに差し上げました

おばあさんは言った
それなら探しに行こうか

少年とおばあさんはお城から空を飛んでお星様まで飛んでいった

少年はお空のずっと下で泣いているお母さんを見つけた
近くで少年とそっくりな男の子が寝ていた

少年は病気だったことを思い出した
僕は戻らなくてはなりません

おばあさんは言った
もう、お母さんに会えただろう

少年は後悔した
お母さんがくれたこの身体をすっかり忘れていた

死神は笑った
私がお前を無理やりこちらへ連れて来ることはできないんだよ