(今更ながら) Ameri考。

どうもこんにちは。
「SNS運用力の強化をしたいなァ・・・」ということで。
色々考えた結果、まずは経験しろ、ブランドのSNS運用で成功体験をとりあえず手に入れましょ、と思いまして。
SNS運用で話題になっていたり、結果を出していたりするブランドやメーカー(アパレルかそうでないかは関係なく)の運用方法を一回分析して、咀嚼し、使えるところをかいつまめばいいんじゃないか?と。
WEBメディア『ferret』の黒澤友貴さんがやっている思考力のトレーニング・・・【マーケティングトレース】にチャレンジしてみることにしました。
ちょっと初めてなので不慣れ&それ解釈違いじゃね?みたいなところもあるかと思いますが、※あくまでも個人の見解※なのでご容赦ください。

で、最初はどこのSNSを取り上げようかなってことですが、
新興アパレルブランドのなかでもSNS運用の精度でかなり定評のある『Ameri VINTAGE』さんを取り上げてみようかなと思います。n番煎じかもしれませんが。


【Ameri VINTAGE概要】
Ameri VINTAGEはアパレル会社でVMDの経験を積んだ、黒石 奈央子氏が立ち上げたセレクトショップ。
オリジナルブランドであるAMERIと、ヴィンテージアイテムを取り扱っており、“昔の価値ある物(ヴィンテージ)と最新の流行を融合したスタイル”を提案している。

一目で「オシャレ!」と思う様な、デザイン性・感度の高いアイテムやスタイリングを提案しています。
20代後半~30代の女性がメインの客層といったところでしょうか。
販売するアイテム自体もそうですが、ターゲットのライフスタイルに上手く溶け込んだSNSや販促でウィメンズ市場を席巻しています。
なんと立ち上げ5年で売上高は30億。
これは(ことアパレル業界においては)かなりすごいと思っています。
最高経営責任者兼ディレクターの黒石さんは『WWD』紙ではファッション業界の次世代を担う存在と評しています。

これだけの売り上げを叩けるブランドなので、ある程度の店舗数はあるのかと思いきや、直営店舗は代官山店・新宿ルミネ店・大阪心斎橋店の3店舗のみ
ECの比率が高めのブランドとなっています。

〇Ameriはインフルエンサーブランドなのか?
ここ数年でアパレルブランド(オリジナルであれ、海外や他社引きのいわゆるセレクトショップ業態であれ)を個人で立ち上げるハードルはぐっと下がりました。
今でこそ散見されるインフルエンサーブランド。Ameriも最初はある程度知名度のある黒石さんによる販促で成り立っていたかもしれませんが、現状は黒石さんから入ったファンだけでなく、ブランドの世界観に純粋に惚れ込んだファンがついてきているのかなと思います。
(じゃないとこんなに売り上げが伸びない・・・)
なので、インフルエンサーブランドから一つ歩みを進めたブランドかと。

〇競合ブランドとの比較
現在、アパレルブランドではAmeriと同様に「大人の女性へ向けたこだわり服」を提唱するブランドが毎年非常に多く、登場しています。
(この背景には婚期が遅くなり、働き、経済的に自立している女性が増え、ある程度お金を自由に使える層をターゲットにした方が衣服にお金を使う余裕のない若年層にアプローチするより効果的ではないか・・・という思惑があると推測しています。)

では、Ameriの独自性は何なのか?
表で比較してみました。

ameri資料画像2

特徴としては3点。
①単価は比較的高め
②ターゲット層が狭い
③主なチャネルはEC
④直営店舗数が少ない
→ターゲット層(ファッションにある程度投資する20代後半~30代女性、さらにECで服を買う事に抵抗がない)に向けて的確な戦略でアプローチをしている。

〇ポジショニングマップ

ameri資料画像3

ちょっとZARAのラインナップがカバーする範囲が広すぎてすごいことになってますが・・・
まあこんな感じじゃないかな?と。
要は、ある程度服に投資できるお金を持っていて、ZARAや109、UNIQLOも(持ってる/着るけど)満足できなくて・・・みたいな人が着ると想定。

〇Ameriのブランドについて総括
1.直営店舗が少なく、ECに比重を置いている。
2.対象は20後半~30代の大人女子。ファストファッションじゃ物足りなく感じてきた、ある程度ファッションに投資できる財力のある層

〇ポジションを獲得するための4つの”P”
上記のポジショニングだったとして、同じポジションを狙うブランドは数多く存在する。
その中で勝ち残っていくためにどのような工夫がされているのかを考察した。
****

ameri資料画像4

【Product】
1.他にはない様な一際目を惹くデザイン
→例えば、Instagram(20代~30代の4~5割がIGユーザー)でちょっと目を惹くデザイン。友達からどこの?とコメントがくるような・・・
2.ある程度の価格帯でも納得のいく凝ったデザイン
→AMERI(Ameri VINTAGEが展開するオリジナルブランド)の服はウィメンズアパレルの中でも高価格帯に属するものだが、この価格帯でも、それに見合う様なデザイン性や凝った仕様があれば納得するデザイン性の高さ

【Price】
前述した通り、ウィメンズアパレルの中でも高価格帯に属する。
19年からはデザイン性がより高い、高価格帯のUNDRESSEDシリーズも展開。

【Place】
ECをメインに展開。
販促方法やSNS、スタッフSNAPといったコンテンツをほぼほぼすべてECに紐づけている。
また、販売の曜日や時間を固定することで、自然と顧客のスケジュールに新作発売日が組み込まれやすくなっている。

【Promotion】
SNS(主にInstagram)の活用。
ブランドの世界観をキープするためのビジュアル作り。
→より顧客向けの公式サイトでは外国人モデル画像、流入客が多いZOZOではスタッフ着画でサイズ感やリアルなイメージを想起しやすい様に画像を変えて、ブランドイメージを保ちつつ新規客を取り込みやすくしている。

〇コミュニケーション戦略は?
意外と前置きが長くなってしましましたが。これが本題です。

ではブランドとして、SNS(今回はInstagramに絞ります)上でどういった工夫をし、顧客とコミュニケーションをとっているのか?

