犬飼ハルノ

アルファポリス、エブリスタ、カクヨム、なろうで異世界恋愛ファンタジーを中心に色々投稿し…

犬飼ハルノ

アルファポリス、エブリスタ、カクヨム、なろうで異世界恋愛ファンタジーを中心に色々投稿しています。 noteの使い方がわからないまま、とりあえずエッセイを投げ込むことにしました。 楽しんでいただければ幸いです。

最近の記事

あじのきおく23『マドレーヌ』

 お菓子作りは難しい。  いろいろと。  少し前まではけっこう気軽に作って友人たちに配っていたが、ネット社会になり素人の作った物を贈ると言う行為は客に受け取る側にそうとう気を遣わせることが多いと知った時、かなり衝撃を受けた。  小学生のころからの流れでつい見過ごしていたけれど、それが許されるのはせいぜい学生までで、社会人となるとよくよく考えないと失礼に当たる、もしくは不快に思われることを肝に銘じるとともに、能天気な過去の己に打ちひしがれた。  大人になると本物の味を知ってい

    • あじのきおく22『かぶ』

       生協のカタログを見て、蕪の旬の終わりが来たことに気付いた。  インボイス制度が始まったころから近くのスーパーが近隣の契約農家との野菜の取引を止めてしまい、新鮮な状態のものが気軽に手に入らなくなったため、蕪と蓮根は毎週のように注文していた。  蓮根と同じく、蕪は子どもの頃別に好きでも嫌いでもない野菜の一つだった。  出された料理は残らず食べないと母の機嫌が悪くなるから機械的に食べる…、それがありありと出ていて本当に悪い子どもだったなと思う。  よく母が食卓でブチ切れて

      • 明けましておめでとうございます。

        今年もよろしくお願いします。 能登地方の地震の知らせが入ったのはちょうど福岡への帰省の途中の事でした。 実家も私の食器棚も輪島塗の品が多くあります。 いつか訪ねてみたい場所の一つです。 余震が続き、地域にお住まいの皆様の心中はいかばかりかと思います。 どうかご無事で。 早く落ち着き、復旧しますように。

        • 三行日記 2023/12/29

          ぐだくだなまま今年もわずかになってしまった。 とにかく根気が続かないのは年のせいなんだと思う。 生きているだけでえらいと己を慰め、未来の自分にまかせてここまで来てしまった。 今まで夫と二人合わせて半人前と思っていたが、どうやら四分の一人前だった模様で、ほんのちょっと働くとすぐに休憩してしまう。 もう、なんもかんも放棄してホットカーペットに倒れ伏す私たちは、大きく体調崩すよりええやんそうやねと楽な方へと転がっていく。 窓と網戸だけは終了させたから、それで許してください、年神様。

        あじのきおく23『マドレーヌ』

          クリスマスのきおく

          今日はクリスマスイブですね。 結婚してしばらくは色々と特別な料理を作ったような気がするけれど、年と共に胃袋がやわになっていく私たち夫婦はいつものご飯が一番やろ、ということでいつものご飯です。 生協の冷凍ロールキャベツを野菜室にある野菜と水でちょっと薄めたトマトジュースと昆布粉とチキンスープ細粒で煮込んで、ちょっと高めのパンと、豆腐とトマトを刻んで合わせただけのサラダで終了。 どんだけ手を抜いているんだと母に叱られそうだけど、良いんだよ、バレなければ。 ところでクリスマスの記

          クリスマスのきおく

          こんなに突然寒くなるなんて

          本当なら、今日は友人たちとおしゃれなイタリア料理店でステキなランチを楽しむはずだった。 一か月前に友人のひとりがお店を予約してくれた、人気店。 だがしかし。 明け方からの重い頭痛に外出を断念した。 よろめきながら窓の外を見ると、ばらばらざあざあ音を立ててみぞれ交じりの雪が横殴りに降っている。 気圧か。 寒暖差か。 脆い私は一つでも条件があえばすぐ寝込む。 あまりの暑さに靴下を脱ぎ捨てた金曜日からこれってどういうことよ、天気の神様。 ここに正座して説明して、怒らないから!!

          こんなに突然寒くなるなんて

          あじのきおく21『れんこん』

           子どもの頃はさほど好きではなく、食卓に並ぶ料理の一部でしかなかった食材が大人になってからものすごく好きになることがある。  いや、そもそも子どもの頃私が好きだったのは、いちご、りんご、とうもろこし、甘いもので、あとはそれ以外というくくりだったので、そのくくりの中に入る食材は山ほどあることになるのだが。  今は冬ということで本日は蓮根を調理法から語りたい。  福岡で生まれ育っているので蓮根を使った料理で一番に思い浮かべるのは筑前煮。  具の一部に必ず入っているもので、こ

          あじのきおく21『れんこん』

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー14

          やさしい歌につつまれて。 『いしゃがよい』  先日、ブックサンタをしました。  これは、図書館以外で本と接することが難しい子どもたちへ本を贈る運動で、参加書店で本を選んで支払いの時に『ブックサンタ』と言えば、購入した本をそのまま取りまとめのNPO法人へ書店から送ってもらえる仕組みになっています。  今年は二か所の書店で二冊ずつ購入し、手続きをお願いしました。  選んだのは、 『おちゃのじかんにきたとら』  作・絵: ジュディス・カー  訳: 晴海 耕平  出版社: 童話

