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オフィーリア

悲しみのオフィーリア
恋人に冷酷な仕打ちを受け
粉々に壊れてしまった心
さらには愛する父を失う悲哀
手放した精神を幾多の花で飾り
狂気に侵されながら彷徨い歩く

たくさん花輪をつくりましょう
あら お花が足りないわね
もっと摘まなくては
いつもと違う風の囁きは
まるで精霊たちのハミング
ほら 私を呼んでいるわ

冷たい水に浮かぶオフィーリア
私を呼んだのはだれ
崩れた花輪の花が水面に散らばる
その周りを飾る光のロンド

あの空の彼方にいけば
綺麗なお花は咲いているかしら
それとも水の中でもお花は咲くの?
ねえ お父様…
お花が足りないの…

ドレスの裾が人魚の尾ひれのよう
ユラユラ水中に漂いながら
その彩りは重さを増しゆっくりと沈んでいく

悲しみのオフィーリア
最期にその瞳に映ったのは何だったのか

悲しみのオフィーリア
最期に口ずさんでいた歌は何だったのか



🌹オフィーリアは、ウィリアム・シェイクスピアの
四大悲劇の一つ『ハムレット』の登場人物です。
デンマークの若い貴婦人で侍従長ポローニアスの娘。
ハムレット王子の妃候補(恋人)。
オフィーリアは、狂気を装ったハムレットに酷い仕打ちを受けて更には父を殺され、度重なる悲しみに精神を病み、川で溺死してしまいます。

🌹ヘッダー画像は、ジョン・エヴァレット・ミレイ作
【オフィーリア】1851年から1852年にかけて制作されたもの。ロンドンのテート・ブリテン美術館に所蔵。
花を摘んで花輪を編み、それを細い枝にかけようとして
川に落ちたシーンを描いています。
オフィーリアを囲むように浮かぶ草花の花言葉は、
絵画に込められた切なさを感じられます。
描かれている花は12種類。
物語も絵画も意味を理解した上で見ると、また違った
面白さがあるかもしれません。





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