1.ポスト
2.ストーリー
3.LIVE
4.その他(ハッシュタグなど)

こちらで順を追って見ていこうと思います。

1.ポスト(投稿)
Ameriは他ブランドと同様に、主に新作のビジュアルを投稿しています。
1ポストに複数の写真(=同じ商品が写っているが、様々な角度の写真を掲載することでより製品詳細がイメージしやすくなっている)を投稿。
ポストしている写真すべてに商品をSHOP機能でタグ付けしており、サイトへの導線を漏らさず確保しています。
さらに、SALEやキャンペーン、インスタライブの告知は画像に文字を入れた状態でポスト。フィードの中でも一際目立つのでフォロワーがチェックしやすいのではないでしょうか。

2.ストーリー
新作情報や再販情報をクイックにストーリーで告知。
こちらもポスト同様に、SHOP機能で商品を紐づけ徹底。

3.インスタライブ
AmeriのSNS戦略の要はこれ。(と私は思ってます)
前述していた様に、Ameriはターゲットをかなり絞り込んでいる様に思います。
絞り込むといっても、テイスト軸ではなくて、ライフスタイルや年齢など部分で、です。
その、絞り込んだ人達にとっていかに商品を買いやすくするか、という所に工夫を凝らしています。
その最たる面がインスタライブであり、
例えば、ECをメインに販売しているという所から、顧客は必然的に“ECで衣服を買う事に抵抗がない”となり、また、より顧客を増やしていくためには、“自社のECサイトで衣服を購買することへの不安をどれだけ払拭できるか”ということになります。

そのためのツールとして、定期的に実施している新作の紹介ライブでは様々な身長のスタッフが商品を着用し、着丈感やディテールの説明をしています。
ライブの進行が非常にスムーズでわかりやすく、1商品ごとに
①スタッフによる商品の紹介(とりあえず一通りスタッフが喋る)
②商品のカラー展開、サイズ展開、価格、各チャネルでの発売日
③質問解答コーナー
を1つのセットとして行っています。
スタッフの説明もわかりやすく、①の時点で、自らの顧客がどういったワードが響くかを恐らく事前に考えて発言している。。
Ameriだったら、「オフィスでも着られます」「シワになりません」「ボトムの後ろはゴムです」「こういう仕様だからスタイルが良く見える」など。
また、もちろんライブ中は生放送なので、回答に躓いてしまう質問も寄せられます。
その際は、後日必ず別の動画で質問に対して回答をしています。
こういった細やかなフォローの積み重ねが、AmeriのECで購入することに対しての不安を払拭しているのではと考えています。

ちなみに、インスタライブはIGTVで保存され、見逃した人でも後からみられる様になっているのもポイント高いです。
かつ、IGTVに保存されたライブ動画はその後にポストされ、よりフォロワーの目に留まりやすい様になっています。
そうすることで、IGTVの再生回数が伸び、検索欄でも表示されやすい・・・!
また表紙のみ通常のポストと同じ様に外国人モデルの画像にすることで、フィード上でも浮かず、ブランドの世界観を守っているという徹底ぶり。

〇その他
ポストのハッシュタグについては、基本的にブランドの世界観重視の為かブランド名や英語タグが主。
しかし、ディレクター・黒石さんのアカウントではブランドアカウントのタグ付けと同時に、「大人ファッション」「大人コーディネート」などの日本語タグも使用。
こちらからブランドアカウントに流れてくる可能性も十分考えられます。

コミュニケーション戦略総括

1.ポスト
1アイテムにつき様々なカットを掲載。商品の紐づけを徹底し、サイトへの導線確保。

2.ストーリー
ポストよりも即時性の高い内容を発信。
こちらも商品ページへの紐づけ徹底。

3.LIVE
無駄のないライブの進行。
顧客に合わせた商品説明や配信内容。
回答できなかった質問や、尺が足りずに説明しきれなかった商品に関しては後日別動画をアップし、フォロー。
IGTVの再生数アップからのアカウントへの流入経路増。

4.その他(ハッシュタグなど)
ブランドアカウントは世界観保守重視。
ディレクターの個人アカウントからブランドアカウントへ流入を促す
〇結局、成功要因って何?
・ECをメイン販路に→施策やコンテンツ内容をECでの販売につながるものに振り切る。
・ターゲットを絞り込み、そのターゲットへ向けた購買フォロー
→「ECでも安心して買えるブランド」感を強める
・販促/宣伝はSNSで→ローコストと今あるツールで情報を拡散&新規顧客の流入を促す
・時代に沿ったモノ作り
→写真でも映える様な目を惹くデザイン性の高さや、ハイブランドは中々買えないが、それに近しい特別感のあるデザインのアイテムを手の届くプライスで

今回は以上になります。。
色々省いたわりにはかなり長くなってしまったわりにまとまりのない感じになってしまったので、次回はもっと精度を高められるように頑張ります🤦‍♀️



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