薔薇の花環

薔薇について色々書きます。

薔薇の花環

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はじめに

薔薇の花環薔薇は、その花言葉にもあるように愛や美の象徴であることはよく知られていますが、その他にも、秘密、不可能(青い薔薇)、女性の麗しさ、恋愛、儚さ、時の移ろい、狂気などとも連想される(1) とも考えられており、数多くの物事の象徴となっています。 美術史家の若桑みどり(1935-2007)は、ある絵画に描かれた薔薇の花の意味を探る中で、「一つのイメージが個人を超え、時代を超え、洋の東西を超えて、いわば普遍的な象徴となって人類に共有されているのを知った。」(2)と、薔薇の象

    • 薔薇と血の色

      はじめに薔薇と血ギリシャ神話のエピソードやキリスト教では、白い薔薇が血によって赤く染められたというイメージが語られている(1)ように薔薇の色は血の色と結びつけられています。 それらの共通点である赤い色や、薔薇の棘が皮膚を傷つけ出血するイメージなどから連想されるのかと思います。 「薔薇」と「血」の組み合わせは、映画(2)や雑誌(3)、小説(4)などの文芸作品で取り上げられており、幻想的・退廃的なイメージを持つものが多い印象です。 薔薇と血の共通点である赤色について、それぞ

      • ロザリオと薔薇

        はじめに薔薇は様々な概念の象徴であり、宗教においても薔薇に意味付けがなされています。 宗教と薔薇の関係において、身近な物の一つにロザリオがあります。この記事ではロザリオについてまとめています。 ロザリオの概要ロザリオとは、キリスト教カトリックにおいて聖母マリアへの祈りを捧げるための数珠状の道具です。 ロザリオは基本的には59個のビーズと、センターメダイ、トップの十字架からなりますが、その他にも様々な形態があります。使用されるビーズもガラス、水晶、貝、木など様々な材質があり

        • 薔薇の香りと人間の心理

          はじめに 薔薇の香りと心理学研究薔薇の香りの主成分は、β-フェニルエチルアルコールなどの化学物質であることが知られています。(1) これらの物質は化学合成が可能で、試薬としても販売されているものもあります。 こうした物質を薔薇の香りとして用いて、人間が薔薇の香りを嗅いだ時にどのような反応がなされるか、心理学的な研究が行われています。 この記事では、薔薇の香りに関する研究をいくつか紹介します。 薔薇の香りの選好は後天的な学習に影響される「2歳児のニオイの選好:バラの香り

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          薔薇の魂

          はじめに 《薔薇の魂》と『MAUD』上記の記事の見出し画像は、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス(John William Waterhouse, 1849-1917)の《薔薇の魂》(The Soul of the Rose)(1903)という絵画です。 中庭らしき場所で薔薇の花の香りを嗅いでいる女性を描いたこの絵画は、アルフレッド・テニスン(Alfred Tennyson, 1809-1892)の『MAUD』(モード)(1)という詩の一節に由来するものと言われています

          あの時感じた薔薇の香りはあなただけのもの

          はじめに 香りの女王、薔薇絵画では、「五感の寓意」と呼ばれる図像があり、五感それぞれを表すモチーフが存在しています。 その中で、嗅覚は花で表現されています。(1) そして、薔薇は、花の女王(香りの女王)(2)とも呼ばれ、香りを代表する花となっています。 香りを感じる仕組み人間は薔薇の香りをどのように感じているのでしょうか? 香りを感じる感覚である嗅覚の仕組みは以下のようになります。 鼻腔の奥の嗅上皮(図2の4)には嗅神経細胞(図2の6)という細胞があります。 この嗅神

          あの時感じた薔薇の香りはあなただけのもの