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー14

          あじのきおく20『りんご』

           今から、林檎について熱く語るのでお付き合いいただきたい。  林檎は大好きな果物の一つだ。  そのまま食すのはもちろんのこと、加熱したのが大好物で、料理にも使う。  晩秋になるとせっせと始めるのが林檎を煮ること。  これが私の季節行事になったのはいつからだろう。  そもそもは実家にいた頃からヨーグルトになんやかんやトッピングする習慣があり、それは今も続いている。  まずバナナやキウイなどの果物を刻み、その上にレーズンと南瓜の種のローストした物、そしてプレーンヨーグルト

          あじのきおく20『りんご』

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー13

          眠りの番人たち。 『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』  眠るのが好きです。  ごろんと横になっているのが好きです。  とことんインドアなので、寝床でだらだらしていると心が休まります。  (あとで時間の使い方について色々反省しますが)  そのようなわけで、おふとんが大好きです。  おふとんさま、と言ってしまいたい。  そんな私がある日、素敵な絵本に出会いました。  もう、これは運命だと思います。  『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』   作・

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー13

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー12

          いちばん身近な友。 『死神さんとアヒルさん』  絵本を色々手に取り読んでいるうちにふと思ったのですが。  絵本は幼い子どもが読むもの、または子どもの情操教育のために与えるものの一つで、一定の教養を身に着けたら卒業するもの、または懐かしむべき存在と一般で思われがちな気がします。  しかし、私は読めば読むほど絵本とは小説より難易度の高い作品なのだと思うようになりました。  短い時間で読む人の心を掴まねばならない…というよりも。  うっかり手に取り開いた人を挿絵と言葉でがつ

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー12

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー11

          ときに戦争は。 『この本をかくして』  私が子どもの頃、父方の祖父は南方の激戦で亡くなったのだと聞かされ、母方の祖母の親族で生還したものの片腕を失った方とお会いしましたが、我がことと認識できず、戦争とはもう終わったことで二度とないと信じ、世の中が発展していくにつれ、国々は仲良くなっていくものだと思い込んでいました。  しかし大人になるにつれ、平和というものがいかに困難なものなのかということを痛感しています。  情報さえ共有されれば、善悪が明確になり、世の中に悲しいことは

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー11

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー10

          寝てるってば! 『ねえ、おきてる?』  私はいわゆるロングスリーパーです。  それはもう、赤ん坊の時から。  (だがしかし、ただいま年齢的な症状で大絶賛こま切れ睡眠中……)  対照的に兄はショートスリーパーだったらしく、生まれた時からなかなか眠ってくれず、母をかなり悩ませました。   なのに次に生まれた私はいつでも昏々と眠り続け、逆に「生きてるのか?」と、本当に息をしているのか手をかざして時々確認したそうです。  そして時が巡り、兄の息子たちは由緒正しく眠らない赤ん

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー10

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー9

          これだけは譲れない。 『しろちゃんとはりちゃん』  食の好みは人それぞれで。  たとえどれほど親しい人同士も、好みが合わない時にはそれがきっかけでちょっとこじれてしまうのが、食べ物の恐ろしいところです。  場合によっては国際問題を引き起こすほどですから。くわばらくわばら……。  身近な話として、私の場合は幸運にも夫と味の好みと食べられないものが同じなので助かっています。  家庭によっては家族の嗜好に合わせて作り分けねばならないと耳にするたび、この件に関しては本当に。  た

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー9

          あじのきおく19『大人のよそいきランチ』

           親も私も結構な歳になったが、いまだに家族ぐるみの付き合いが続いている方が何人かいる。  そのうちの一人がYちゃんだ。  彼女は私より一つ下なのにとても賢い上に思慮深く、ぽやぽやしている私の方がよっぽど妹のような関係だったと思う。  また、Yちゃんのお母様はいつもはきはきしていて行動力のある人だった。  よくお泊りさせていただいたし、里帰りにもご一緒させてもらったり、年末に親戚で集まる餅つきにも参加させてもらったりと、思い出は尽きない。  そんなYちゃんのお母様が闘病の

          あじのきおく19『大人のよそいきランチ』

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー8

          ため息をつきたくなる美しさ。 『スワン―アンナ・パブロワのゆめ』  今回は、伝記ものの絵本について語ります。  二十年くらい前までは子供向けの伝記と言えば、日本の大手出版社の伝記シリーズの文章版と漫画版が主だったと思います。  絵本と言う形態ではあまり見かけた覚えがなく、しかも男性ばかりを紹介し、女性ならヘレンケラーとナイチンゲールとキュリー夫人程度。  それでも子どもの頃はざっと制覇したけれど、どこか窮屈に感じほぼ流し読みで終了しました。  大人の意図が見え隠れして

          さざ波のようにくりかえしくりかえし。-おとなの目で読むこどもの本ー8